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舞台、テレビ、映画、CM、ラジオのパーソナリティーなど幅広い分野で活躍し、バラエティー番組でも独特の存在感を放っている柴田理恵さん。明るく庶民的なキャラで知られているが、ここ数年は富山で暮らすお母様の遠距離介護、愛犬2匹の死…さまざまな出来事があったという。
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◆一時は寝たきりで要介護4の母親が奇跡的回復、要介護1に!
柴田さんのお父様が亡くなって1年後、2017年の秋、富山でひとり暮らしをしていたお母様が体調を崩して入院。柴田さんは月に1度以上、富山に行ってお母様のお世話をしていたという。
「母は教師だったんですけど、辞めてからも保育園とか小学校にお茶を教えに行っていて、もともとすごくしっかりした人だったんです。
それなのに体調を崩して入院したら、ガクッと衰えてしまって、歩くこともトイレもひとりではできない寝たきり状態で、要介護4になってしまったんです。
母はそのとき89歳だったし、『もうダメかもしれないなあ。お父さんが迎えに来たんだ』って思ったくらいでした。母もかなり弱気になっていましたし」
−そのお母様が要介護1までよく回復されましたね−
「ホントですよ。でも、今は90歳になったので、要介護2になりましたけど、人間ってすごいですね。私もビックリしました」
−どのようにされたのですか?−
「母に『目標を持とう。また子どもたちにお茶を教えに行くために元気になろう』って言って。ずっと寝ていると足が衰えて歩けなくなるじゃないですか。
だから、『歩く練習をしなさい』『リハビリに行きなさい』ってやらせて。目的があると人間はすごいですね。希望は持たないと。
あと、母もお酒が好きだから『お酒が飲みたい』って(笑)。それでリハビリを一生懸命頑張ってやったら、杖をつきながらですけど、ちゃんと入院先の病院から家に帰ることができて、一緒にお酒も飲みましたしね。
どんなに病気になってダメかもしれなくても、やりたいことを目の前にぶら下げれば人間は強いですから。それがないとダメですね」
−お母様は今もお一人で富山に?−
「はい。一人で暮らしています。冬の間は雪が降るかもしれないというので、一応ロングステイに入りましたけど、『一人で生活するんだ。そのほうがいいんだ』って、3月からまた一人暮らしをしています。
でも、やっぱりあの年で一人暮らしができるというのは、自分の力じゃなくて、ご近所の皆さんのおかげですよね。ゴミを出すのも大変じゃないですか。
そうすると、家の外にあるゴミ箱から一緒に持って行ってくれるし、ちょっと姿を見ないと心配して様子を見てくれたり…本当にありがたいです。
おかげさまで母は今もまだ子どもたちを教えに小学校とかに行っていますよ。『これが生きがいなんだ』っていうものがあると、一生懸命歩く練習をしますし、立ったり座ったり正座もできますから。
それに何よりも気持ちが凛(りん)とするというかね。凛としたものを持って、生活をしているので、大丈夫みたいです」
お母様は柴田さんと一緒にお酒を飲むのを楽しみにしているそうで、今年のお正月も一緒においしいお酒を飲んだという。
ご主人と晴太郎君と
晴太郎君
◆愛犬・晴太郎君との出会いと別れ
無類の犬好きとして知られ、『ペット大集合!ポチたま』(テレビ東京系)をはじめ、動物番組出演も多い柴田さん。去年は晴太郎君と小春ちゃんという愛犬2匹を相次いで亡くすという悲しい出来事が。
「晴太郎との出会いは2005年でした。名古屋市内でテレビ番組のロケをしていたときに、ゴミ捨て場に木の箱に入れられて捨てられていた2匹のうちの1匹で、足に先天的な障がいがあったんです。
見つけたときには弱っていて死にそうだったので、すぐにお水をあげて獣医さんに連れて行ったら2匹とも命は助かったんです。でも、1匹は手術をしてもらって結局3本足になっちゃったので、うちで飼うことにして。
すごく良い子で、もうちょっとで14歳になるところまで生きてくれたので、まあ寿命だったのかなって」
−晴太郎君は柴田さんが酔っ払って帰ると柴田さんにだけわかる犬語で怒っていたとか−
「そう、怒るんですよ。『何やってるんだ?こんな遅くまで。何時だと思ってるんだ。寝るぞ』って(笑)。
私が玄関にいると階段の踊り場まで出て来て、階段で『ワン!』って言って、また行っちゃうんですよ、自分の布団に。
それで、もう布団の上で頑固(がんこ)オヤジのように、ジーッと部屋に私が入っていくのを見ているの。怒ってるんですよ。
犬は心配なんですよ。チームで生きている子だから、1人いないとなると眠れないんですよ。『どうしたんだろうなあ、心配だなあ』って感じで。
晴太郎はもうすぐ14歳ということで年も取ってきていたので、足も弱ってきていて、私は地方公演中でずっと家を留守にしていたんですけど、帰って来た翌日に倒れてしまって。
獣医さんには『1週間持たないだろう』って言われたんですけど、離乳食を作って注射器で口に入れたり、オムツを替えたりして一生懸命看病していたら頑張って1カ月生きてくれたんですよね。
1カ月間面倒を見させてもらえたので良かったなあと思って。晴太郎に出会えて本当に幸せでした。亡くなったときも、犬仲間だった人たちも来てくださったり、うちの劇団の若手たちも集まってくれて、ちゃんと『晴太郎、ありがとう』ってやってくれたので、それで私の心もずいぶん癒されました。ありがたいものだなあって」
−もう1匹の小春ちゃんは?−
「その子も去年12月18日に急死してしまって…。もともとは母が飼っていて、母が体調を崩してから家に来ていたんですけど、晴太郎とすごく仲が良かったんですよね。
晴太郎が亡くなって、半年待たないでふいに亡くなったんですよ。もともと心臓が悪い子だったのですが、あまりに急だったかなぁ。最後は苦しそうで、私たちはそばでオロオロするばかり。たった一晩、数時間で亡くなってしまいました」
−寂しいですね−
「寂しいです。私は子どもがいないから子どものような存在で、4人家族だと思っていたのが2人になっちゃったわけですから本当に寂しい。
もう1回子育てをしたいんですよね。犬の寿命考えると、最期まで面倒を見るとしたら、年齢的に今がギリギリなんですよね、もう。
もっと先になったらその子の最期をみとれないかもしれないので、晴太郎の一周忌が過ぎたら、保護センターから2代目晴太郎を迎えようかなって考えています」
今はご主人と一緒に、晴太郎君と小春ちゃんの散歩コースを朝起きてから歩いているという。
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◆3年間の充電期間を経て、待望の「ワハハ本舗」全体公演がスタート!
