誰だって、いつでも明るい自分でいたいもの…ですが、それだけのことがなかなか難しかったりしますよね。

そんななか、タレントの関根麻里さんと父・勤さんは、親子そろって明るいキャラクターがお茶の間で大人気。

しかし、いくら親子といっても、あそこまで明るい性格が似るものでしょうか…? 遺伝なのか、親の背中を見てだんだん似ていったのか、それとも父・勤の「教育の賜物」なのか?

今回は、そんな疑問を麻里さんご本人に聞いてみました。

父・勤さんから一体どんな子育てをされたのか、“関根家の子育て論”をたっぷりとご覧ください。

〈聞き手=サノトモキ〉


【関根麻里(せきね・まり)】1984年東京都出身。幼稚園から高校まで国内のインターナショナルスクールに通い、米国の大学を首席で卒業。帰国後はタレントとしてデビュー。情報番組、英会話番組のMCを務めるなど幅広く活躍中。父はお笑いタレントの関根勤

デフォルトで「人生は楽しい」という考えを持つことができる、子どものころの「楽しさ貯金」

サノ:
今日はよろしくお願いします!

麻里さん:
お願いします!

サノ:
さっそくですけど、麻里さんが勤さんと同じく底抜けに明るいのって、やっぱりお父様の楽しそうな背中を見て育ったことが大きいんでしょうか?

麻里さん:
あっいや、私の明るさは「父の背中を見て育った」とか「遺伝した」とかそんなふわっとしたものじゃなく…



麻里さん:
完全に父・勤による“プログラミング”なんですよね(笑)

サノ:
プログラ…えっ怖

どういうことなのか詳しく聞かせてください!


「プログラミングなんですよね〜」でこの表情。はたしてその真相は…?

麻里さん:
父は幼少期の私に、大人になってもいつもポジティブでいられるようにと「“生きる”とは面白いことだ」と徹底的に叩き込んだんです。

芸人らしく、四六時中私を笑わせることで(笑)

サノ:
なんだその新手のスパルタ教育は…

麻里さん:
父は「楽しさ貯金」という哲学をもっていて、「大人になって辛い状況に直面しても、子どものころに楽しい思い出をたくさんストックしておけば乗り越えられる」と考えていたそうなんです。

サノ:
うーん、わかる気もしますけど、ちょっと楽観的すぎませんか?

麻里さん:
たしかに、辛いときに毎回幼少期の楽しい記憶を思い出して乗り越えているかというと、正直そうでもないです(笑)。

ただ、人生の入り口である子ども時代を父とずっと笑って過ごしたことによって、“明るく楽しく笑っている状態”が人生のデフォルトになったことは間違いないんですよね。


「“明るく楽しく笑っている状態”が人生のデフォルト」…言ってみたい人生でした

麻里さん:
「楽しさ貯金」のおかげで「人生楽しい」というフィルターを通して世の中を見ている感覚があるので、立ち直りも早いし、嫌なこともどんどん忘れていくし…わりと的を射た教育哲学だったのかもしれません(笑)。

サノ:
勤さんは、具体的にどんなことをして笑わせてきたんですか?

麻里さん:
当時の父は仕事が少ない時期で…週に5日は家で私と一緒に過ごしていたので、本当に日常生活のささいなシーンを笑いに変えてくれていましたね

たとえば、お風呂に入る前に服を脱ぐときに「ケツケツダンス」をしたり。

あっ、「ケツケツダンス」は、服を脱いだ父が「ケツケツ〜〜」と手を叩きながら歌って、目の前で揺れている父のお尻を当時4歳くらいの私がパーカッションのように叩くという遊びです。


手を叩いて実演してくれる麻里さん。ごめんなさい、その遊び知りません

麻里さん:
あと、私も私で、夜寝なきゃいけない時間になっても「もっと遊ぶ!」と抵抗することが多くて、寝たフリをする父の体に触って「あれ? ロボット壊れちゃったの? ガチャガチャ…あ、直りました! ピッ」とか言うわけですよ。

そしたら父も「あ〜、よく考えたな」とうれしくなっちゃうのか、「ロボット、直りましたー!」とまた一緒に遊んでくれたり。

サノ:
無限につづくやつだ…

麻里さん:
最終的には冷静でしっかり者の母が「いい加減にしなさい」と止めてくれたので、私がギリギリ社会性を保てたのは完全に母のおかげですね…(笑)。

でもやっぱり、私がこれだけのびのびと明るくポジティブに成長できたのは、そう育つよう意識的に環境を作ってくれた父のおかげだなあと思います。

やさぐれた時期もあったものの…「どんな君でも愛してる」



サノ:
ちなみに、麻里さんにも反抗期ってあったんですか?

麻里さん:
ありましたありました!

父のことは変わらず好きなままなんだけど、「仲良し親子」って言われるのが恥ずかしくてわざと3歩後ろを歩いたり

サノ:
(かわいい…)



麻里さん:
でも、そうやってちょっとやさぐれちゃったときも、父は必ず私の味方でいてくれたというか…私の考えを絶対に否定しなかったんですよね。

サノ:
ほう…! 具体的にどんなシチュエーションがあったんでしょう?

