日々の料理、がんばりすぎているかもしれません。

 こんにちは、食文化研究家のスギアカツキです。『食は人生を幸せにする』をモットーに、「一生モノの能力を養う食育」についてさまざまな実践法を提案しています。

 春休みがはじまり、いつも以上に育児の負担がかかっている皆さま、本当におつかれさまです。いつもなら昼は給食やお弁当で済むのに、ランチまで用意するとなると、息つく暇などありませんよね……。

 私も小学生の男の子を育てるママとして、大変さが痛いほどよくわかります。そこで私は、ごはん作りに奮闘するママやパパが、少しでも精神的にラクになるような話題が提供できたらなと考えました。

 子どもたちから“手抜きごはん”と言われないように、毎日必死でやりくりしている方は少なくないでしょう。成長のため心の満足のためにも、できればちゃんとしたものを作ってあげたい。

 できる限り手作りで、栄養バランスもとれていて……、ちょっとストップ! 実はそれ、親だけが自分で自分を苦しめている呪縛モットーになっている可能性があるなと感じたのです。

 私は日々食育を研究・実践しながら、さまざまな家庭や子どもたちの様子を観察していますが、今回改めて、小学校低学年の親子約50組に話を聞いてみました。

 今回の話はそれらのエピソードをふまえたもの。皆さんにとって少しでもストレス緩和につながればという想いをこめながらはじめていきたいと思います。

◆親は市販の惣菜を食卓に出すことにためらいがある!?

 はじめに、子どもに食事を提供する大人たちに、自分が罪悪感を抱く“手抜きごはん”のイメージを聞いてみました。

 その答として多く出てきたのは、「スーパーのパック入り惣菜を並べたり、冷凍食品をレンチンするだけのとき」という内容でした。

 理想は、栄養バランスを考えながら愛情込めて手作りしてあげることなんだそう。スーパーの惣菜や冷凍食品が手抜きであるかは人それぞれですが、理想ごはんのイメージについては共感してしまう要素があります。

 しかしながら実際に子どもたちに同じ質問をしてみると、まったく別の回答が返ってくることに気がつきました。

◆スーパーのコロッケは大歓迎! がっかりするメニューとは?

 子どもたちの回答で、「市販の惣菜を並べられると嫌だ」という内容は、私が聞いた限りではあがってこなかったのです。むしろスーパーで売られているコロッケやメンチカツは大好物で、パックごと食卓に並んでいたとしても嫌ではないと答えた子どももいました。

 逆に嫌だなと感じる献立は、「ママがこれでもかと野菜ばっかり料理したとき」、「嫌いな野菜料理ばかりが並んだとき」、「地味な焼き魚がメインだったとき」といったように、市販惣菜や冷凍食品であるかどうかはまったく概念として出てきませんでした。

 これは冷静に考えてみると理解が進むかもしれません。共働き家庭が珍しくない今、子どもたちは他家庭と比較することなく、親の忙しさを自然と受け入れながら成長をしているのでしょう。

 手作りじゃないからという形式的な理由でママやパパを追い詰めたりするのではなく、もっと自然なスタンスで食卓にあがる料理と向き合っているのだと思います。

 ですから、どんなに手の込んでいる料理だとしても、自分が苦手なメニューばかり並んでいるとガッカリしてしまうというのは素直な反応。「連日同じものが続いた時」という答も、食事を楽しみにしている気持ちの裏返しと解釈することができます。

 つまりここでお伝えしたいのは、親がイメージする手抜き料理が、必ずしも子どものガッカリ料理にはならないということなのです。