多くのゴルフ場は近い将来、地域の誰もが利用できる場所になるのかもしれません。「海の日」の7月17日、地域社会への取り組みに力を入れている鹿沼72カントリークラブのレストランでは、エプロン姿の子どもたちが、真剣な表情で「世界でひとつだけの」ピッツァ作りに取り組んでいました。15人の子どもたちが参加していたのは「こどもピッツア作り体験」と銘打たれたイベント。日本列島に熱中症アラートが並んだ日、子どもたちは涼しいクラブハウスで「作って食べる楽しさ」を満喫していました。
ゴルフ場でのピッツア作り体験が大盛況
もみじのような小さい手でも、生地はちゃんと、こねられます。シェフの指導を受けながら、ピッツァの台を作る表情は真剣そのものでした。
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トマトソースも自分で塗って、トッピングも12種類の中から好きなものを、好きなだけ。そんな姿を撮影していた親たちから、驚きの声が上がっています。
「普段はテーブルに出ていても『食べる』って絶対言わない、ほうれん草を乗せています」
食育の一環でもあるこのイベント。嫌いなものにチャレンジする意識も自然に生まれるのだから、その効果は大です。
トッピングを終えると、ピザはいよいよ窯に入ります。ここで威力を発揮するのが約130万円もする電気ピッツア窯「カリノ」。最高設定温度500度の電気窯、90秒で本格ナポリピッツアを焼き上げられるスーパーマシンです。こどもたちのピザが、2枚ずつ、次から次へと焼きあがっていきます。
その間、子どもたちはオーブンの前で、自分のピッツァが焼きあがるのを見つめ続けます。
タイマーを見ながらカウントダウン。90秒後、お皿の上に載せられた自分のピザが渡されると、何とも言えない笑みが子どもたちの顔に広がっていきます。「おいしそう~」の声を浴びながらテーブルへと向かうその顔には、達成感もにじんでいました。
口いっぱいにほおばりながら、チーズを口から「ビロ~ン」と伸ばす。ドリンクも飲み放題、デザート食べ放題を堪能した後は、「また来るね~」と手を振りながらクラブハウスを後にした子供たち。彼らにとってゴルフ場は、とても身近な存在になったようです。
このイベント、今年の2月23日と25日に開催して大成功をおさめています。今回も鹿沼市教育委員会の後援を得て、市内の小学校に告知したところ、わずか2日で満員に。第1回と同様に7月15日と17日と2日間行われ、最終日のこの日も大盛況でした。
地域と密着して共に歩んでいくゴルフ場へ
ちなみにこのイベントの参加費用は1人1,500円。ピッツァ1枚に加え、ドリンクバー飲み放題、スイーツもおかわり自由というアナウンスがあると、参加者たちだけでなく付き添いの保護者からも拍手と歓声が上がりました。
ピザもスイーツも楽しんだ子供たちは、思い切りレストランの中も駆け回ったあと、大満足の表情でコースを後にしました。
鹿沼72は2月のピッツァイベントのあと、3月25日にバーチャルゴルフを使った婚活イベント「しかコン」も開催しています。4月9日には、グループコースの鹿沼カントリー倶楽部でも行いました。
さらに鹿沼72では、花火大会を5月27日に開催。こちらも地域に密着した取り組みとして、すっかり市民の間に定着しつつあります。
夏休みには7月24日から8月29日(8月1日を除く)まで、1人1,980円(ピッツァ1枚+1ドリンク)で「ピッツァを作る!体験教室」が行われるそうです。
その後も9月18日、10月9日、11月23日、12月24日と、体験教室が開催されていく予定です。子どもも楽しめて食事もできる鹿沼72に行こう。ゴルファー以外から、そんな声が聞こえる日が、近い将来やって来るかもしれません。
取材・構成/小川 朗(日本ゴルフジャーナリスト協会会長)