販売台数ランキングで5位に君臨するアルファード

 新型コロナウイルスの影響により各業界で赤字転落する企業が増加しているなか、2020年11月6日にトヨタは中間決算発表に合わせて、今年度のグループ全体の業績見通しを上方修正し、これまで7300億円としていた最終的な利益を1兆4200億円に引き上げました。

 また、2020年10月の登録車販売台数では、トップ10のうち、7位・8位のホンダ「フィット」「フリード」以外の8台をトヨタ車が占め、コロナ禍においてトヨタの底力を発揮しています。そのなかで、高級ミニバンの「アルファード」は5位にランクインしました。

トヨタ「アルファード」

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 アルファードの価格帯(消費税込)は、ガソリン車の352万円からハイブリッド車の775万2000円となっており、高価格帯に位置づけられるアルファードは、トヨタの利益に大きく貢献しているモデルといえます。

 2002年に発売されたアルファードの初代モデルは販売チャネル違いで、わずかなデザイン違いのアルファードG、アルファードVとして販売されていました。

 しかし、2008年に2代目になった際にアルファードVは「ヴェルファイア」として刷新され、フロントマスクなどを大きく変えた姉妹モデルへと変化しました。

 ネッツ店で販売された初代ヴェルファイアは、アルファード扱いのトヨペット店より店舗数が多いネッツ店で販売されたことに加え、2段に分かれたヘッドライトが精悍なフロントフェイスを作り出し、2代目アルファードより販売台数が多くなりました。

 そして、2015年に3代目アルファードおよび2代目ヴェルファイアへ刷新された後もしばらくはヴェルファイア優位が続きます。

 しかし、直近の2020年10月の登録台数は、アルファード1万93台、ヴェルファイア1261台となり、約8倍もアルファードの方が売れているのです。

 この大きな逆転現象について、都内の元ネッツ店であるトヨタモビリティの販売店に話を聞きました。

――2020年11月現在、アルファードとヴェルファイアは両方取り扱いがあると思いますが、どちらの方がおすすめ、といったことはありますか。

 装備や性能はまったく同じとなっており、どちらがおすすめということはございません。デザインが違うので好みのデザインを選んでいただければ良いかと思います。

――そちらは元ネッツ店でしたが、ヴェルファイアの方が下取りが有利だったり、値引きが多かったりすることはありますか。

 とくに、アルファードとヴェルファイアについては有利不利ということはないですね。

――やはりアルファードの方が人気ですか。人気の理由は、一体なんでしょうか。

(アルファードの)押し出し感のあるフロントグリルが好まれ、選ばれる人が多いですね。イメージとしては8:2ぐらいでアルファードを希望される人が多いです。ヴェルファイアに乗られていた人がアルファードへの乗り換えるケースも多くあります。

近い将来、ヴェルファイアが消滅する可能性もある?

 アルファードがヴェルファイアよりも売れているのは、2020年5月にそれまで4つあったトヨタの販売チャネルのいずれも全車種併売となったことも影響していると思われがちですが、それだけではないようです。

トヨタ「アルファード」

 前述のとおり、2015年1月に3代目アルファードと2代目ヴェルファイアにモデルチェンジされます。

 当初はそれまでと同様、ヴェルファイアが優勢でしたが、2018年1月のマイナーチェンジでそれぞれのフロントフェイスが変更になったことから風向きが変わりました。

 2018年3月からアルファードが台数で上になると、その後は次第に差が広がっていき、全車種併売化直前の2020年4月はアルファードが5739台、ヴェルファイアが1690台と、この時点でも3倍強まで差が開いています。

 アルファードのデザインの方が好まれたことに加え、全車種併売化されたことも作用し、より販売台数の差が大きくなったということが結論のようです。

※ ※ ※

 現在、トヨタでは販売チャネル違いのために用意された姉妹車の車種統合もおこなわれています。

 2020年9月にはダイハツ「トール」のOEM車として併存していた「タンク」と「ルーミー」が、マイナーチェンジでルーミーに統合されました。

 アルファードとヴェルファイアも統合の可能性はあり、アルファードの販売台数やヴェルファイアはアルファードの派生モデルであるということを考えると、ヴェルファイアが消滅する可能性もありそうです。