米国のシンクタンク、Progressive Policy Institute(PPI)のマイケル・マンデル氏は1月19日、総務省の通信行政担当者や国会議員が参加する公開シンポジウムに登壇。携帯キャリアが消費者に支払う端末の購入補助金、いわゆる「実質0円」の規制が、日本経済に悪影響をもたらすと主張しました。

マンデル氏によると、大手キャリアの端末購入補助金は、日本における次世代携帯端末の普及、そして、革新的なサービスを提供しやすくする環境づくりに寄与しているといいます。

一方で、総務省が2016年2月に開始した補助金の上限設定、いわゆる「実質0円」の禁止は、端末価格の上昇を招き、消費者を低機能携帯端末や中古端末に誘導しているとのこと。その結果、日本を最先端サービスを提供しづらい市場に変化させ、安倍政権が進める「生産性革命」にもマイナスの影響を与える可能性があると警鐘を鳴らします。

また、購入補助金の上限設定により、端末価格で差別化できなくなったキャリアが、通信料金をより一層複雑化させているとも指摘。その結果、消費者は複雑な料金体系に対処せざるを得ないという不利益を被っていると主張しています。また、端末購入補助金の規制を撤廃した韓国を引き合いに、日本でも同規制を撤廃するのが望ましいとの考えを示しました。

なお、同シンポジウムに登壇した総務省の藤野克氏(電気通信事業部料金サービス課長)は、補助金の規制について「端末の調達能力が優位なインフラ事業者(大手キャリア)が、ネットワークの一体販売で端末を極端に廉価に販売する形には競争上懸念があることから導入した」とコメント。さらに、補助金の規制でMNPが抑制されているという指摘には「MVNOの契約で純増が300万以上、MVNOを含んだ形の市場競争を促していきたい」とコメントしました。