2017年の舞台『ラスト3』で閉幕し、充電期間に入っていたワハハ本舗全体公演。3年間の充電期間を経て、今年5月から舞台『王と花魁』が上演されることに。
−待望の「ワハハ本舗全体公演」ですが、3部作になるとか−
「知らない間に3部作になってたんですよ。演出の喰(たべ)ちゃんが(笑)」
−充電期間に入る前の舞台の「ラスト」も1作だけのはずが、お客さんが納得しなくて3部作になったということでしたね−
「そう。納得しなくて『ラスト3』まで引っ張って、それで、いざやめようって喰さんが言ったら、今度は私たちが納得しなかったっていうことですけど」
−喰さんは『1人でもやろうと言ったらやるつもりだったから、みんながやろうと言ってくれたことがうれしい』とおっしゃっていましたね−
「そうですね。やっぱりこれだけ長く続けていると、いい意味でのマンネリだったらいいんですけれども、やっぱりどこか人間ってダレてくるような、そういう病原菌みたいな空気が内部から流れると、やっぱりいいものができないんですよね。
やるとなったら、『よし、やるぞ!』っていうものがあると、ワーッと盛り上がるっていうことができると思うんですけど、そういう意味ではちょっとお休みをしたほうが良いんじゃないかって」
−一度リセットしてそれぞれお仕事をされて、3年ぶりに集まったときにはまた新たなパワーが凝縮されて?−
「リセットされて良い形になったと思います。その間には、いろんな事情があってやめた人もいました。でも、1人抜けることで、劇団全体が、ギュッと固まるということもあるんです。
劇団というのは、やっぱり生き物ですからね。いろんな人の出入りやら、自分の仕事の状況やら、その間にいろんな劇団の芝居に出て力をつけてきている人もいますし、結局はそういう人たちとの化学反応なので、そういうふうに新しく生まれ変わった仲間とまたやるというのは面白いですね。結構盛り上がっています」
−本格的な稽古に入るのは?−
「4月の半ばぐらいからだと思うんですけど、まだ何にも決まっていません。ゼロです(笑)。
だからもうそろそろ個別に『喰ちゃん、何やる?』って電話し始める頃ですね。
『私は何をやります?考えて下さい』みたいな感じでね。『柴田ね、じゃあこういうのはどうかな?』、『じゃあ、ちょっと資料集めてみま〜す』みたいな、今はそんなところですね」
−あれだけ個性豊かな方たちが、それぞれいろんな思いを伝えていて、それを全部集約して一つにまとめる喰さんはすごいですね?−
「大変ですよ。本当に。だから、それぞれバラバラのシーンがあったりするんですよね。それでいいんですよ。個人ネタもあれば、コンビネタも集団ネタもある。
そうするとね、バラエティー感がいっぱい出るんです。
この間も『王と花魁』のプレイベントで、泉谷しげるさんを囲むフォークイベントというのをやったんですよ。
で、泉谷しげるさんの歌を必ず歌うというのが決まり。後はどう料理してもいいから、好きにそれぞれパフォーマンスを考えて発表したんです。
講談があったり、3人で歌う本格派のフォークバンドがあったり、へたくそだけど素朴な『おじさんフォークバンド』があったり、ラップがあったり。
私は一人芝居の『おしん』をやりました。おしんが熱唱するんですけどね。バラバラに考えていたのに、全体を通すと面白い!手前みそかもしれないですけど(笑)。
それぞれまだ完成度は低いですけど、バラエティーに富んでいて、みんな個性的で。『ワハハって変なところだなあ』と思いました」
−皆さんそれぞれ力がある人たちが集まっていますからね−
「いや、力はないんです。ないんですけど、変なアイデアを夢中で頑張れるところですね(笑)」
−ワハハ本舗のお芝居は、初日はいろいろ実験的なことをやって、ものすごい長時間になったりして、次の日から時間が短くなってたりすることでも知られていますが−
「そうそう。2日目から1時間短くなっちゃったりしますね(笑)。毎回違うから、コアなファンの方は、初日と中日とそれから千秋楽に見るという方もいらっしゃいますよ。
本当にどうなるかわからないんですけど、とりあえずは変なことを考える。『みんなそれぞれ考えていることが違うなぁ』って思うのが、楽しいことですよね」
−それで皆さん続けているところがすごいですね−
「そうですね。そうですよ、本当に。そんな勝手な人たちをちゃんと生かしている、ちゃんと飼っている喰さんはすごいなって思いますよ(笑)」
◇
お芝居の話になると目の輝きが違い、本当に好きなのだということが伝わって来る。3年間の充電期間を経て、満を持しての全体公演に期待が高まる。(津島令子)