1999年5月、シングル「NEVER POP ENOUGH E.P.」でインディーズデビューを果たした、BEAT CRUSADERS。白黒の顔写真を印刷したお面をかぶった男達は、瞬く間にインディーズシーンを席巻していった。2003年にメンバーチェンジを経て、2004年7月、ミニアルバム「A PopCALYPSE NOW〜地獄のPOP示録〜」で背徳のメジャーデビュー。バンド結成時からの中心メンバーであるヒダカトオル(ボーカル、ギター)と、“ビークルの良心”クボタマサヒコ(ベース、コーラス)に、メジャーデビューの理由を尋ねてみた。
――メジャーデビューされてもう2年が経ちましたが、なぜインディーズからメジャーに?
ヒダカトオル(以下、ヒダカ):前のメンバーが辞めて、一人で「どうしようかな?」と途方に暮れていて。インディーズ時代の仲間をまた募って、BEAT CRUSADERSを再編してやろうと思った時に、ベースのクボタさんがインディーズレーベルを持っていたので、「CD出してくれ」と言って、頭下げに行ったついでにメンバーになってもらったという(笑)。クボタマサヒコ(以下、クボタ):交換条件で、「じゃあ、うちでシングル出すなら、メンバーでいいよ」みたいな。
ヒダカ:そういうノリでね。
クボタ:ちょうど今年で10年ぐらいレーベルをやっていて。知り合ったのは、ファーストアルバムのレコ発ライブに、僕が前にやってたpopcatcherというバンドで呼ばれてからの付き合いで。
ヒダカ:長いね、意外に。その時にクボタさんのレーベルで出させて頂いてですね、「一生サラリーマンをやりながら、CAPTAIN HAUS所属でCD出せればいいかな」って思っていたら、運良くデフスターに拾って頂いてですね。人生で1回くらい「メジャーのミュージシャンやってました」って言ってみたかった、と(笑)。そういう動機です。
――メンバー間で話し合って。
ヒダカ:もちろん話し合いました。みんな30代だったから…カトウタロウだけ28、9だったけど、やっぱり30前後でメジャーに行くっていうのは冒険なんですよね、俺なんか35、6だったから(笑)、結構賭けと言えば賭けじゃないですか。だから一応、覚悟とか、決意だけはみんなで固めて。「成功しても、失敗しても、恨みっこなしね」って(笑)。それはものすごく話し合いましたけど。でも別に「音楽全体を変えてやろう!」とか、「音楽業界を震わせよう!」というよりは、まぁ「端っこに、こういう面白い奴らがいてもいいんじゃないか?」っていう、軽い問いかけですよね。――でも、もう充分に震わせているような気がしているんですけど。
ヒダカ:そうですね、局地的に。クボタ:ここまでになると思っていなかったし。やっぱり30ぐらいだと、今更「メジャーに行きたい!」とか「音楽でメシ食っていこう!」とか全然思ってないですしね。
ヒダカ:永ちゃん(矢沢永吉)みたいにはなれないよね、もう。
クボタ:スターにもなれないし。まぁ、スターがそんなに求められている時代でもないのかな、とも思うんですけどね。
――インディーズからメジャーに移ったからといって、特に音楽性が変わったような印象は受けていないのですが、周囲で変わったと感じることはありますか?
ヒダカ:伝達速度が速くなりましたよね、非常に。インディーズって伝達速度が遅い分、1回気に入られれば、より強固な絆になりますよね。例えば、Hi-STANDARDでパンクに入ってきた人達は多分、未だにハートに熱いパンク魂を残すんでしょうけど、多分メジャーではそれを出来ないんですよね、即効性のモノだから。だけど、逆にこっちも即効性のモノだって分かって楽しめば、それは別に弊害ではないんじゃないかって。もう30代前半、中盤、後半のメンバー達なので(笑)、メジャーとの契約が切れた時に、別にそこでアタフタはしない。音楽関係の別の仕事に就くとか、全然音楽と関係ない仕事をするとか。そこに対する恐怖は無いですからね。元々、お面だから、大して面割れもしてないし(笑)。――今回の新曲の着うたが100万ダウンロードを達成したら、お面を取るというのは本当なんですか?
