自宅学習でつまらなそうな子供たちに、「自由に漢字を創ってみよう」と提案したら最高傑作が生まれた――。

NASAのエンジニア・石松拓人さんのそんなツイートが話題になっている。

一体どんな漢字が生まれたのかというと......


あいぱっど(石松さんのツイートより)

部首は「くにがまえ」、画数は「7画」。「回」の中に点を一つ打ち込んだようなこの新しい文字の読みは「あいぱっど」。

そう、これはiPadを示す漢字なのだ。説明するまでもないが、大きい方の「口」がフレーム、小さい方の「口」が画面、そして下の方に打たれた点がホームボタンを象っている。

まさに文字通り「象形文字」。この新しい漢字をみたツイッターユーザーからは

「最高にクリエイティブでクール」
「センスの塊ですね...!」
「天国のスティーブに見せたい」

など称賛の声が上がっている。

「テトリス」の漢字も

石松さん家族はアメリカ在住。2020年3月27日、Jタウンネット編集部の取材に応じた石松さんによると、現地の学校で小学1年生と2年生の子どもたちは、現在テレスクール(家庭学習)中だ。

石松さんの妻は子どもたちの勉強のために小学生用の漢字のプリントを用意したが、子どもたちはあまりにもつまらなそうだったという。

そこで、「漢字で何か楽しい遊びをしようと思いました」と石松さん。

「新しいものを自分で作ってみる、というのは僕がよく子どもたちと遊ぶときのいつものやり方ですね。
自分で作ることで視点をひとつ上に上げて、有り物や既存のルールを俯瞰させたい、という意図があります」

つまり、自分で漢字を創ってみることで、漢字がどのようにできているのか、その成り立ちを子どもたちに考えてもらおう、というものだ。

石松さんと2人の子どもたちは、既存の漢字のパーツを組み合わせて新しい字を作った。自宅のホワイトボードに3人それぞれが好きなように新しい字を書いていくと、ボードは15分ほどでいっぱいに。

「何個くらいあったか覚えてませんが、ちゃんと成立したものは10個くらいでしょうか。誰かが作ったものを発展させていったり、既存の漢字を改造したものもありました」

生れた漢字は、身のまわりにあるものや、子どもたちが知っているものを表すものが多かったという。

「凹の上に凸をひっくり返して書いて『テトリス』とか。
傘という字は人が多すぎるのと横棒(テーブル)があるので『パラソル』と読むことにして、改めて『かさ』という漢字を作ったり」

と石松さん。子どもたちは漢字を分解したり、向きを変えてみたり、柔軟な発想で漢字を創っていったようだ。「傘」にはテーブルがあるからパラソルと読む、というのは字をよく観察しないと思い浮かばない発想だろう。

漢字の学び初めにこんな勉強の仕方をしていたら、新しい漢字を知るたびに「このパーツはこんな使い方もできるんだ」「このパーツが入っているからこんな意味なんだ」と楽しめそうだ。ひたすら書き取り練習をするよりも、漢字そのものへの興味をそそられる勉強法に違いない。