現オーナーは、「Lucybelle III」をオリジナルの姿に戻し、エンジンをはじめとしたハードウェアのリフレッシュを敢行。フルレストアには30カ月を要し、その費用はなんと85万ドルに及んだ。エンジンの刻印番号は相変わらず”無い”状態だが、リビルトされたR60のタイプ547/3が新たに調達された。エンジンだけでもかかった費用は40万ドルを超えるそうだ…

レストア後、当該車両が迎えた晴れの舞台は2021年8月のペブルビーチ・コンクールデレガンスだった。「0-1 Postwar Racing Class」では3位入賞を果たした後、オードレイン・コンクールデレガンスではクラス優勝を獲得。2022年には現オーナーが2018年に落札した、Gooding&Companyがペブルビーチで主催したオークションに出品された。予想落札価格はレストア費用を上乗せしたカタチで450万ドル〜550万ドルと謳われていたが、落札には至らなかった。奇しくも同年初め、Gooding&Companyがアメリア・アイランドで主催したオークションにて、718RSK(718-018)が297万5000ドルで落札されていたことが影響していそうだ。

今回、718-024のオーナーは出品場所をGooding&Companyではなく、ブロードアロー・オークションズに変更している。2018年の車両落札代金+レストア費用を回収しよう、という魂胆が見え隠れした2022年の出品だったが、今回の予想落札価格は控えめな350万ドル〜450万ドルが掲げられている。”損”をしてでも手放すつもりなのか、落札価格をあえて低く謳うことで旺盛な入札を目論んでいるのか、3月1日〜2日にかけて開催される当オークションは見ものだ。

文:古賀貴司(自動車王国)