エージシュートは長年ゴルフを続けている人にとって夢の1つに数えられますが、今回はドイツのベルンハルト・ランガーがエージシュートを達成した時のお話です。
エージシュートを達成するのは大変なこと
ゴルフの世界には、エージシュートという言葉があります。
エージは年齢、シュートはスコアを「出す」「マークする」という意味。たとえば、70歳のゴルファーが70というスコアをマークしたら、エージシュートを達成したということになります。
2021年のこと。50歳以上の選手が出場するアメリカのシニアのチャンピオンズツアーで、当時64歳のベルンハルト・ランガーが年齢より1つ少ない「63」というスコアをマークしました。
アメリカのメディアは、この快挙を「ランガーが年齢に1打勝った」という見出しで報じていました。これを見た私は一瞬、「年齢とまったく同じ数字より1打ベターな数字をマークしたこの快挙を、ズバリ言い表す言葉はあるのかなあ?」と思ったのですが、よくよく考えてみたら、エージシュートの意味は「年齢より少ない打数で回ること」と定義されています。
つまり、マークしたスコアがずばり年齢そのものの64だったとしても、1打少ない63だったとしても、仮に62だったとしても、どれも「エージシュート」と呼ばれるものなのです。
幸せなゴルフ人生を送れたからこそ狙えるエージシュート
言葉で記すのは簡単ですが、実際にエージシュートを達成するのは大変なこと。心身の鍛錬はもちろんのこと、ゴルフへの愛を長年、保ち続けない限り、エージシュートは達成できないだろうと思うのです。
私の周囲にも、エージシュートを何度も達成されている紳士が数人います。その紳士たちには大きな共通点があり、70歳代、80歳代になられている彼らは、みな人生を楽しんでいる様子。そういう意味で「幸せな人生」を歩んでおられる。だから、何に対しても、ゴルフに対しても、ポジティブで、だから長く続けられるのだと思います。
そう言えばランガーも幸せそうだなあ、若かったレギュラーツアー時代より、シニアになってからの今のほうが、もっと幸せそうだなあと感じられ、「なるほどね」と合点がいきました。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)