《千羽鶴とか『無駄な行為をして、良い事をした気分になるのは恥ずかしい事である。』というのをそろそろ理解して貰いたいと思ってるのは、おいらだけですかね?》

4月16日、Twitterでこう呟いたのは実業家の“ひろゆき”こと西村博之氏(45)。「朝日新聞DIGITAL」が12日に配信した「『頑張っている人に届けたい』 ウクライナの人々へ折り鶴4200羽」と題する記事を添付し、冒頭のように苦言を呈した。

翌17日にも、《「折り鶴を受け取る側が喜ぶ状況なのか?」と考えるよりも「良い事をしてる私の気持ちな大事!」という、相手の状況よりも自己満足を優先する人が折り鶴肯定派に多いんですよね》とツイート。続けて、《処理に困るものを送るのは相手が欲しいのか確認してからにしましょうね、、と》と指摘した。

メンタリストのDaiGo氏(35)も、同日にTwitterを更新。《ひろゆきさんの言う通り、ウクライナに折り鶴送るは狂気。実際は誰と助けないのに、いいひとぶりたい人のエゴでしかない》とひろゆき氏に賛同。続けて、《結局、口だけで誰も助けず、いい人振りたいだけの愚者の行動。そんな暇あるなら、バイトでもして、ウクライナに海外送金してあげなよと》と呼びかけた。

さらに続くツイートでも、《ウクライナに折り鶴送る人の気持ちを踏みにじるな! っていう人いますが…安全な日本から、家族が目の前で殺されてるウクライナに、千羽鶴届蹴られてら感謝する人、ほぼゼロだと思うんですよね》などと強い言葉で批判した(原文ママ)。

ひろゆき氏やDaiGo氏の意見に、ネット上では《これは確かにって思った》《現実問題としてあまり役にたつとは思えない》と賛同を示す声が。一方で《別に悪いことをしているつもりはないわけだし》《人が人を想う気持ちはそれだけで素敵なことだと思います》といった声も上がっており、議論が巻き起こっている。

■日本折紙協会も消極的

ロシアのウクライナ侵攻が開始してから、間もなく2カ月が経とうとしている。爆撃などによる甚大な被害が広がっており、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると約480万人以上のウクライナ人が避難を余儀なくされているという。

各紙によると、ウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使は7日、「日本の人々からは50億円を超える寄付を頂いている」と謝意を伝えたという。寄付金などウクライナへの支援活動が広がる一方で、千羽鶴の寄贈も各地で増えているようだ。

在日ウクライナ大使館は15日、岡山市にあるNPO「まちづかい塾」から千羽鶴を受け取ったことをTwitterで報告。《大使は岡山の友人の皆様に心から感謝の意を表しました》と綴っている。

「ひろゆきさんが添付した記事は、埼玉県にある障害者就労移行支援施設での取り組みでした。他にも鹿児島県喜界町の町母子寡婦福祉会など、ウクライナ大使館へ千羽鶴を届けようとする動きが報じられています。一方で、千羽鶴を町民ホールに設置したり、長崎の平和公園に奉納したりするといった方法で平和を願う人たちもいます。

東日本大震災や西日本豪雨、熊本地震の時も、被災地に千羽鶴を送る行為に賛否の声が上がりました。お金や物資のような必需品とは異なることから、送る場所やタイミングなどTPOへの配慮が求められているようです」(全国紙記者)

果たして、在日ウクライナ大使館にはどれくらいの千羽鶴が届けられているのだろうか? そこで本誌は18日に大使館に問い合わせてみた。しかし、コンタクトを取ることはできなかった。

もう一方で、日本折紙協会にも大使館に千羽鶴が届けられていることについての見解を聞いた。担当者によると「ウクライナへ千羽鶴を届けたい」との相談は寄せられているというが、「こちらでは先方の事情を把握できていないので、送るようには伝えておりません」とのこと。

また、このような動きをどのように受け止めているか聞いてみたところ、「お気持ちとしては皆さん平和を願って送られているとは思いますけど、それが今、ウクライナの状況で実際にどのように役に立つかということは我々も想像がつかないので……」と消極的な回答だった。

平和を願って千羽鶴を折ることは、決して悪いことではない。だが、受け取る側の状況を想像する必要がありそうだ。