ヒダカ:取りますよ、全然。「俺達はミリオン売れたらお面を取る」って、ずっと言ってましたので。どうせ売れないんでね(笑)。それぐらいで売れたら苦労しないですよ、この世のミュージシャン達みんな。――インディーズで何万〜何十万枚と売り上げるアーティストもいれば、一方でメジャーで活動していても数千〜1万枚売れればいいというような、一部ではメジャーとインディーズの立場が逆転している状況がここ10年くらい続いてますよね。いち音楽ファンとして見ている分には面白くもありつつも、実際にその中に身を置かれる側として、不条理を感じることはないですか?
クボタ:まぁ、自分で言っちゃうのもなんですけど、変わった点というのは、伝達性が早くなって色んな人に間口は広がったけど、「音楽の本質がちゃんと伝わるかどうか?」という危険性も増えましたね。インディーズの時って、リスナーが自分で探していて辿り着くから、差別するわけじゃないですけど多分、聴き込み方も深いと思うし。ただ、今は「何々で見た」とか、例えば「主題歌をやっているから」というだけで買ってくれるけど、そこから先にどれくらい辿り着くかっていうのは、かなり確率が低くなっているような気はする。その危険性はあるから、そこをなんとか「深く聴いてもらえるようにやっていかなきゃな」と思っています。――インディーズのビジュアル系バンドなどで、コアなファンがある意味「自分達が育てた」みたいな、ちょっとした所有意識を抱いてしまって、メジャーに行って手の届かない存在になると「音楽性が変わった」というのを理由に離れてしまうこともありますが。
ヒダカ:意図的にセルアウトしてみたんですけどね、なんか、あまりそういう風に映らないんですよね、うちの場合。――えぇっ!?本当は変えてたんですか?
ヒダカ:いや、「セルアウトぐらい言われても全然いいかな」ぐらいのつもりでやってるんですけど、やっぱりあまり変わらないので(笑)。やってる俺達も特にそんな感じも無いので。――実際にインタビューする側としては、今までと変わったことなどを質問するのが仕事だったりもするのですが、新曲を聴かせてもらっても、今回の曲だから特に何かが変わった、みたいなものは感じなくて。
ヒダカ:むしろ、昔に戻ったぐらいの勢いですね。――あれっ!?インディーズのデビュー曲じゃん、みたいな。
ヒダカ:インディーズ時代の曲がふんだんに入ってますからね(笑)。――そうだ、木村カエラさんとのPVの話を。
ヒダカ:そこら辺はメジャーっぽいですよね(笑)。――どんな経緯で?
ヒダカ:元々、カエラちゃんのバックバンドをやっているのは、SCAFULL KINGだったりASPARAGUSだったり、toeだったりするので、友達ノリで接していられたので。で、イベントで一緒になって、当然そういう友達を乗り越えて、カエラちゃんに到達しようとメンバー全員頑張ったんですけど(笑)、当然カエラちゃんというハードルは非常に高いので、まずそのハードルを下げるためにも、「ミュージックビデオに出てもらえませんか?」と。――まずは外堀から埋めて。
ヒダカ:ちょうど監督と話していて、「今回は“愛が伝染する”という歌詞だから、伝染つながりで、とりあえずコンドームをかぶろう。そういうコンセプトのビデオにしよう」と言ってて(笑)。で、コンドーム風船をかぶったオレ達が浮いちゃうんですけど、「その風船を抑えているのは、誰が一番面白いかね?カッコイイかね?」と考えた時に、逆に、どメジャーなカエラちゃんがそれを抑えている方が…しかもさり気なくね、スタッフ目線で…その方がクールだろう、と。クボタ:ローディやらせるっていう(笑)。
ヒダカ:「それぐらいの方が逆に面白いんじゃないか?」ということで頼んでみたんですけど。そしたら本人もやっぱり、キレイキレイ、カワイイカワイイで着飾らなきゃいけないシチュエーションが多いじゃないですか、基本的にはモデルさんだから。そういう使われ方をするのは初めてなので、逆に「全然やりたい!」って言ってくれて。「その換わりに私のPVにも出てね」って言われたので。そこはもう、むしろ喜んで。というか「俺達で本当にいいのか!?」ぐらいの。逆に「迷惑なんじゃないかなー?」みたいな(笑)。
――7月にASIAN KUNG-FU GENERATIONのイベントに出演されたりと、同世代だけでなく年下のバンドからイベントに誘われることも多いと思うんですけど。お客さんも、音楽の夢を諦めてしまった同世代のサラリーマンが、その夢に重ねて見てしまったり。これから社会に出る年下の世代からは、まさに憧れの存在として見られたりしてますね。
ヒダカ:なんか面白がってくれてますよね。――そういう現状をどう思いますか?
