本人は「良くない」も…スライダーで圧倒、スカウトも称賛「本当にキレていた」

 エンゼルスの大谷翔平投手は2日(日本時間3日)、練習試合で先発し、2回2/3を投げて4安打2失点8奪三振と好投した。不運な当たりでのヒットが多く、2点は失ったものの、マイナー選手中心のブルワーズ相手にアウトはすべて三振で奪取。前回登板で制球に苦しんだスライダーが冴え、他球団のスカウトを唸らせたと米メディアが報じている。

 この日の二刀流右腕の投球について、米メディア「ファンラグ・スポーツ」は「浮き沈みのあるオオタニが輝きを見せる」と伝えた。敏腕記者のジョン・ヘイマン氏がレポートしており、「ショウヘイ・オオタニはこの世のものとは思えない才能を披露した。(少なくともブルワーズのBチーム選手には)ウィッフル・ボールのように見えるスライターを含む4球種を投げ、マウンドやB級の審判に苦しんだものの97マイル(約156キロ)を記録した」と絶賛している。

「ウィッフルボール」とは、野球が原型となっているスポーツで、穴の空いたプラスチックのボールが使われる。思いきり投げると、信じられないような変化をすることが特徴だ。大谷自身は試合後のNHKのインタビューで「全体的にゾーンにはまとまっていたとは思うんですけど、スライダーにしても、いまいち変化のキレであったりとかはあまり良くなかった」と振り返ったが、インパクトを与えるには十分なボールだった。

アウト8つはすべて三振「シーズン記録を塗り替えるには128イニングしか必要としない」?

 ヘイマン記者は、「あるスカウト」が「スライダーは本当にキレていた」と称賛していたことも紹介。捕手を務めたレネ・リベラは「あのスライダー、打者は球が当たると思って体を後ろに引いていたのが分かったと思う」と話していたが、このスカウトのコメントは、その感想にも合致すると記している。

 また、その他のスカウトが「彼のツーシーム(ファストボール)は良かった」と話していたことにも言及。実際には、フォーシーム(直球)が抜けていたボールと思われるが、速球の威力も前回より増していたことは確かだ。記事によると、大谷の練習を間近で見ているエース右腕のギャレット・リチャーズは「彼の投球フォームは本当にきれいだ。彼の進化を見るのはワクワクするよ」と話しているという。

 また、米紙「ニューヨーク・タイムズ」のタイラー・ケプナー記者も、この日の大谷の登板をレポート。2イニング目までに5つのアウトをすべて三振で奪った時点で「もしこの傾向が続けば、彼はノーラン・ライアンのシーズン記録である383奪三振を塗り替えるためにたったの128イニングしか必要としないだろう」とツイートした。全選手から三振を奪えば、128イニングで383Kに達する。冗談交じりではあるものの、それだけ鮮烈な奪三振ショーだった。

 米国でも最速165キロの剛速球に注目が集まっているが、日本ではキレ味、球速ともに抜群のスライダー、フォークでも驚愕のボールを連発してきた。オープン戦でマウンドやボールに慣れながら、大谷は武器をしっかりと磨いている。(Full-Count編集部)