自分の中の情熱を見つけるためのエクササイズを紹介します(Sergey Nivens / PIXTA)

やりたいことがない、特に好きなことがない。進路を決めなければならない学生のみならず、すでに社会人であってもそんな悩みを持つ人は少なくないかもしれません。

ですが、資産10億ドルを超える「ビリオネア」であるアンドレス・ピラ氏は、自分の中の「情熱」を見つけるのは、思っているよりも簡単だと言います。氏の著書である『ホームレスから大富豪になった人がお金を無限に増やした方法』より、情熱を見つけるためのエクササイズを紹介します。

情熱を見つけなければ何もはじまらない

特に好きでもない仕事を続けている人は、自分の情熱がわからないという問題を抱えることが多い。ルーティン化した仕事はすぐに飽きてしまい、やりがいを感じなくなる。何かを変えたいとは思っているが、どうすればいいのかわからない。

自分の好きなことを見つけなければ、何も始まらない。好きなこととは、あなたの情熱だ。それが見つかれば、情熱のために働くのが楽しくなり、それがやがて成功へとつながる。

たとえば、15で高校を中退し、ギャングのメンバーとして目的もなくさまよっていた私は、見知らぬプーケットという土地でホームレス生活を送っていたときに、自分の情熱を発見した。プーケットが私の人生を変えてくれた。

プーケットで私はバイクに乗り、不動産会社のチラシを配ってまわった。顧客との信頼関係を築いてセールスを成功させたとき、私は生まれて初めて、自分のしたことを誇りに思うことができた。誰かとつながり、その人が求めているものを探りだし、それを届けることができるのは最高の気分だ。この感覚をもっと味わいたくなった。そして会社でセールス担当に昇進すると、そのチャンスが手に入った。もうチラシ配りとは永遠におさらばだ。

現在の私は、スポーツジム、コーヒーショップ、ガソリンスタンド、スパを所有している。それに加えて、不動産関連の会社を15社経営している。友人や家族は、みな私に同じ質問をする。

「アンドレス、あなたはいつも自分のしていることに情熱を持てと言うけれど、あなた自身は自分が創業したすべての会社に同じ情熱を持っているのか?」

私の答えは「ノー」だ。これまで手がけたビジネスのすべてに深い情熱を持っているわけではない。しかし、新しく会社をつくること、アイデアを成功したビジネスとして形にすることに対しては情熱を持っている。私は自分のビジネスを利益が出るまで育て、成功させるのが大好きなのだ。

私がデベロッパーという仕事を愛し、情熱を持っているのは、アイデアが現実になるという魔法を体現しているからだ。アイデアが湧くと、頭の中で思い描き、それを紙に描き、さらに予算を組み、そしてアイデアから生まれた創造物が自分の目の前に現れる。

すべては想像から始まる。すべての創造物は、頭の中にあるイメージから生まれる。アイデアや夢を現実に変え、感じて、見て、触れて、匂いを嗅ぐことができる何かが誕生したときの満足感は、この上ない喜びを与えてくれる。

さらにできあがった創造物は、人はみなクリエイターであり、想像したものを形にする力を自分の中に持っているということの証明でもある。

やりたいことや情熱を見つけるエクササイズ

自分の情熱を見つけるのは、思っているよりも簡単だ。次の質問に正直に答えれば、残りの人生でやるべきことが見えてくるだろう。

・どんな主題の本なら、途中で飽きることなく500冊読めるだろう?
・お金がもらえなくても、5年間やってもかまわないと思えるものは何か?
・お金の心配がまったくないとしたら、何をしたいか?

情熱を持つ対象は下手の横好きでもかまわない。それがない人生など想像できないというのなら、それがあなたの情熱だ。

<情熱を発見するエクササイズ>
1.したくないことのリストをつくる

2.大嫌いな仕事や作業のリストをつくる

3.1と2の選択肢を排除すれば、本当の情熱が見えてくる

4.「どんな仕事をしている人にもっとも強い嫉妬を感じるだろう?」と自分に尋ね、嫉妬を感じる人のリストをつくる

5.リストができたら、その人たちがしている仕事のうち、自分もやりたい仕事を丸で囲む

6.「嫉妬」のリストの項目のうち、1と2のリストに入っているものを削除する

7.ここまで残っている丸で囲った情報が、あなたの情熱を知るヒントだ

たいていの人は、まあまあのレベルでできることならたくさんある。ソフトウェアのスタートアップ、シルクタイドを創業したオリヴァー・エンバートンによると、平凡なスキルを組み合わせれば自分の情熱が見つかるという。

「たとえば、あなたが平均的なアーティストで、ユーモアのセンスもまあまあだとしよう」と、彼は説明する。「美術の学位をとっても特に役に立たないし、ユーモアは学校で勉強する科目ではない。しかし、この2つの平凡な才能を組み合わせれば、マンガ家として成功できるかもしれない」。

エンバートンによると、もっとも成功している人、自分の仕事に誰よりも情熱を持っている人が、たった1つのスキルだけで定義できることはめったにないという。

「彼らはスキルの集合体だ。卓越したスキルを持っていないこともよくある。しかし彼らは、その集合体を特別なものにしているのだ」と彼は言う。

情熱があれば人生を変えることができる

たとえば、スティーヴ・ジョブズで考えてみよう。


彼は世界一のエンジニアではない。セールス、デザイン、ビジネスの分野でも世界一ではない。しかし、そのすべてでまあまあの才能があったことが彼の強みだった。

持っているスキルを組み合わせたことで、スティーヴ・ジョブズという卓越した存在が生まれたのだ。生涯1つのことに情熱を捧げる人もいれば、情熱がくるくる変わる人もいるだろう。この世界で情熱が持てることを最低でも1つは見つけよう。

情熱があれば、人生を変えることができる。

ぜひみなさんも、エクササイズを通して自分の中にある情熱を探してみてほしい。

(アンドレス・ピラ : 起業家)
(ドクター・ジョー・ヴィターレ : 自己啓発家)