ヒダカ:嬉しいですよね。全然、客層は限定してないんですけど。1番象徴的だったのは、ミュージックステーションに出たことだと思うんですよね。結局、ミュージックステーションに出てイメージが悪くなるっていうのは、アーティスト側の限定なんですよね。アーティストが自ら柵を作るということじゃないですか。俺達は逆にそれはいらないんですよね。ミュージックステーションに出て「カッコ悪い」と言われたら、それはそれでしょうがないというか。いる場所とか、立ち位置とか、ルックスでどうこう言われるのは、ぶっちゃけどうでもいいですよ。曲が良ければいい。曲を「良い」「悪い」言ってもらって、「曲が悪い」と言われたらすごく落ちますけど。それ以外は別に「顔が悪い」では全然落ちないし、だからこそお面だし(笑)。だから、こっちも聴き手を選ばないですよね。その代わり、1回入ってきた聴き手には、ものすごく聴く物を選ばせますけどね。多分、そういうシステムをオレ達が作ってるからじゃないですかね。BEAT CRUSADERSに食いついてきて、そこからジャニーズに行く、ってことは多分無いですよね。ロンドンパンクの方に行ったり、メロディックなパンクに行ったり、あるいはギターポップに行ったりだと思うので。そういう仕組みを俺達なりに日々努力している感じですね。クボタ:今回のシングルも、例えば1曲目の「TONIGHT, TONIGHT, TONIGHT」も、逆に僕達が中高生とかに聴いていたフリッパーズ・ギターぐらいから、Teenage Fanclubあたりのギターポップものを今やってみると、若い子には新しいし、同じ世代だと「あぁ〜、ニヤリ!」という感じ。2曲目にしてもそうだし、どんな曲もそうですね。その何か不思議な現象が、隙間産業というか(笑)。それやれるのは意外と自分達しかいなかったり。
ヒダカ:スキマっぽいよね(笑)。
――2曲目の「I WANNA GO TO THE DISKO」の「ディスコ」って最近、聞かない言葉ですよね。
ヒダカ:それがね、イベントに出ていく内に、RYUKYUDISKOと仲良くなったり。あとは、前の事務所が電気グルーヴの卓球さん、瀧さんと一緒だったので、結構クラブ寄りになることが多かったんですよね。個人的にSUGIURUMNと仲がいいので、その杉浦君のイベントとかに遊びに行っている内に、4つ打ちをバンドでやるっていうことの意義が段々、俺達の中で過熱していったって感じなんですけど。ただ、BEAT CRUSADERSがやるんだから、Chemical Brothersとかunderworldとかじゃなくて、もっとベタなバンド感というか。クボタ:やってみると80’sの匂いがどうしても出ちゃう(笑)。
ヒダカ:それが逆にキッズにとっては新しいんだろうなって思います。
――日本のロックバンドはギター系のバンドが多い中、BEAT CRUSADERSはメンバーにキーボードがいるので、サウンド面ですごくプラスになることも多いと思いますが、結成以前から、キーボードの音が欲しかったのですか?
