[画像] 木星の渦「大赤斑」。昔と今では違うものなの?

Image: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS/Gerald Eichstädt/Seán Doran

1665年、天文学者ジョヴァンニ・カッシーニが木星の高気圧性の渦を発見。以後、最大で地球の2〜3個分もの大きさがあったこの渦は大赤斑として知られており、地球からでも観測できます。

が、今私たちが観測している大赤斑、つまり地球から見る渦とカッシーニが発見した渦は同じ渦ではないかもしれません。

あの渦とこの渦

カッシーニが発見した渦、大赤斑は発見後1713年まで断続的に観測されていました。その後、木星のほぼ同じ緯度に同じような楕円形の渦が観測されたのは1831年。つまり、1714年から1830年までの120年弱もの間、その姿は確認されていなかったのです。

そこで、以前からカッシーニが発見した渦と、時を経て観測されるようになった渦は同じものではないのではないかと、科学者たちの間で議論されてきました。

観測時期だけではありません、サイズも異なります。カッシーにが発見した渦は、最大で直径4万キロ弱(その後縮小)。今日の渦は直径およそ1万4000kmほどでかつての渦よりもずっと小さく、また形も楕円よりも丸に近い形です。

大赤斑の豆知識

高気圧の渦である大赤斑。地球のハリケーンや台風は北半球では反時計回り、南半球では時計回りですが、大赤斑は反時計回り。

渦=嵐が長年にわたって存在し続けているのは、ガスが多いという木星の性質に関係しているのかもしれません。地球の嵐は、陸にあがると弱まり消えてしまいますが、木星は地面ではなくガスの星ですからね。

大赤斑を解明するのは容易ではありません。しかし新たな研究では、小さな渦が合体して超巨大な嵐になったと示唆されています。

Image: G. D. Cassini / Eric Sussenbach / AGU

スペインのバスク大学の惑星科学者で、今回の研究論文の主著書のAgustín Sánchez-Lavega氏はこう語っています。

偉大な天文学者であるジャン=ドミニク・カッシーニが発見した渦と彼が記した木星に関するメモや図柄、彼がこの現象についてまとめた17世紀後半の論文などに目を向けると、刺激を受けて、とてもやる気が出ます。今までも多くの人がこの観測を進めてきましたが、我々の手でその結果がさらに進み、数値化されたのです。

研究論文は、Geophysical Research Lettersにて公開されています。

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