(写真:freeangle/PIXTA)

学生がアルバイトを探すときに最も気になるのが時給だろう。では、上場企業など大手・有名企業の社員の収入を時給換算するといくらになるのか。

そこで、今回は『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2024年版掲載の平均年収を年間総労働時間で割った各社の「計算時給」を算出、上位100社をランキングした。「時間当たりの収入が高い企業」をご紹介する。

なお、『CSR企業総覧(ランキング&集計編)』2024年版には年間総労働時間など個別データのランキングも掲載している。

三菱商事の「計算時給」は9727.1円

ランキング1位は総合商社の三菱商事で9727.1円。2022年度の平均年収は1939.3万円で総労働時間は1993.8時間。社員の平均年齢は42.9歳で、新卒入社後20年経つとこのくらいの時給になるということになる。


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1人当たり年間教育研修費用は44万5000円で全社平均の6万2515円(対象718社)を大きく上回る。資格・技能検定の取得奨励制度や自由応募形式の無料講座などスキルアップの機会も数多く用意されており、教育関係に力を入れていることがわかる。

また、フレックスタイム、短時間勤務、勤務間インターバル、在宅勤務など柔軟な働き方を実現できる制度が充実。男性の育児休業は2022年度で取得率63.6%(112人)と高いレベルにある。

2位も総合商社の三井物産(8904.5円)。平均年収1783.5万円、総労働時間2003.0時間。個人単位の時差出勤制度、時間単位年休、リモートワーク制度などで働き方改革を推進している。

3位は不動産業のヒューリックで8382.1円。平均年収1904.2万円で総労働時間2271.8時間。月の残業時間は43.0時間と多めだが、有給休暇取得率は77.7%とオンオフを明確にして高い収入で報いている。

4位伊藤忠商事(8254.2円)は朝型勤務に積極的。評価制度に働き方改革の促進や、時間管理に関する項目を追加する。5位の電通グループ(7847.7円)はタイムマネジメントダッシュボード、最適時間カレンダー等のシステム導入を進めている。

6位は住友商事7807.4円、7位丸紅7756.0円、8位はM&A仲介会社のストライクで7428.7円と続く。9位には海運大手の商船三井が7383.4円でトップ10入り。10位は業界トップの日本郵船が7043.1円で商船三井にわずかに及ばなかった。

調査対象企業の平均値は前年比で100円アップ

5000円超えは62位東京建物5000.5円まで。ランキング対象931社の計算時給の平均値は3636.8円だった。前年の892社の平均値3543.0円から約100円上昇した。物価高が続き、国内大手企業の賃金も上昇傾向にあるようだ。


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さて、国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」によると2022年の正社員(正職員)の平均給与(年収)は523.3万円。年間総労働時間を上記931社の平均労働時間1972.1時間で計算すると時給は2654円となる。

今回のランキング対象の平均値とは1000円近い差があり、依然上場・大手企業との賃金格差は大きいことがわかった。



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(岸本 吉浩 : 東洋経済 記者)