【画像あり】熱烈キス、全裸男乱入、作品賞タイトル間違い…90年以上の歴史を誇るアカデミー賞授賞式での笑いと衝撃の10大事件簿

昨年、主演男優賞を受賞したウィル・スミスが起こしたビンタ事件が記憶に新しい、アカデミー賞授賞式。今年、第95回授賞式が3月13日(日本時間)に行われるのを前に、歴史に刻まれたショッキングな事件を紹介しよう。

【1】前代未聞! 作品賞タイトル間違いハプニング

壇上で喜びのスピーチが行われる中、間違いに気づいた『ラ・ラ・ランド』のプロデューサー、ジョーダン・ホロウィッツ(左)が『ムーンライト』製作陣に壇上に上がるよう呼びかけた。中央は司会のジミー・キンメル、右はウォーレン・ベイティ
ZUMA Press/amanaimages

あってはならない前代未聞の間違いが起きたのは2017年。作品賞に輝いたのは『ムーンライト』(2016)なのに、壇上では『ラ・ラ・ランド』(2016)と発表されてしまったのだ。

原因は、プレゼンターを務めたウォーレン・ベイティとフェイ・ダナウェイに、誤って主演女優賞発表用の封筒が手渡されたこと。

すでに『ラ・ラ・ランド』(2016)のチームが受賞スピーチを始めてしまった後に間違いが発覚し、同作のプロデューサーが「手違いがありました。作品賞は『ムーンライト』です」と発表するという、なんとも気まずい特大のハプニングとなってしまった。

【2】ジョン・トラボルタとイディナ・メンゼル、名前言い間違い合戦

1年越しの仕返しに成功したイディナ・メンゼル(左)と、「それくらい言われてもしょうがないよね」と懺悔したジョン・トラボルタ(右)
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2014年の授賞式でジョン・トラボルタは、歌曲賞候補の「Let It Go」(『アナと雪の女王』)のパフォーマンス紹介で、イディナ・メンゼルの名前を「アデル・ダジーム」と言い間違えてしまった。直前にゴールディ・ホーンに出くわして緊張したからだそうだが、かなりひどい言い間違いだ。

おもしろいのは、翌年にメンゼルがプレゼンターを務めた際に、「私の親愛なる友人を迎えてください。グロム・ガジンゴです」とデタラメな名前でトラボルタを紹介。ふたりは壇上でハグをして、世界中に仲直りする姿を披露した。

【3】アンジェリーナ・ジョリーが実兄と熱烈キス!

アンジェリーナ・ジョリー(左)と兄のジェームズ・ヘイヴンのキスに世界が騒然
Shutterstock/アフロ

2000年の授賞式に、実の兄ジェームズ・ヘイヴンを同伴して出席したアンジェリーナ・ジョリーは、『17歳のカルテ』(1999)で助演女優賞を受賞。壇上のスピーチでは「ジェイミー、あなたがいなければ私は何者でもない。あなたは私が知っている中で、最も強くて素晴らしい男性よ。愛しているわ」と、兄への愛のメッセージを送った。

そして、アフターパーティで2人が唇にキスをしているのが激写された。居合わせたレポーターは「それまでのアカデミー賞では見られなかった、露骨にセクシャルな瞬間だった。2人はダークでセクシャルな華やかさと美しさを放っていた」とコメントしている。

【4】エイドリアン・ブロディがハル・ベリーに壇上でキス

エイドリアン・ブロディ(左)からの突然のキス。ハル・ベリー(右)はのちに「困惑した」と打ち明けた
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2003年、『戦場のピアニスト』(2002)で主演男優賞を受賞したエイドリアン・ブロディ。当時29歳だった彼は、ジャック・ニコルソンやダニエル・デイ=ルイス、マイケル・ケイン、ニコラス・ケイジといった錚々たる顔ぶれの候補者の中から、史上最年少で主演男優賞に選ばれた。

ところが喜びの興奮からか、壇上に上がるなり、プレゼンターだったハル・ベリーを強く抱き締めながら熱烈なキス! 咄嗟のことにハルも彼の首に手を回してキスに応えたものの、離れた後には苦笑いしていた。

【5】司会者がセルフィー&ピザをデリバリー!?

