――試合後のセレモニーの時の心境は?

「話をまとめないといけないと思い、前の晩に紙に書いて、妻の前でリハーサルをしたんです。『そこはこういう言い方のほうがいいんじゃない?』とか訂正してくれて。試合が終わって、いざセレモニーが始めると、まずお世話になっていたアシックスの鬼塚会長がスピーチをしてくれました。鬼塚会長の話に感動し、自分の番がきて、「やばいぞ」と思いつつも、軌道修正しながら意外と冷静に、感謝の気持ちを伝えることができたと思います。当時はまだ“噛んで”なかったと思いますよ(笑)」

――カズ選手からはどんな言葉を掛けられましたか?

「あまり覚えてないんですよね。『ご苦労様』って言ってくれたのは記憶しています。セレモニーでカズが出てくるなんて、全然知らなかったんですよね。いまでも申し訳ないと思うのは、カズがわざわざユニホームを脱いで渡してくれたのに、余裕がなくて、僕のシャツを渡さなかったんです。カズを裸で帰したのはまずかったなぁ」

――現役生活で印象に残っているゴールは?

「まず、ガンバでは(Jリーグで日本人初の)ハットトリックですね。それが神戸のユニバー記念競技場だったのも何かの縁ですかね。とくに3点目をよく覚えています。エスパルスでは移籍して最初の開幕戦で挙げた決勝点。そして、ヴィッセルではやはり最後のVゴールです。全てのゴールは、ピッチ内外でアシストしていただいた方たちのおかげです」

取材・文●江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)
協力●DAZN