--コミュニケーションの話をされていましたが、コミュニケーションや信頼関係は欧州遠征の前からないような気がしていて、何か月も前から薄れているような気がしていました。その間を取り持つ西野さんにも責任があると思いますので、監督をするというのは何か違うような気もするのですが。
 
田嶋 皆さんは一部の選手からコミュニケーション不足のことを聞き、そうおっしゃっているのだと思います。一部の選手からそういう意見が出ていたのは把握していますし、全体のところでどうだったのかを把握しながらやっていました。

 年末にはE-1選手権(東アジア選手権)の韓国戦で大敗をしました。その後に我々は議論をして多くの情報を得ました。監督を代えるリスクや、もし代えるとするなら誰が監督をするべきなのか。誰がやったら一番いいのかという議論をした結果、その当時は継続ということになりました。
 西野さんはそのなかでハリルホジッチ監督を最後までサポートをしてくれました。最後までサポートする。いわゆるロイヤリティーがあったからこそ監督に任命しました。(西野氏のことで)よく話を聞くのは、例えばチーム内で足を引っ張るのではなく、技術委員長としてチームを最後までサポートすることに徹してくれていたということでした。

 協会の努力に関しては選手とも話し合いの場を持ちました。ただ、それは協会がやると言うよりは、技術委員長が本来やるべきであって、選手も直接言うべきだと分かっています。

 外部と私でどっちが情報を知っているのかというのはありますが、それに関してはやはり本当に私はみんなが努力したと認識しています。ただ、残念ながら最後まで改善できなかったので、このような結果になったと思っています。
--4年前のワールドカップが終わった時に、世界で戦うために上のレベルを知っていることが重要だと話していました。追い込まれた上で西野さんが監督となりましたが、その矛盾と、ポジティブな意味で任せられると思った理由を教えてください

田嶋 ザッケローニ監督が成果を出せなかったという技術委員会での反省では、ワールドカップに出場していなかったというのが理由に上がり、後任がアギーレ氏になり、その後はハリルホジッチ氏になりました。

 おふたりともワールドカップで素晴らしい結果を残されています。それで今はおっしゃった通り、ここは緊急事態になってしまった。最後までハリルホジッチ監督のサポートを続けた西野さんを選んだという形です。

 もちろんスタッフはサポートを惜しまなかったのですが、西野さんには経験値がありました。なので、外部からまったく関係のない人を連れてきて指揮をさせるのはリスクが高いと思い、内部の人を選びました。このロジックを続けていくと、岡田監督以外の日本人監督は代表を指揮出来ないということになってしまいます。そこは我々も考えないといません。
 
--西野監督の契約期間と後任の技術委員長はどなたでしょうか?

田嶋 契約期間はロシア・ワールドカップが終わるまでです。後任の技術委員長は今人選しているところです。今度の木曜日には理事会に出したいと思っています。
--マリ戦とウクライナ戦が終わった後、会長としては気持ちをすでに決めていたのか、法務の問題もありましたが、経緯を改めて教えてください。
 
田嶋 ウクライナ戦の前にいろいろ考えているところはシミュレーションしていましたが、具体的な法務的な手続きについて調べたことはありません。それぐらいハリルホジッチ監督を信頼、サポートしていこうという結論になった訳です。今回マリ戦、ウクライナ戦の後、様々な情報を収集した中で、これは最終的な決断になるかもしれないということで、様々なことをしっかりと分析し始めました。ですから少し時間が掛かったというのが今回の決断に至った経緯です。