証券取引法違反容疑で前社長の堀江貴文容疑者ら幹部4人が逮捕されたのを受けて、24日発足したライブドアの新経営陣が同日夜に、東京都港区の東京全日空ホテルで開いた記者会見での、熊谷史人代表取締役と平松庚三社長の一問一答は以下の通り。

―― 事件には一切関与していない、事件のことを知らないと明言できるか?

熊谷 事件に関しては、捜査中の段階なので、コメントを控える。当時から、執行役員や取締役として堀江と話はしている。現時点で言えるのは、新しいライブドアを支えてほしいということ。

平松 弥生がライブドアグループに入ったのは2004年12月。現在の問題は、すべてそれ以前のこと。

―― 取締役としての堀江氏の進退が明記されていない。人事は堀江氏の意向を踏まえたのか?

熊谷 堀江とは弁護士を介して話をしている。表現があいまいだった部分もあるが、“代表”と“社長”を取る部分については堀江の意向。

―― なぜ平松氏が社長か?

熊谷 弥生がライブドアグループの一員となって以来、弥生を大きく成長させた。ライブドアはこれまでの経営陣は社会経験が浅く、周囲の気持ちが理解できなかったところがある。経営的にもプロフェッショナルで、人柄も和やかな平松がふさわしいと判断した。

―― 事実上のトップはどちらか? それぞれの役割は?

熊谷 業務の執行は、ほぼすべて平松に任せる。私は平松を含めた執行役員の業務遂行の監視を行うことになる。

平松 今までのライブドアは、堀江貴文という起業家がピッチャーと4番バッターを務めており、代表取締役でありながら業務の執行にも大変大きな力を発揮していた。結果的に見ると、そこに問題があったとも言えるので、役割分担した。

―― ポータルの広告掲載の取り止めなど足元に危うさあるが、今後の戦略は?

平松 ちょうど1週間前に家宅捜索があり、連日何件かの広告のキャンセルがあった。新体制を発表したばかりでもあり、具体的にはもう少し時間を頂きたい。優秀な執行役員が残っており、質の高いライブドアのサービスを提供し、新しい体制に持って行ければと思う。

―― 会社の身売りなど話はあるのか?

熊谷 身売りは考えていない。資金繰りも安定している。人材を含めた今ある資産を有効活用し、今よりよいライブドアを作りたい。

―― M&A戦略は熊谷氏が練るのか?

熊谷 M&Aは商法上、取締役会の決議事項。

―― 平松氏が取締役または代表取締役になることが視野に入れられているのか?

熊谷 現時点ではとくに決まっていない。

―― 直接ではないが、株式分割に絡んだ容疑になっている。株式100分割などを考案したとされる熊谷氏はどう思っているのか?

熊谷 分割が問題視されるとは思っていない。基本的には独立した経営判断。

―― 再出発という意味で、熊谷氏が事件に関与していないことを表明すべきではないか?

熊谷 今は捜査中で、全面協力が任務と思っている。コメントはしない。

―― これまでキーパーソンだった熊谷氏が新体制でも代表権を持つと、疑惑に応えられないのでは?

熊谷 常勤役員は私しかいない。自動的に私が就任した。平松を取締役にするために株主総会を開けばいいという意見もあるだろうが、時間もかかるし、株主確定も非常に困難。

―― 普通に考えると、羽田氏が社長にならないか?

熊谷 羽田はライブドア・オートという東証2部上場の社長をしている関係上、できない。

―― 株が監理ポストに入っているが、新体制でも時価総額世界一を目指すのか?

平松 具体的な目標設定はまだしていない。コンプライアンス(法令遵守)とコーポレートガバナンスに優先順位をおきながら、成長を加速していきたい。

熊谷 上場企業である以上、株主価値の最大化を目指す。ただし、ルールの範囲内での成長を目指す。

―― これまでコンプライアンスなどについてどうだったのか?

平松 考えていなかったわけではない。結果としてこういうことが起きたのは、認識の深さが十分でなかったと感じている。

―― 元社長の堀江氏の意向も確認する前に、大々的に新役員を発表した意図は?

熊谷 謝罪したいという気持ちをまず伝えたかった。

―― 社名変更はあるか?

熊谷 現時点では考えていない。ライブドアの名で大きく成長できるよう、平松を中心にチームワークで頑張りたい。

―― 4人逮捕で、社員の動揺は? 辞めた人はいるのか?

熊谷 一部で動揺がある。辞めた人もいる。

―― 逮捕された4人が有罪になったとして、刑期を終えたら幹部として迎えるつもりはあるか?

熊谷 予定はない。【了】

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