[6.5 ルヴァン杯プレーオフラウンド第1戦 柏1-1名古屋 三協F柏]
GK佐々木雅士が柏レイソルで公式戦に出場するのは、昨年6月18日のルヴァン杯・福岡戦以来、約1年ぶりだった。「マツケンくん(松本健太)が脳震盪で離脱してからベンチに入って、出るならこういう試合だなと思って準備はできていた。自分のやりたいプレーだったりは示せたと思うので、よかったと思います」。
前半15分に先制は許したが、直後に1対1を止めるなど追加点は与えなかった。チームは後半27分に生まれたMF高嶺朋樹のゴールによってドロー。「1失点してしまったけど、2失点目を防げた。去年はそこで踏ん張れなかった。追いつけたこともチーム全体で1点で防げたからだと思う」。1-1で第2戦を迎える結果に安堵の表情をみせていた。
柏の下部組織出身の佐々木は21年にトップ昇格。プロ2年目の22シーズンにはJ1で20試合に出場するなど、順調にキャリアをスタートさせた。しかし3年目の昨季は開幕4戦目からスタメン落ち。夏場に入ってからはベンチ外も経験した。また今年に入ってからは背番号1として常に選ばれていたパリ五輪を目指す日本代表の活動からも遠ざかることになった。
ただそこで気持ちが折れることはなかったという。「去年、自分のミスが続いてポジションを奪われてから自分に足りないものは何だろうと考えて練習してきた。(パリ五輪の)アジア予選もみていたし、そこは刺激もあったけど、今自分が目標にすべきところはもっと近くにあると思ってやってきました」。
今年のキャンプでは同部屋だったGK守田達弥と話をすることで頭を整理することもできた。「ジャンボさん(守田)からアドバイスを貰えたことで、今まで見えていなかったものが見えることが増えた。今日の試合でも今までにないプレー、とくにビルドアップの部分でできたのかなと思います」。何よりこの1年が無駄ではなかったと実感することができた。
試合前、スタジアムの外に大行列が出来ていた。佐々木の両親が昨年よりオムライスのキッチンカー『アマリージョ』をオープン。不定期ながら三協フロンテア柏スタジアムでもスタジアムグルメの一つとして出店している。「父がオムライスが得意料理で。もともと全然違う仕事をしていたけど、自分がプロになったタイミングでそういうことを仕事にしたいと言っていた」。当然、柏サポーターも知るところで、「柏サポーターの方がスタジアム以外でも来てくれているという話は聞く。嬉しいですね」とはにかむ。
この日をきっかけにして、再び定位置取りに挑戦したい。井原正巳監督も「去年の途中から公式戦に出れない中で、しっかりとトレーニングを積み上げた選手。なかなか出番のない中で悔しい思いもしていたと思うけど、その悔しさを出してくれた」と改めての期待を語っていた。佐々木も「まずは日曜日のルヴァンがあるので、チーム全体でいい準備をしたい」と気を引き締めると、「久々に試合に出たということは家族にとっても嬉しいことだと思うので、いい報告ができるように頑張りたい」と更なる親孝行も誓っていた。
(取材・文 児玉幸洋)
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