ヒダカ:最初はもっと、DEVOみたいにしたかったんですよ。――全然違うじゃないですか(笑)。
ヒダカ:全然着地点が変わっちゃったんですけど、最初の発想はその辺の、DEVOとか、YMOのもうちょっとロック、パンク寄りみたいな感じですよね。それがやっていく内にどんどん。やっぱり、DEVOやYMOのまんまはやっても本物を越えられないから、試行錯誤している内にこうなった感じですよね。だからSNUFFとかNOFXにたまにトランペットが入るみたいな、あれが鍵盤になった感じですよね。鍵盤だったらもうちょっと自由度が上がるんじゃないかな、みたいな。――今回、初回生産限定盤には4曲収録されていますが、ギター1本ではないサウンドが、バラエティーに富んでいると思いました。
ヒダカ:俺達的には21世紀版“Wall of Sound”のつもりなんですけどね。Phil Spectorバリの音の壁を塗り込んで行こう!みたいな。そういう意味では1個でも楽器は多い方がいいんですよ。――通常のリリースの他にも、他のアーティストとのスプリット盤をリリースされていますよね。インディーズでは別に珍しいことではないですが、メジャーでスプリットってあまり聞かないですよね。
クボタ:コラボレーションとは言うけどね(笑)。――多いですね、コラボ、コラボって。とりあえず、リスペクトみたいな。
クボタ:フィーチャリングとかも多いですよね。ヒダカ:マッシュアップって言ったりね。色々言い方はあると思うんですけど、スプリットでいいんですよ、俺達は。去年、メジャーデビューアルバム「P.O.A. 〜POP ON ARRIVAL〜」が、オリコン3位に入ったんですけど、それが俺達的にも戸惑いだったんですよね。そんなにウケると思っていなかったから(笑)。「まぁ、50位ぐらいに入れば、ものすごいことだねー」みたいに言ってたぐらいなんで。
――ライブにお客さんがたくさんが入ることと、CDが売れることとはまたちょっと違いますが。ROCK IN JAPANとかのフェスで、2万人ものお客さんからあれだけの反応が返ってくるのって、なかなか出来るバンドは少ないと思いますよ。
ヒダカ:俺達もそうなるとは、あまり予想してなかったですからね。局地的に、フェスでも端っこの小っちゃい方のステージで、好き者達が「ワァー!」という感じを想像してたので(笑)。あわよくばフェスに出られたとしてもね。――でも、もう何年も。
ヒダカ:3年目ですよね。段々ステージがデカくなってくし。クボタ:ヒダカ以外のメンバーなんて、それまで1万人とかの前でやったこともないし、大体フェスにも出たこともないのに、入ってすぐの年にROCK IN JAPANとかって、「なんだこりゃ?」って(笑)。自分達が1番慣れていない。
――お面の下では、実は緊張されていたりするんですか?
ヒダカ:いやもう、バリバリ緊張してますよ(笑)。――本当ですか?
ヒダカ:えぇ。ただ、人前でやるのは気持ちいいですから。そこが緊張感に勝れば、とりあえず大丈夫。オ○ンコールはやっぱり気を遣いつつも、遠慮なく言わせてもらう(笑)。――本当に気を遣っているんですか?