豪華すぎるセルフィーに世界が熱狂!
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毎年、アカデミー賞の司会者は誰なのか、授賞式をどう盛り上げるのかにも注目が集まるが、2014年に司会を務めたエレン・デジェネレスの演出は斬新だった。

客席に降り、ブラッドリー・クーパーにスマートフォンを持たせ、ブラッド・ピットやアンジェリーナ・ジョリー、メリル・ストリープらセレブたちと自撮りしてTwitterにアップ。

さらにピザのデリバリーを頼み、ブラッドがお皿配りを手伝うなか、ジュリア・ロバーツやジャレッド・レトらに振る舞った。その後、スターたちからしっかりお金を回収して配達人へのチップを渡すなど、大盛り上がりとなった。

【6】会場にキャンディが降ってきた!?

天井からキャンディを降らせた司会のジミー・キンメル(中央)。彼が抱っこしているのは、6部門にノミネートされた『LION/ライオン ~25年目のただいま~』(2016)で、デヴ・パテル(後方の白いタキシード)の少年時代を演じたサニー・パワール
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2017年に司会を務めたジミー・キンメルは、メリル・ストリープを「ハリウッドで最も過大評価された女優のひとり人だ」とTwitterで非難したドナルド・トランプに向け、「やあ、トランプ大統領、メリルがよろしくと言っているよ」と生ツイート。ほかにもトランプへの皮肉を込めたメッセージを発信し続け、大きな話題を呼んだ。

また、ドレスを着こなすためにダイエットに励むセレブへの残酷なプレゼントとして、会場の天井からパラシュートをつけたキャンディを降らせたり、一般人観光客を観客席に乱入させたりと、いたずら心たっぷりの演出で盛り上げた。

【7】ロベルト・ベニーニ、大興奮のあまり跳ねながら登壇

ロベルト・ベニーニのあまりの興奮ぶりに、会場は大盛り上がり
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1999年の授賞式で話題となったのは、監督、脚本、主演を務めた『ライフ・イズ・ビューティフル』(1997)で主演男優賞に輝き、外国語映画賞も受賞したロベルト・ベニーニ。プレゼンターのソフィア・ローレンから興奮気味に名前を呼ばれると、歓喜のあまり椅子の背もたれに立ち、ピョンピョン跳ねながら壇上に上がった。興奮したベニーニの姿に、会場中が笑顔に。受賞の喜びを、全身を使って最大限に表現していたのが忘れられない。

【8】ジェニファー・ローレンスつまずき事件

クリスチャン・ディオールのドレスを踏んで転倒してしまったジェニファー・ローレンス
ロイター/アフロ

アカデミー賞の授賞式にはハプニングもつきものだ。2013年、『世界にひとつのプレイブック』(2012)で主演女優賞を受賞したジェニファー・ローレンスは、壇上に上がる際にドレスの裾に足を取られて階段でつまずいてしまった。

このとき、すぐに彼女に駆け寄って手を差し伸べたヒュー・ジャックマンの紳士ぶりも話題となったが、ローレンスは頭が真っ白になり、長い間このハプニングを引きずったという。

【9】マーロン・ブランドの受賞拒否

マーロン・ブランドは代理で出席した女性に8ページにわたるスピーチ原稿を渡していたが、時間の都合で読み上げることはできなかった
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授賞式の“事件”は、遠く1970年代にも大きいのが2件も起きている。

1973年に『ゴッドファーザー』(1972)で主演男優賞に選ばれたマーロン・ブランドは、ハリウッドにおける人種差別への抗議を理由に受賞を拒否。ネイティブ・アメリカンの活動家であるサチーン・リトルフェザーがブランドの代理で登壇し、世界に向けて問題提起を表明した。

【10】全裸男がステージを駆け抜ける

今も語り継がれる衝撃的瞬間
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1974年には、全裸の男性がピース・サインを掲げて、司会のデヴィッド・ニーヴンの後ろを駆け抜けるという大事件が。

ニーヴンはエリザベス・テイラーの紹介をしていたのだが、会場が騒然とする中、驚きつつも機転を利かせ、「人生で最大の笑いを取る唯一のチャンスに、自らの“至らない”部分をさらけ出したのは、素晴らしいことじゃないですか」と言って笑わせた。

全裸男はフォトグラファーで活動家のロバート・オペルで、記者のふりをして会場に潜入したとか。

白ブリーフ一丁で登場し、爆笑をさらったニール・パトリック・ハリス
Polaris/amanaimages

ちなみに、2015年の授賞式で司会を務めたニール・パトリック・ハリスは白ブリーフのみの姿で登場したが、これは『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2009)にインスパイアされた“衣装”で、れっきとした演出だったそうだ。

さて、2023年の授賞式ではどんな“事件”が起きるのか。しっかりと見届けたい。

文/清水久美子