麻里さん:
たとえば、高校卒業のタイミングで自由参加の卒業ダンスパーティーがあって、同級生はみんなオシャレしたり、「パートナー誰誘うの〜?」とかキャッキャしたりしてたんですけど、当時の私はちょっとそれを斜めに見てたんですね。

…なに盛り上がっちゃってんの?」みたいな(笑)

サノ:
若者あるあるですね。

麻里さん:
で、そのままひねくれた感じで家族にも「あんなの行かないよ!」と言い放ったら父が「え〜〜っ! じゃあ一緒にボウリング行こうよォ〜〜!」と騒ぎだして、結果ダンスパーティーじゃなくて本当にボウリングに行きました。

サノ:
えええー…

麻里さん:
こういうときってたぶん、家庭によっては「思い出になるしいったほうがいいんじゃない?」って言われてもおかしくないじゃないですか。

でも、そんなことは一切言わずに、「何か麻里は麻里で思うことがあったんだな」と一人の人間として私の考えを尊重してくれるところがすごくあって。



麻里さん:
あと、“ダメな私”も含めて、「どんな麻里も愛してるよ」ということも徹底的に伝えてくれましたね

サノ:
“ダメな私”?

麻里さん:
大学時代、アメリカへ留学していたんですけど、ちょっと勉強がうまくいかなくていっぱいいっぱいになってしまって、実家に国際電話をしたことがあったんです。

そのとき思わず「正直辛い、もう勉強は嫌だ」と愚痴をこぼしていたら、父が「ここは俺の出番だ」と思ったらしく、いつになく真剣なトーンになって。

サノ:
勤さん、何と言ったんですか?

麻里さん:
麻里、もう優等生の仮面は取っていいよ。勉強ができなくたって、父さんはあなたのことを愛しているからね」って。


これは…名言すぎる

麻里さん:
まあ私は「お前と一緒にするな」と言って電話を切ったんですけども…(笑)。



サノ:
いやもうなんで?

麻里さん:
もちろん半分照れ隠しなんですけど、父はどちらかというとずーっと勉強をしてこなくて常に赤点のタイプだったので「お父さんは勉強頑張ってこなかったのに、一緒にしないでよ」って(笑)。

そしたら父が大笑いして、私もつられて笑って楽になれて。

苦しいときに「もっと頑張りなさい!」じゃなく、どんな“ダメな私”でも味方でいつづけてくれると親がはっきり伝えてくれたことは、本当に心強かったです。



そして母親となったいま 〜暴走する「祖父・関根勤」〜

サノ:
麻里さんは2015年に出産されて、今年4歳になる娘さんを子育て中ですが…母親となった現在、勤さんの子育て方法で影響を受けていることはありますか?

麻里さん:
やはり両親から教えてもらった「人生は楽しい」という感覚は、娘にも伝えたいと思っています。

サノ:
勤さんはお孫さんに対してどんなご様子なのでしょうか?

麻里さん:
いやもう、完全に溺愛してます。デレデレのメロメロです(笑)。

サノ:
(まあ、そうよね…)

麻里さん:
娘は当初「じいじ」という発音ができず、今もなんとなく当時のまま「ドゥドゥ」と呼んでいるんですけど、ドゥドゥはとりあえず日々「孫娘と同い年の親友の女の子に生まれ変わって、一緒に成長していきたい」って妄想しているんですよね〜。

意味わからなくないですか?

サノ:
本当に意味がわからないです

麻里さん:
孫と同年代の親友になって、たとえ同じ人を好きになっても譲ってあげたいとか、思春期になって「ブラジャーをどっちが先につけるか?」というので気まずくなりたくないから、孫が先にブラジャーをつけるまで自分はサラシを巻いて我慢するとか、妄想をどんどん炸裂していて…

本当に意味わからなくないですか?


果たしてこの妄想はどこまで行くのだろう

麻里さん:
でも親友がなんでもしてあげちゃうと娘はどんどんわがままになってしまうから、ドゥドゥは必ず待ち合わせに10分遅刻するという設定を決めているらしくて。

「あの子はいつも優しいし色々気がきくけど、毎回10分遅れるんだよね、仕方ない子ね〜」って我慢を覚えさせようとしてるみたいです(笑)。

サノ:
ふざけてるだけなのか、教育熱心なのか…(笑)

麻里さん:
でも、実際には孫が「こうして、ああして」と言ったら「はい、はい、はい」と完全にイエスマンに成り下がってるので、私は、娘とあわせてドゥドゥのことも積極的に叱っていきたいですね(笑)。



まわりにいるだけで楽しい気分に巻き込まれてしまうような、太陽なような明るさをもった麻里さん。

どんな質問にもニコニコ笑ってポジティブに返してくださる姿に、スタッフ全員が元気をもらったように感じました。

その明るさの正体は、父・勤さんから教わった「楽しさ」と「愛」。

麻里さんが「人生をプログラミングされた」と言うほど、自然に楽しさや愛をインストールするなんて…もしかしてドゥドゥはとんでもない子育ての魔術師なのかもしれませんね…!

〈取材・編集=サノトモキ(@mlby_sns)/文=田中さやか(@natvco)/撮影=中澤真央(_maonakazawa_)〉

ドゥドゥ・関根勤さんの公演情報もチェック!



そんなドゥドゥこと、関根勤さんが座長をつとめるカンコンキンシアター「クドい!」が今年も開催。関根勤芸能生活45周年の記念公演です!

カンコンキンシアター33 クドい!
http://www.zen-a.co.jp/ticket/kankonkin33/