【激レアさん出演で話題】陰キャ・童貞・地味男子だった“現役東大生”はなぜ歌舞伎町のカリスマホストになったのか?

現役東大生でありつつ、歌舞伎町でホストをする、えーすけさん。『激レアさんを連れてきた。』(テレビ朝日系)に出演するなど、話題となっている。なぜ彼は東大生でありながら、ホストの世界に足を踏み入れることになったのだろうか。(前後編の前編)

普通の大学生がホストになった理由

えーすけさんは東京大学工学部の4年生でいる傍ら、歌舞伎町でホストをしており、文字通り二足のわらじを履く男。現在は大学で物理工学の勉強をしながら、ホストクラブ「CLUB DARLIN -IDOL-」のNo.3に君臨している実力者だ。

現役東大生ホストのえーすけさん

東大生のアルバイトといえば、「塾講師」や「家庭教師」といった頭のよさと受験勉強の知識を活かせる仕事が定番だが、えーすけさんはそうした仕事ではなく、なぜ「ホスト」という仕事を選ぶに至ったのだろうか。

「もともとかっこいい男の人を見るのが好きで、ホストを紹介するYouTubeをよく観ていました。ですが、実際にホストになるのは怖かったのでその一歩を踏み出せずにいました。大学3年生になってサークル活動が落ち着いた頃、たまたま知り合いから『ホストやってみない?』と誘われ、ちょっとやってみようかな、という気持ちで始めました」

ホストを始めるまでは、勉強の合間に大学のテニスサークルや友達との飲み会に明け暮れる、いたって普通の大学生活を送っていた。だが、いざホストを始めてみると、これまでやってきた塾講師のバイトや企業のインターンシップとは全然違うことに驚いたという。

ホストになって1年あまりでお店のNo.3になった

「ホストは一般的なバイトや仕事、そして東大とは別世界でした。僕は中高一貫の男子校に進学し、そこから東大に入ったためにまわりはいわゆる『エリート』ばかりです。ですが、ホストの世界には本当にさまざまな人がいるので毎日が刺激的で楽しく、視野が広がりました」

オシャレに目覚めたきっかけは「モテたかったから」

えーすけさんは今でこそオシャレな服装に身を包み、誰もが認めるイケメンだ。しかし、高校生の頃はファッションに無頓着で遊びに出かけることも少ない、真面目で地味な陰キャだった。

高校時代のえーすけさん

「中高時代はメガネをかけていて、いわゆる“イモ臭い”感じでした。当時は自分に自信がなく、容姿にコンプレックスを抱いていたので、女の子と上手に関係をつくることもできませんでした。もちろん遊んだりする機会もありませんでしたね」

高校時代は女子校に通う女の子と遊ぶクラスメイトを見て「いいなあ」とただ眺めてているだけだった。しかし、女の子と上手く関われず、オシャレもしない日々の中で、ひたすら勉強を最優先させていたのだという。

「私の通っていた高校では、内部進学で大学に進学するのが一般的でした。ですが、勉強に集中していて成績がよかったため東大を目指すことにしました。高2の頃から受験までのロードマップを引いて、コツコツ勉強をこなす生活を毎日続けていましたね」

東大合格発表のとき

高校時代の大部分の時間を勉強に費やし、無事に東大合格を果たすことができたえーすけさん。その後、進学を機にオシャレに本腰を入れるようになり、本格的にファッションの勉強を始めたことで徐々に自信がついたという。その結果、大学1年の後半には人生初の彼女ができた。

高校生時代(左)と現在

「そして、ホストを始めたことでさらに自信をつけることができました。ホストは女性から『かっこいい』と言われる機会が極端に多い仕事です。毎日のように女性から褒められたことで、自信だけでなく自己肯定感も上げることに成功しました」

武器は受験で培った「ロジカルシンキング」

ホスト歴1年あまりでありながら、すでにNo.3の座に輝くえーすけさん。驚くほどのスピードで出世しているが、ホストでの活躍には東大生としての学びや頭のよさは関係しているのだろうか。えーすけさんは「受験勉強の頃に培った思考法がとても役に立っている」と話す。

えーすけさんの学生証

「受験勉強では達成すべき目標を決め、逆算することがとても大事です。仕事でも同じように今やるべきことを明確化し、そこから道筋を立てて課題をこなすことを意識しています。ホストとして目指す目標は売上と指名本数ですね。この2つを上げるためには、新規のお客様を獲得することが重要になってくるんです」

新規顧客を得るためには、学歴も明かして論理的に話すことを意識して、真面目にアドバイスをするといった接客を心がけている。逆に、全然知らない話をされたときはおバカキャラを前面にだして話すこともあるという。「えー、なにそれ知らないー!」とバカっぽい素振りを見せることでギャップを感じさせ、お客さまに「可愛い」と言ってもらえることも多い、とか。「東大生」という肩書をしっかり活かした接客を考えている。

「それでも、お客様が求めていることに合わせて接客をしなければいけないので、そこを読むのが難しいですね。色恋を求めにきているのか、ただ飲みたくてきているのかの判別が特に大変です。また、女の子がどのようなことを考えていて、どのような接客や言葉が欲しいのかはなかなか分かりませんね」

目標達成のためにロジカルシンキングを駆使して仕事に取り組むえーすけさんだが、東大生の頭脳を以てしても女の子の心や感情を完全に解き明かすのは難しいそう。

「これはホストの永遠の課題ですね」と話す。

「いつかはNo.1を追い越したい」

えーすけさんはホストを始める以前、人材系のIT企業にインターンとして働いていたが、しばらくして「学ぶことがなくなった」という理由で辞めてしまったという。そんな彼はホストという職業を通して、これまでにないたくさんの学びを得ているそうだ。

店内のえーすけさん 撮影/福井求

「ホストを始めて第一に学んだのは、時間や挨拶への厳しさでした。僕のお店では10分前に出勤していないと遅刻扱いになるので、時間を徹底的に守るようになりました。それに挨拶をするときも相手の目をしっかり見るなど、人として当たり前のことを教わっています。キャスト同士は友達ではなく、ビジネスパートナーだから互いに厳しくないといけないし、逆にビジネスパートナーだからこそ、この厳しさを維持できるんだと学びました」

ホストとして、そして社会人としてのイロハを学び、日々成長を続けているえーすけさん。そんな彼が「いつかは勝ちたい!」と目標にしているのが、同じ店に所属する代表代理の十条嵐さんだ。

「十条嵐代表代理は、誰に対しても低姿勢でとても仕事熱心です。年間1億円以上も売り上げているにもかかわらず、どんなに細かいルールも徹底して守り抜いています。学校の勉強だったら僕は負けないと思いますが、とにかく仕事に対して熱心でまったく勝てない方です」

過去に一度も勝ったことがないというえーすけさんは「いつかは十条嵐代表代理を追い越したい」という目標を抱き、顧客の獲得を目指している最中だ。東大合格という関門を突破できたえーすけさんなら、憧れの人に追いつく日も遠くないのかもしれない。

勉強一筋の地味な男の子がファッションに目覚め、日本中のイケメンが集まる歌舞伎町で勝負をするようになるとは誰が想像できるだろうか。えーすけさんの変化を見ると、「人は頑張れば変わることができる」ということを教えてくれる。

#2へつづく

取材・文/福井求