広瀬すず(1998年6月19日生まれ)、橋本環奈(1999年2月3日生まれ)もZ世代
若者を「ゆとり世代」と、ひと括りにするのは、もう古い! 最近耳にする「Z世代」。広瀬すず(22)、橋本環奈(22)などと同年代のこの世代は、「ネット」どころか「スマホ」「SNS」「動画サイト」が常識だ。
「日本では “脱ゆとり教育” を経験してきた若者を『Z世代』と呼びますね」
そう話すのは、『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』(光文社新書)の著者である、マーケティングアナリストの原田曜平氏(44)だ。
米国発祥の「Z世代(ジェネレーションZ)」という言葉。インターネットの利用はパソコンが中心だった「ジェネレーションY」から、スマホが当たり前になった “進んだ世代” の意味らしい。2021年の新入社員も、まさにこの世代だ。
「このZ世代が注目を集めているのは、日本が『労働力不足』という問題に直面しつつあるからです。ここ数年で『業績はいいけど、働く人が足りずに倒産する』という “人手不足倒産” が非常に増えています。新卒採用の社員をうまく労働力にできるかが、企業の命に関わるんです」(原田氏)
そうーー。主力世代である30代以上にも、これからはZ世代の “操縦” が求められるのだ。そこで原田氏に、Z世代の「トリセツ鉄則20」を聞いた。
(1)「ダイヤモンドの卵」ですから
「新型コロナ前の数字ですが、今は『2社受ければ採用される』ほどの求人倍率。新入社員は採用時に、とても大切に扱われてきているんです」(以下、断わりのない発言はすべて原田氏)
(2)「君は会社に必要」を求めている
「周囲と同程度には認められたい世代です。『社員を順番に表彰する』でもいいので、無理やりにでも賞賛する機会を作るべきでしょう」
(3)「ムチを打つ」は理解できない
「彼らは “チル(=まったり)” という価値観が強いのが特徴です。『会社に居場所がなくなるよ』と “脅し” をかけても『そこまでして続ける仕事じゃない』と思われるだけです」
(4)「仕事に捧げる」も理解できない
「チルが表わすように、『私生活』や『マイペース』のほうが大事だと感じています。『仕事に自己実現を求める』なんて感覚もありません」
(5) グループでは1人の「積極派」を探す
「つねにSNSで繋がってきた、同調志向が強い世代です。それを逆手にとり、Z世代が集まるグループでは積極的に発言したり、行動する1人を探すべきです。そういう1人が現われないと、会議やチャットの場でも、ずっと無言が続くこともザラにあります」
(6)「連れション離職」に気をつけろ!
「同調志向がマイナスに働く代表例が、『連れション離職』です。社内や部署内で1人辞めたら、『俺も』『俺も』と “連れション” のように辞めていきかねません」
(7)接し方は「褒めが9割、改善1割」
「野村克也氏の『無視・称賛・非難』という人心掌握術が有名ですが、Z世代に無視・非難はNG。褒めてあげて、『君のもいいけど、俺はこっちも好きだな』といった “改善案” を与えるのがいいでしょう」
(8)「俺の背中を見ろ」……なんだそれ?
「人口が少ない世代です。かまってくれる大人は、ほかにもたくさんいると思っています」
(9)「少し頑張って、少しの成果」がいい
「彼らは『自意識は高いが重圧は嫌い』という、ややこしい心情の持ち主なんです。たとえば『ベンチャーに行き、数年で部長に』なんて生き方は、責任が重すぎると感じる安定志向です。成功が見込める仕事から与えるべきでしょう」
(10)とはいえ「権限」は欲しい世代です
「ただ、彼らにやるべきことがないのも、肯定感が失われてダメ。上司は『こなすべき仕事のリストアップ』など、Z世代の仕事をお膳立てする裏方になるべきです」
ここまでの10項目は、仕事場での接し方。後半はZ世代の “生態” を理解していく!
