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米国政府が、中国テクノロジー大手テンセント・ホールディングスが関与するゲーム企業に対して、米国人の個人データを扱うさいのセキュリティプロトコルにつき情報を提供するよう求めているとの噂が報じられています。

米Bloomberg報道によると、対米外国投資委員会(CFIUS)はEpic GamesやRiot Gamesなどの企業に上記の情報を請求する書簡を送ったとのことです。テンセントは米ロサンゼルスに拠点を置くRiot の親会社であり、人気ゲーム「フォートナイト(Fortnite)」を開発運営するEpicの株式を40%保有している関係があります。両社とも記事執筆時点では回答しておらず、米財務相(財務長官がCFIUSの議長を務める)もコメントを拒否しています。

中国ByteDanceが保有する人気動画アプリTikTokの米国事業は、トランプ米大統領から安全保障上の懸念があるとして売却が命じられ、マイクロソフトとの交渉が報じられた後に二転三転してオラクルが「技術的パートナー」になる可能性……が持ち上がったあと、同じく中国生まれのWeChatとともに20日(米現地時間)から新規ダウンロードが禁止される事態となっています。

そこに至る過程にも、米企業の外国企業買収を国家安全保障上のリスクから査定するCFIUSが関わっていました。同機関はその判断に基づき大統領に取引禁止あるいは禁止の撤回を勧告する権限を持っています。

米PC Gamerによると、テンセントは300以上の投資先があるとのこと。EpicやRiot以外にも出資を受けている米ゲーム企業は複数ありますが、他にどの企業に書簡が送られたのか記事執筆時点では明らかではありません。ちなみに、テンセントと提携関係にあるアクティビジョン・ブリザードは、香港民主化デモを支持したeスポーツ選手を出場停止処分にしたことがあります。

BloombergはCFIUSが調査を開始したことで、テンセントの米国ゲーム企業に関する持ち分は、ByteDanceのTikTok米国事業と同じく売却命令を出されるリスクがあるかもしれないと述べています。Epicは「フォートナイト」のApp Store削除をめぐってアップルと法廷闘争を繰り広げていますが、もう一つの渦中に巻き込まれるのかもしれません。

Source:Bloomberg