気が付けば日本のスマホ市場は、海外メーカー製品だらけになっている。
アップルのiPhoneは1年を通して安定した売れ行きを見せ、SIMフリー市場ではファーウェイがカメラ性能を武器にシェアを伸ばしている。また2年前に参入したOPPOもMVNOとのセット販売を始め、中低価格の高コスパなスマートフォンが好調だ。

世界のスマートフォンシェアを見ると、1位サムスン、2位ファーウェイ、3位アップルと日本でもおなじみのメーカーが並んでいる。しかし4位以下は、中国勢のシャオミ、OPPO、Vivoが三つ巴の戦いを世界各地で繰り広げている。その激烈さは、シャオミ、OPPO、Vivo、3社の順位が毎月のように入れ替わるほどだ。

この3社のうちOPPOは既に日本上陸を果たし、定着しつつあるが、このOPPOを追撃するように、世界での高コスパなスマートフォン戦略でも知られるシャオミが、ついに日本市場へやってくる。


シャオミのスマホの日本上陸が正式に決まった


シャオミと言えば中国で急成長したスマホメーカーだ。
デビュー直後は、新製品が秒単位で完売するほどの人気を誇ったメーカーだ。
その秘密は、コスパの高さ。
ハイスペック製品を日本円で3万円台など、「ありえない」価格での販売を武器にシェアを大きく伸ばしてきたメーカーなのである。シャオミはさらに1万円台のスマートフォンを市場に投入するなど爆発的な人気を誇った。

しかしシャオミの低価格なスマートフォンの最大の特徴は、決して「安かろう悪かろう」というものではない。
シャオミの製品は他社品の同価格帯の製品に比べ、CPUもカメラも1ランク以上もスペックの高い性能を搭載している。そのため1度シャオミのスマートフォンを使った消費者にとって、もうアップルやサムスンの商品は、性能に対して割高で満足できない製品にしか見えないため、次に買い替える際も、シャオミの新製品に買い替えるケースが多くなる。
中国メーカーであることからネガティブなイメージもあるにも関わらず、「安さ」と「高性能」「高い満足度」という実力で人気メーカーとなっているのだ。

これまでシャオミは、当初は新興国を中心に製品展開をしてきた。
それが最近では、フランスなどヨーロッパの先進国でもスマートフォンの販売を開始している。さらに、イギリスでは最新の通信方式である5Gに対応したスマートフォンも投入している。
シャオミは、まだ5Gスマートフォンを手掛けていないアップルやソニーに先駆けて、サムスンやファーウェイと並び、5Gスマートフォンを作った最初のメーカーに仲間入りを果たしているのである。


シャオミはすでに5Gスマートフォンをヨーロッパで販売中だ


シャオミは、このように「単に安い」スマートフォンメーカーではない。
技術や性能、品質に注目が集まるメーカーに成長しているのだ。

それを象徴しているのが、10月に発表した世界初の1億画素カメラを搭載した「Mi Note 10」だ。カメラのベンチマークともいえるDOXmarkのスコアは121と、業界トップに並んでいる。

実は、シャオミはスマートフォン以外の製品も多数展開している。
ノートPC、タブレット、スマートバンド、スマートウォッチなどのウェアラブル製品、スマートTVに至るまで、扱っているIT製品の種類も豊富で充実している。
さらに空気清浄機やスマートライト、セキュリティーセンサーなど、スマート家電の製品も多数展開している。
そして、これらシャオミのスマート製品は、すべて「Mi Home」という1つのアプリでコントロールができるのだ。製品間の連携もしっかりと図られている。

アップルやファーウェイは、スマートフォンを基点に、ノートPC、ウェアラブルデバイスなどIT製品の展開を広げているが、すでにシャオミは、スマート家電市場に進出できており、GoogleやAmazonなど、IoT企業がライバルともいってもよく、次世代の生活を豊かにしてくれる製品を提供できる企業化を実現しているのだ。


シャオミの空気清浄機はスマホで操作可能。スーツケースもシャオミが販売している


そんなシャオミは、どんな製品を日本に投入するのだろうか?

まずはスマートフォンだ。
日本では総務省の新たな規制により、スマートフォンの大幅な値引きが禁止となった。
シャオミのスマートフォンは、他社製品よりも高コスパで、値引きされなくても割安感が高い。たとえば、1億画素カメラのMi Note 10は、549ユーロ(約6万6000円)で手に入るのだ。

日本ではすでに、ファーウェイとOPPOのスマートフォンがカメラ性能の高いスマートフォンとして認知されていることもあり、シャオミもこのMi Note 10を日本に出すことは十分考えられそうだ。

そして日本でも来年から5Gがスタートする。
シャオミは、すでに海外で2機種の5Gスマートフォンを販売中だ。
また来年には10機種の5Gスマートフォンを市場投入すると、シャオミのトップが明言している。

シャオミは、日本でも5Gスマートフォンを早い段階で販売する可能性は十分あるだろう。

とはいえ5Gの提供は、サービス開始当初はキャリアからのスマートフォン販売となる。
その場合、シャオミも日本のキャリアと協業する必要がある。
そうなると5Gスマートフォンは、スタート時ではなく、来年後半になるのかもしれない。

一方、スマート家電はどうだろうか?
中国や新興国では家の中の家電は、ほぼシャオミという家庭もあるそうだ。
日本の場合、流通ルートやサポートの問題などを考えると、一気に家電全般の展開というのは難しいかもしれない。
まずはスマートフォンから遠隔操作できるスマートスイッチあたりをスマートフォンとバンドル販売するなどして、様子を見ていくのではないだろうか。

いずれにせよシャオミの日本市場参入は、iPhone中心の日本市場に少なからず変化を生み出す可能性を秘めている。

早く1億画素のスマートフォンを、日本でも使ってみたいものだ。


執筆 山根康宏