(11)スマホしか、さわっていません
「彼らは、最初に持った携帯がスマホ。会社に入ったらパソコンにさわると思いますが、日本のZ世代は他国に比べて、高校・大学で個人用パソコンを持っていた割合が低いです」
(12)上司からSNSフォローは絶対NG
「SNSでは基本、複数アカウントで “顔” を使い分けています。彼らから『フォローしてください』と言ってこない限り、その領域に踏み込んではいけません。私も『上司にフォローされたから会社を辞めた』という女のコに会ったことがありますよ」
(13)SNSは「一投入魂」型で
「意外にもSNSの投稿数は多くありません。月平均で8〜9回の投稿のようです。ですから、もしZ世代からフォロー許可が出たとしても、『SNSで毎日投稿するおじさん/おばさん』は引かれてしまいます」
(14)Z世代の「いいね」は、すべて社交辞令
「彼らは目に入った投稿をなんでも『いいね』しています。とくに目上の “おじさま/おばさま” に対しての『いいね』は、社交辞令みたいなものです。それに浮かれてはいけません」
(15)SNSスキルで張り合ってはダメ
「SNSでは、Z世代のほうがベテランだと思うべきです。へんに彼らと張り合っても、『ダサい大人だ』と見透かされるだけですよ」
(16)夜は8時間、寝かせてあげる
「若い世代にも熟睡グッズが売れていて、睡眠時間も以前の若者より増えています。お酒を飲む量も減っている世代です。残業や、朝まで飲むのもやめてあげましょう」
(17)「イジり」の時点でアウトです
「いじめに敏感なぶん “密” な人間関係を経験してきておらず、軽いイジりにも耐えられません。パワハラだと思われれば即刻、SNSで晒される可能性もあります」
(18)「LINE NEWS」しか読まないと思え
「情報源は『LINE NEWS』などで、芸能ネタ、恋愛ネタばかり読んでいます」
(19)「時代遅れ認識」は軽蔑されます
「彼らは『LGBTはクール』という認識を持っているほどです。『嫌韓・嫌中』などもそうですが “嫌悪を公言する大人” は軽蔑されます」
(20)意外にカネは持っている
「一人っ子が多く、両親以外にも『祖父母』『子供のいないおじ・おば』までもが金銭をくれる世代です。じつは、物欲のない『ゆとり世代』より、消費意欲が高いんですよ」
原田氏の20鉄則にもあったように、「スマホが当たり前」のZ世代は、「スマホで動画」にどっぷり浸かってきている。
「おもしろいことに、TikTokのネタ動画をYouTubeにあらためて上げても、『これ観たことある』といったコメントはつきません。それぞれ観ているのは、違う層なんです」
そう話すのは、お笑いコンビ「土佐兄弟」の弟・有輝(26)。Z世代がハマるSNS「TikTok」に投稿した動画の総再生回数が5億回を超え、フォロワー数で “芸人界” 1位を誇る、彼らならではのエピソードだ。“ほぼZ世代” の有輝の相方であり、実の兄でもある卓也(33)はこう話す。
「Z世代は “バズる” という現象を見てきたからか、『野心の強い人が多い』と感じます。それに『こいつらにできるの?』と、上の人たちから見られるのが嫌いなんです。だから、彼らに僕ら世代の常識などを押しつけても、心が離れていくだけです。
僕たちの場合も、有輝の『こうしたい』というアイデアに対して、いろいろと経験だけはしてきた僕が、『それならこれが必要だし、こう動こう』と提案する形で作っています」
やはり原田氏と同様に、Z世代に対して “否定” することは避けたほうがいいと話す。
「僕らの動画は『高校のとき、こういう人っていたよな〜』と思える “あるあるネタ” を撮っているんですが、絶対にマイナスな感情に繋がる言葉は使わないようにしています。そこにフォーカスしたら、Z世代のコたちには受け入れられないと思います」(有輝)
優しく接してほしいが、距離感だけは絶対に間違えないで!
はらだようへい
1977年4月4日生まれ 東京都出身 慶應義塾大学卒業後、博報堂に入社。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーなどを経て、2018年よりマーケティングアナリスト。信州大学特任教授。最新刊『Z世代〜』(光文社新書)ほか著書多数
とさきょうだい
兄・たくや(1987年9月28日生まれ)、弟・ゆうき(1994年12月15日生まれ)の兄弟コンビ。2013年に会社を辞めた卓也が有輝を誘い結成。冠番組『あるある土佐カンパニー』(テレビ朝日系)、『土佐兄弟のCultureZ』(文化放送)が放送中
(週刊FLASH 2021年4月20日号)