ヒダカ:いや、あまり遣ってないか(笑)、確かにね。クボタ:最近は、お客さんの方が気を遣ってないですからね(笑)。
――アレを待っている感じがしますね。
ヒダカ:ROCK IN JAPANでグループ魂が一緒でしたけど、阿部サダヲ君が1番待っていましたからね(笑)。オ○ンコールでものすごく暴れすぎて、履いていたサンダルがなくなったから、俺達の物販で売っていたサンダルを「ちょうだい」って言ってきましたから! あれは面白かったです(笑)。――夏フェスなどイベントにも数多く出演されてますが、インディーズの頃から自主企画をやられてますよね。
ヒダカ:BOYZ OF SUMMERですよね。――自分達で好きなバンドを集めて。
ヒダカ:さっき言った、思ったよりリアクションが良かったのと一緒で、常に原点を確かめていないと不安なんですよ。普通にオリコンの上位に入る人気者バンドというのが、ぶっちゃけ居心地悪いですから(笑)。全然気持ちのいいことじゃないので。後は、それを維持するということは多分もう、音楽の本質とは関係無いじゃないですか。常に上位にいるとか、売り上げをキープするということは、音楽の本来の目的とは全然違うことなんですよね。それは職業としての目的でしかないから。今回、原点回帰しているのはそういうことですよね。「自分達が本当は何をやりたかったんだっけ?」というのを確かめる作業だったり。イベントもそうですよね。逆に、“インディーズ”という血から逃れられないし。むしろ俺達も、その血を洗おうとは全然思っていないので。クボタ:5、6年前に普通に下北沢SHELTERとかで企画しているのと変わらないというか、やっぱりIDというか、それが自分達の出所だし。多少、会場が大きくなるとかはあるんですけど、自分達的には、そこは変わらない。
ヒダカ:ぶっちゃけ、日比谷野外音楽堂でもデカイぐらいだよね。もっと小さくていいよね。
クボタ:全然いい。
ヒダカ:新宿JAMとかいいよね。
クボタ:ANTIKNOCKとかね。
ヒダカ:だって、新宿JAMで初めてsold outして、ギャラ10万円ぐらいもらった時、ものすごく嬉しかったですからね。その気持ちは今もあまり変わらないですから。
――バンドをやっていて、「仕事」みたいな意識は全くない感じですか?
ヒダカ:仕事としてはちゃんとやりますけど、もちろん!そこはだから大人な所なんですよ、俺達はね。――あぁー、なるほど!
ヒダカ:そこを完全にシカトするんだったら、ずっとCAPTAIN HAUSにいればいいことなので。メジャーに行くからには、ちゃんと商業的にも成り立たせなきゃいけない。――すごく今、大人な回答を聞いた気がします。
ヒダカ:でもね、そのバランスを自分達でも楽しめているんですよ、今はね。それが逆にラッキーだなと思いますよね。元々、俺も音楽業界でサラリーマンをずっとやっていたから、その仕組みは分かっているので。クボタさんも自分でインディーズレーベルをやりながら、別のレーベルでpopcatcherという、自分のバンドのCDを出していたから。クボタ:結局今も、僕もレーベルを続けて新人の子を出したり、ヒダカとタロウがGALLOWというインディーズのネオアコ・バンドをやったり、ケイタイモがMONG HANGやったり。
ヒダカ:メンバーのサイドユニットはね、インディーズで出してたりするんでね。
クボタ:逆に全部一緒にやった方が面白いなって、この差が。でも結局、音楽だからそこは関係無いというか、あとはもうお客さん達がそれをどう取るか、ということだと思うので。
ヒダカ:そこを逆に、リスナーに問うてる感じがすごくしますよね、俺達は。
クボタ:だから全力でそこをやり切ろうとは思ってますね。
ヒダカ:メジャーだろうがインディーズだろうが、やっぱりちゃんとどっちも全力でやりたい感じはしますね。
――皆さん、インターネットはやられたりするんですか?
ヒダカ:一応、みんなノートパソコンは持ってるんですよ。自分達のホームページのコラムを自分達が書いてるから、それの更新も便利ですよね。――事務所チェックみたいなのはあるんですか?
ヒダカ:事務所チェックないよね。クボタ:全くない。むしろ、して欲しいぐらいな(笑)。
ヒダカ:タロウとかマシータのコラムはヒドイ時とかあるからね(笑)、読みにくかったり。
クボタ:普通に、こういうインタビューの校正もメンバーが最終ですからね。5人で回して。
――今でもツアーやプロモーションで地方を回る時には、ショップ回りなどをしたり?
