冬の星座として有名なオリオン座には、超新星爆発がいつ起きてもおかしくないと考えられている赤色巨星ベテルギウスがある。このような超新星爆発が生じると、ガンマ線バーストが発生する。また2つの中性子星が融合する際にも、ガンマ線バーストは発生する。

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 このガンマ線バーストが地球を直撃した場合、地球環境は脅威にさらされることになるが、1月13日の英エクスプレス誌では、その脅威について報じられている。

 超新星爆発とは、質量の大きな恒星が死を迎えた時に起こす大爆発のことである。その威力はすさまじいモノで、いったんこれが起きると、昼間でもその光景が確認できる場合もある。

 日本でも藤原定家という人物が明月記という書物に、1054年に起きた超新星爆発についてとりあげている。ちなみにこの時、超新星爆発を起こした残骸は現在おうし座のかに星雲M1として有名である。

 また中性子星は超新星爆発後に生じた星で、連星系をなす2つの星がいずれも中性子星になった場合、それらがやがて融合する可能性が高い。このようなガンマ線バーストが発生するような状況では、ブラックホールが形成される場合がほとんどであると考えられている。

 これらの事象により生じるガンマ線バーストは、オゾン層を破壊して生命大絶滅の原因となったり、現代社会においては地球上の電子機器に甚大な被害を与える可能性がある。ガンマ線バーストが発生する時間は2秒から数百秒とごく短期間であるが、ひとたび地球にその矛先が向けば、大変なことになることは間違いない。

 しかしながら、多くの天文学者は地球がガンマ線バーストの脅威にさらされる可能性はそれほど高くないと楽観的である。その理由は、ガンマ線バーストはある一定の方向に向けて放たれるため、それが地球に向いていなければ被害から免れられることや、数十光年以内の近くに超新星爆発を起こす星が存在していないからだ。

 オリオン座のベテルギウスは、642光年の距離にあり、この星のガンマ線バーストが地球に向いていたとしても、その被害はあまりないだろう。数十光年という距離は、地球上のオゾン層を破壊してしまうほどの影響がありうる数値をさしている。とりあえず生命絶滅の危機は当面ないだろう。