[画像] Cookie なき未来、鍵を握るのはファーストパーティとサードパーティデータの掛け合わせ

記事のポイント

IPG傘下のマグナとアクシオムは、ファーストパーティデータとサードパーティデータの組み合わせが、より幅広いオーディエンスへのリーチに効果的であることを示す調査を2023年11月に発表。

ファーストパーティデータとサードパーティデータの組み合わせは、リーチの拡大、認知度の向上、コスト削減に寄与することが示された。

ブランドの好感度アップに掛かる費用を比較すると、両タイプのデータを利用した場合は1人当たり23セント、ファーストパーティデータのみ利用した場合は1人当たり74セントだった。


DIGIDAYが入手した情報によれば、大手ーエージェンシーIPG傘下のマグナ(Magna)とアクシオム(Acxiom)が2023年11月中旬、より幅広いオーディエンスにリーチする目的でファーストパーティデータとサードパーティデータを組み合わせた場合の効果を測定した調査の結果を発表していた

IPG傘下の2社は、モバイルウェブページ上のプレロール動画広告のテストを通じて、ファーストパーティデータだけに依存してフルファネル指標を向上させようとする場合のいくつかの課題を調べた。他の調査では、範囲の狭すぎるセグメンテーションや、データをクリエイティブ面に活用しないことのマイナス面にも注目している。

「Cookieのない未来と、こうした異なるデータソースに関してどう考えるべきかについて、顧客から質問が相次いで寄せられてきた」と、マグナのインテリジェンスソリューション担当エグゼクティブバイスプレジデント、カラ・マナット氏は述べた。

Cookieなしでエンゲージメントを追跡するには



この背景には、メディアエージェンシーが、Googleの更新された予定に基づき、早ければ2024年第1四半期に行われるサードパーティCookie廃止への差し迫った移行に備えていることがある。Googleは、2020年1月に初めて発表して以来、サードパーティCookie廃止を何度も先延ばしにしてきた。だが、さまざまな変化が起きるなかで、エージェンシーとマーケターはデータソースとデータの種類を気にかけるようになると言っても間違いないだろう。

コマースを専門とするエージェンシー、アドクアドラント(adQuadrant)のCEO、ウォーレン・ジョリー氏は、プライバシー規制の厳格化とデータ利用をめぐる消費者の認識の高まりによって、エージェンシーがキャンペーンのためにさまざまなデータコンプライアンスと指標を考慮する必要があるということに同意する。ジョリー氏は、顧客データプラットフォームを利用して複数のソースのデータを統合するなど、自動化やデータ管理の分野の数多くのツールに言及した。

「多くのユーザーがCookieによるトラッキングをオプトアウトしており、エージェンシーはCookieなしでエンゲージメントを追跡する方法を模索している。我々は、個人データを匿名化するソリューションを実装し、個人の匿名性を確保するために、こうしたソリューションの有効性を評価しようとしている」とジョリー氏は語った。

ファーストパーティデータとサードパーティデータを組み合わせる利点



マグナとアクシオムによる調査の主要な成果のひとつは、ファーストパーティデータとサードパーティデータを組み合わせて利用すれば、オーディエンスにリーチする上でさまざまな利点がもたらされ得ることを示していることだ。ファーストパーティデータの場合、ブランドがリーチできるのは、以前に購入したことがない潜在的な新規顧客のうちの24%であるのに対し、サードパーティのオーディエンスには81%の潜在的な新規顧客が含まれる。

この2つのオーディエンスは「まさに文字通りに非常に異なる人々だ」とマナット氏はDIGIDAYに述べた。「この2つのグループに大きな重複はないことが分かっているので、ブランドが両方を利用する場合は、それがリーチを拡大するのに役立ち得る」

つまり、ブランドは、(サードパーティオーディエンスの方が一般に幅広く、規模が大きい場合もあるため)サードパーティオーディエンスを含めることによって、より広範なオーディエンスにリーチできる、とマナット氏は付け加えた。こうしたオーディエンスはまた、ファーストパーティオーディエンスのように対象製品の市場にいる傾向もあり、新規顧客になる可能性が高い。

また、ファーストパーティデータは認知度の向上にはつながったが、好感度や購入意図を向上させるものではなかった。サードパーティオーディエンスの22%向上と比べて、35%の向上が見られたが、サードパーティデータを利用することで、認知度や取引など、ファネル全体にわたって効果を高めることが分かっている。両タイプのデータを組み合わせてオーディエンスを構築すると、各タイプのデータの単独利用と比べて、好感度と購入意図に関して最高の結果がもたらされた。

「ファーストパーティデータを活用し、それが、サードパーティデータの助けを借りてオーディエンスを形成するモデルに反映されれば、真に高パフォーマンスのモデルを手に入れることができる」と、アクシオムでチャネルパートナーシップ担当シニアバイスプレジデントを務めるマーティン・ウェクスラー氏は付け加えた。

コスト削減も可能



2社の調査からは、ファーストパーティデータとサードパーティデータをどう連携させることで、ブランドに対する評価の向上に掛かるコストを削減できるかについても明らかになった。

ブランドの好感度アップに掛かる費用を比較すると、両タイプのデータを利用した場合は1人当たり23セント(約33円)であったのに対して、ファーストパーティデータのみ利用した場合は1人当たり74セント(約107円)だった。これは、サードパーティデータのみでうまくいかないケースがないわけではなく、成果はブランドによって異なる可能性がある、と2社は言及している。

「ファーストパーティデータはおおむね、顧客がすでに知っていることへのフィードバックループのようなものだ。というのも、ほとんどの場合は、以前にすでに消費者とやりとりしたデータだからだ。どちらも、サイロ化された情報はやや限定的なものだ。だが、それを合わせてひとつにする力は、もうひとつの力を引き出す助けになる」と、ウェクスラー氏は述べた。

[原文:Study examines combining first-party and third-party data to reach wider audiences, reduce costs]

Antoinette Siu(翻訳:矢倉美登里/ガリレオ、編集:分島翔平)