ヒダカ:やってますよ、バリバリ。――何も変わらない感じですね。
ヒダカ:何も変わってないですね、確かに。都市圏のお店に行くとお客さんがものすごく気付いて、キャッキャ言われる時もありますけど、地方だと全然、ね…。クボタ:気付かれない(笑)。
ヒダカ:だからガンガンお店に行ってますよ。面白いのは、地方の外資系とかレコ屋さんいって、俺が「インディーズの○○ありますか?」って聞くと、お店の人の方が分からないんですよね。やっぱり、未だにリスナーなんですよ、結構…しかも、かなりディープな、かなりコアなリスナーですよね、俺達自身が。どこで面白い音楽が鳴っているか知りたくてしょうがないんですよね。それで自分達もその1個になれればいいな、と思いながらやってるって感じがすごくありますよね。
――確かに、レギュラー番組などで教わってる感覚はありますね。
ヒダカ:だからBEAT CRUSADERSがNo.1になることは、割とどうでもいいというか。No.1になった結果、何が聴かれるかの方がむしろ重要というか。スプリットもそうですよね。BEAT CRUSADERSがCDを出すことによって、YOUR SONG IS GOODが聴かれれば、多分、世界はもっと良くなるはずなんですよね。センスのいい音楽が街に溢れていけば。――今後やってみたいことを教えて下さい。
ヒダカ:テレビ番組がやりたいですね。自分が好きなものを紹介する番組がやれたらいいなと。ラジオって確かに音楽を聴く分にはいいんですけど、ビデオも掛けられたらいいじゃないですか。今、スペースシャワーで番組やってるけど、洋楽番組なので、やっぱりある程度、限定されちゃいますから、その限定を取り払ったものをいつかやってみたいですね…「タモリ倶楽部」と「冗談画報」が合体したようなヤツを。泉麻人さんとタモさんを同時に体現したいですよね。プラスみうらじゅんさんみたいな下ネタも入れて(笑)。今の所はそれをCDとライブでやっている感じですけど、それをもっと多角的にやれたらいいなと思います。それこそネットでね、そういう企画っていうのも面白いだろうし。是非是非お願いします。上の許可がなかなか下りないと思いますけど(笑)。クボタ:アニメか映画を作りたいですね。もうちょっとこの、お面のアイコンを浸透させて、お菓子でも何でもいいんですけど。音楽プラスアルファの芸術的なものを全部内包して、何かやりたいなって。
ヒダカ:「アニメ・ザ・ビートルズ」みたいな(笑)。
クボタ:「Yellow Submarine」的なものでもいいですけど。
――そういうPVでもいいですよね。
ヒダカ:フルCGは1回やったね。タナカカツキさんといって、電気グルーヴとかとつながりのある漫画家さんで、「バカドリル」とか書いてる方ですね。たまたま電グルの打ち上げで紹介してもらったんですけど、俺達タナカカツキさん大好きだったから、「ミュージックビデオを撮ってください」ってお願いしたら快諾してくれて。しかも打ち合わせなんか大事な話は10分くらいで終わったし(笑)。クボタ:その後はずっとおしゃべりで終わっちゃった(笑)。
ヒダカ:「面白いのと普通のとどっちがいい?」って言われて、「面白い方でお願いします」と言ったら、打ち合わせが終わったという(笑)。やっぱりパンチがある人は、作り出す物も面白いですよね。
クボタ:漫画も描きたいですね。
――絵を描いていたりするんですか?
クボタ:いや(笑)。ケイタイモはちょっと4コマぐらい書いてますけど。連載とかしてみたいです。ヒダカ:自分達の好きなメディアにどんどん食い込みたいですよね。
クボタ:例えば、今自分たちが連載してる雑誌でも、ジャケットのアートワークでも、カメラマン選びでもデザイナー選びでも本当にほとんどゼロから立ち会って決めていくので、やっぱりそういうのが楽しいな、ってすごく思うんですよね。
ヒダカ:ものすごい理想を言えば、BEAT CRUSADERSが1個のメディアでありたいです。
クボタ:もちろん、インターネットでもいいんですよ。
ヒダカ:そこをクリックするとTOY DOLLSが出てきたり、NIRVANAでもいいし、LAUGHIN’NOSEでもいいんですけど、そういう所をちゃんと紹介できる媒体でありたいですよね。
クボタ:BEAT CRUSADERSにいっぱいリンクが張ってあるっていう形。
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