あやしい魅力を放つホンダ「不夜城」

 2年に一度開催される「東京モーターショー」。2019年を最後に、新型コロナウイルスの影響で開催を見合わせていましたが、2023年秋には名称を「JAPAN MOBILITY SHOW(ジャパンモビリティショー)」に改めて、4年ぶりに開催されることになりました。
 
 そこで、これまでの東京モーターショーで登場したモデルを振り返り、今回は1999年の第33回東京モーターショーにホンダが出展した「不夜城」を紹介します。

インパネがDJブース!? ホンダ「不夜城」がなんかスゴい…

 不夜城は、「スケボー感覚の軽やかなノリで、街を駆けるニュージェネレーションビークル」として試作されたコンセプトカー。

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「深々とシートに身をゆだねるのではなく、もっと遊び心に満ちたスタイルで走りを楽しみたい。スケボーに乗って風を切るように、インラインスケートで街を駆けるように、軽やかな感覚で都会を滑り抜けるクルマがあっていい」という発想から生まれたといいます。

 全高1995mmという超ハイトな縦長の空間を活かし、シートに深く腰掛けるという常識を覆したセミスタンディングシートを採用。スケートボードに乗っているような感覚でリズミカルに街を楽しむスタイルを実現しました。なお、4人乗りのシートには4点式のシートビルトインベルトが備わっています。

 ドアは大きく開閉する新スタイルのサイドドアを装備することによって楽に乗り降りができるほか、横開きのリアハッチの内側はスケートボードのラックが内蔵されるなど、独自の仕掛けも盛り込まれました。

 夜でも昼のように明るくにぎやかな場所を意味する不夜城らしく、インテリアは「クラブ」をイメージ。DJブースのターンテーブルを模したハンドルや、DJミキサーにヒントを得たエアコン・オーディオの操作パネル、また、ドアには大口径スピーカーを配置し、車内の雰囲気を盛り上げます。

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 ユニークすぎるホンダ 不夜城の登場に度肝を抜かれた来場者も多かったことでしょう。

 ちなみに、その後ホンダは、不夜城の発想を現実にしたかのような、車内で音楽を楽しめるモデルとしてホンダ「N-BOX スラッシュ」を2014年に発売しました。

 軽スーパーハイトワゴンの「N-BOX」(初代)をベースにルーフを100mm低くし、リアに向かってルーフラインを絞りつつ、ウインドウラインは逆にせり上げることでクーペスタイルを演出。

 車内をライブ会場に変える「サウンドマッピングシステム」(8スピーカー+1サブウーファー)を採用し、スペースに制約のある軽自動車でありながら、パワフルな重低音と全域でバランスのとれた高音質サウンドを追求したスピーカーレイアウトを実現しました。

 さすがに、N-BOXスラッシュにはターンテーブル型のハンドルは装着されませんが、インパネ下部には専用のウーファーが鎮座。内外装では5つの世界観を設定するなど、こだわり抜いた軽自動車として鋭い感性をもつユーザーに支持されました。