部署に必要なノウハウが社内にない場合、どうしたらいいでしょうか?(写真:kokouu/iStock)

→安井さんへのキャリア相談は、こちらまでお送りください。

安井様、こんにちは。私は今年入社1年目のBtoB、IT企業のマーケティング部所属の者です。
就活生の頃から「熱血キャリア相談」に元気をもらい、企業の選択にも大変影響を受けました。自身も「非学歴」ゆえ、自分で人生を切り開き、「最初に皆の知るようないい会社に入社できなければ終わり」とか、そういった“常識”を変えてきた安井様のように、自分の仕事人生を生きたいと思っております。
質問の内容は、「部署に必要なノウハウが社内にない場合、いかに自分で学ぶべきでしょうか。いかに成果を出し、熟練していけばよいでしょうか」です。
質問の背景をお伝えするため、まず「なぜこの企業を選んだか」をお話しします。基準は大きく3つあり、1)この人たちと働きたいと思えるか、2)自分の得意・好きなことで貢献できるか、3)体を壊さず、自習するだけの時間が取れるか、で選びました。
2)の得意・好きなことは、自身のインターン経験から「分析・企画し、それに合わせて制作すること、それによって喜んでもらうこと」と考えました。そして広告系に絞ったものの、代理店からコンサル、デザイン制作まで企画と制作で分断されていたので、あえて自社でイベントの企画から商品のチラシ製作まで一貫してやっている現在の企業を選んだ次第です。
しかし、自社にはマーケティング部のノウハウを持ったマーケッターがおらず、年の目標もあいまいで、営業との協力体制もなく、市場調査といったマーケティングらしい仕事は行われておりません。先輩によると、何度か外部の専門家に頼むべきと話したようですが、上司も目の前のタスク処理に忙しく、変わっておりません。
企業選択基準の1)風土と3)勤務体制は合っており、100人規模で全体の仕事の流れが見えるところも気に入っているので、何とか自身で変えていきたいのですが……。
どうするべきか真剣に悩んでおります。ぜひアドバイスいただけると幸いに存じます。
マーケティング部 K

「彼らから学ぶ」という前提を捨てるべき

できない上司、仕事をしない上司というのはある意味恵まれた環境だと、そう割り切って自分自身の行動を変えるしかありません。


この連載の記事一覧はこちら

幸いなことにKさんは今の職場や仕事内容を非常に気に入っているようですから、自分に合った職場や仕事を求めて悩む人が非常に多い中、幸せな状況にいるという認識を持つべきです。

確かに、ノウハウのない上司や職場というのは仕事を通じていろいろと学びたいKさんからするとストレスのたまる状況でしょう。しかし現実問題として、そういった上司が何かをきっかけに自分たちから変わるということはあまり想定できません。

したがって「彼らから学ぶ」という前提をそもそも捨てて、自ら学ぶというスタンスに切り替えざるをえません。

実は私自身もキャリアをスタートしたのがベンチャー企業2社であったため、当然のことながら教育制度もなく、教えてくれる人もいない、そういった状況でした。

2社ともに上司はいたのですが、よく言えば放任主義、悪く言えば何もしない方たちでしたので、自ら学ぶという前提でずっとやってきたわけです。

業務にかかわることは自分で資格取得やセミナー参加を通じて勉強して、仕事でアウトプットする、会社業務でかかわる外部の専門家(私のケースではコンサル、投資銀行や監査法人の方たち)とのやり取りや共同の仕事を通じて技を盗む、そういったやり方で学んできました。

社内においても、自分の直属の上司でなくとも、たとえばエクセルの得意な人、資料作成の得意な人、プレゼンの得意な人、英語のやり取りの得意な人、そういった各分野のエキスパートを自分で探し、それぞれの分野についてそれらのエキスパートから学び、彼らを超えることで成長を図っていきました。

「できる上司」じゃないから利く自由がある

ほかにも方法はいろいろとあるのでしょうが、直属の上司が放任主義だったりできない人だからこそ、そういった創意工夫を持って、もっと言うと自分の得意な方法、自分に合ったやり方、自分のペースで成長することができるのだと思います。

反対に、ものすごいできる上司の下についた人は一見非常に恵まれているように思われますが、実は上司がすべてやってしまう、その一方であまり教えてくれない、といったことも大いにありうるわけですし、上司のやり方をコピーすることを過度に強いられることだってあるのです。

仕事のできる人こそ、自分のやり方がすべて、という思い込みをしているケースが多いのはご存じのとおりです。

もちろんそのようにやり方を示してくれたほうがいいという方もいるかとは思いますが、Kさんの場合はそういったことは望めませんから、ここは自分に合った成長の方法を探し、自ら学ぶことを前提とするべきです。

会社規模も100人程度ということですから、上記の私のようなやり方も可能でしょうし、Kさんが会社や会社における仕事のやり方に変革を起こせる可能性だってあるわけです。

動かない上司を待つのではなく、上司を動かすリーダーシップを発揮することで、もっと上の経営層の目に留まる可能性だってあるでしょう。

何事もそうですが、置かれた環境が変わることを待っても何も変わりません。

自ら周りの環境を変えるという気概を持って行動することで初めて環境が変わる可能性が生まれるのです。

上司が悪い、環境が悪いことを言い訳に何も行動を起こさなければ何も変わりませんが、そういった環境にもかかわらず行動し、挑戦した実績はきっと自分の中でよい経験となるはずです。

そういったリアルな学びを通じてKさんが今の環境に変革を起こし、大きく成長されることを応援しております。