アップルはInstagram上で他のユーザー行動を監視するアプリ「Like Patrol」をApp Storeから削除しました。これはInstagram自らが本アプリの開発者に、配信停止を要請するメールを送ったことを受けての措置です。このLike Patrolなるアプリは、Instagram上でフォローしている人が写真にコメントしたり、いいね!を付けると、有料の定期購読ユーザーに通知を送るサービスを提供するものです。つまり他人のInstagram上でのやり取りを監視できるわけです。

米CNETによると、Instagramは10月に配信停止を求めるメールを送ったとのこと。そして先週末にアップルはLike Patrolを削除し、このアプリがガイドラインに違反していると表明しました。ただし、具体的にどの条項に抵触したのかは明らかにされていません。

Like Patrolの開発者はCNETに、アプリをApp Storeに復帰させるために異議申し立てするとのメールを送っています。「アプリの機能がポリシー違反とすれば、Instagramは2011年から2019年まで(公式アプリの)タブで全く同じポリシーに違反したことになります。なぜ削除されなかったのですか?」とのこと。

ここでいうポリシー違反の疑いあるタブとは、かつて公式アプリにあったが現在は削除された「フォロー中」のタブを指していると思われます。

このタブは元々、フォローしている友人がどのようなことに興味を持っているかを表示して、新しいコンテンツを見つけやすくするよう意図されたもの。しかし実際には、フォローしている人が誰をフォローしてるのか、どの写真にいいね!しているのかが丸わかりになり、監視目的で使われることが多かったとの声もあります。

Instagramは10月に「フォロー中」タブを削除していますが、上記の問題があったと認めたわけではなく、「頻繁に利用される機能ではなかったから」と説明していました。

そんな監視機能を強化したようなLike Patrolは、1年間の課金が最大で80ドルだったとのこと。アプリ開発者はCNETに、10月に登録した人が300人未満だったと述べています。

Like Patrolは、いわゆる「ストーカーアプリ」ではありません。ストーカーアプリとは、従業員や恋人などのスマートフォンにインストールして、位置情報やメール、電話の内容などを監視する目的のアプリと定義されています。こちらはGoogle Playストアでも明確にポリシー違反とされ、7月に7本が削除されたことがありました。

そうした定義から外れるものの、Like Patrolは対象ユーザーがやり取りした相手が男性か女性かまで通知し、魅力的な人かどうかを判別するアルゴリズムまで実装されていたとのこと。今後も相手の位置情報を特定するまで行かなくても、個人の一挙手一投足までも監視する広義のストーカー行為につながるアプリは、取り下げの対象とされるのかもしれません。