日本では6割の夫婦が陥るといわれるセックスレス。「1人でやったんだなと思うとかわいそうで…」と語る主婦の里香さん(仮名・40代)がレスに陥ったきっかけは、なんと胃腸炎。欲という欲がなくなってしまったという30代後半からの辛い日々について語っていただきました。

愕然とする夫…!彼女がレスになった原因

温暖な房総半島のマンションで、夫と2人の男の子と暮らす主婦の里香さん。以前は保険会社の事務員として働いていましたが、現在は体を壊してしまい休職中。不調を感じ始めたのは今から5年前。「まさかこんな長い戦いになるなんて思わなかった」という初期の自覚症状の様子からお話ししていただきました。

●理由はいくつも…。ストレスフルな生活

「上の子が幼稚園で、下の子がまだ1歳半くらいの時期だったと思います。夫が長期で台湾へ出張になってしまいました。そこからワンオペ生活が3か月くらい続いたんです。うちは転勤族で、ちょうど引っ越したばかり。土地勘はないし、まわりにお友だちもいない。なにをするにも常に不安と孤独がつきまとっていました」と里香さん。

子煩悩な夫は育児にも協力的。ところが突然の長期出張で、手のかかる時期の育児が里香さんの両肩に重くのしかかったのです。そして、夫の長期出張中のストレスは意外な方面にも影響を及ぼしました。

「3人目も欲しいねっていう話をしていたんです。だけれど、夫は台湾なんですよ。帰ってこられるのは月に1度くらいの頻度。本当は排卵が近づいたらなるべく多くタイミングをとりたかったのに、夫の帰ってくるスケジュールに合わせるしかなくて。それが地味にキツかったですね。じつは不妊治療もしていて、自分に意味があるって言い聞かせながら、排卵のためのお薬は毎日飲み続けていました」

●少し気持ち悪いなと思ったら

慣れない環境、孤独な育児、不妊治療…。さまざまな要因が積み重なったある日、胃がキリキリ痛み始めた里香さん。胃腸炎かなと思って市販の薬を飲んでも、なかなかよくはなりませんでした。

「おなかの痛みからはじまって、だんだん嘔吐するようになって…。病院へ行ったら最初はノロウイルスという診断だったんです。薬を飲めばすぐに治るくらいに自分でも軽く考えていたんですが、根本的な問題が解決していないので、どんどん悪化してしまいました」

食べるとおなかが痛くなって、下痢と嘔吐…、そんなことを繰り返していました。体重もみるみる落ちていくなかで、体より先に、心が絶えられなくなってしまったといいます。

「不妊治療の薬が合わなくて調子が悪く、そこにノロが重なって、食べたらまた気持ち悪くなるかもしれない、吐くかもしれない、ひとりで子育てしているのにどうしようと思ったら、食べられなくなってしまったんです。拒食症まではいかないけれど、精神状態がすごく悪かったですね。そんな状況でも育児はノンストップ。見ず知らずの土地で、子どもたちをなんとか育てねばという気持ちだけで立っているような状態でした」

●やせた妻への接し方がわからない夫

1か月ぶりに帰国した夫が目にしたのは、やせこけてしまった里香さんの姿。びっくりした勢いで「食べろ、食べろ」と必死。しかしそれもまたストレスになってしまうという悪循環に陥りました。

「もう『食べなさい』と言われて食べられるようなフェーズじゃなかったので、ただただ夫の心配すら、うっとおしく感じてしまいました。そして食欲だけでなく、性欲まで削られてしまって。夫はそういう気はあったと思うのですが、こんな辛そうな状況で悪いかなと思ったみたいで誘ってこなくなりました。こうして私たちは、5年前からずっとレスになってしまったんです」

里香さんの体重は元気だったころに比べると15kg落ちたまま。最終的に、“機能性ディスペプシア”という診断が下され、今も入退院を繰り返す生活を送っています。そのようななかで、夫との夫婦生活、子どもたちと過ごす時間とどう向き合っているのか? そのお話はまた次回したいと思います。