往年の電算機のダウンサイジングは、性能を維持しながら小型・低価格化することだった。最近の食品の容量削減は、なんと呼ぶべきか。80グラム程度のポテトチップスは60グラムに。6個入りロールパンは5個に減った。チーズやソーセージ、缶詰など枚挙にいとまがない。

 一人暮らしが増え、少量の商品が求められるという理由もあるだろう。しかし多くの商品が以前とそっくりなパッケージなのを見れば、見せかけで価格を維持した実質値上げに違いない。

 日銀は2%の物価上昇目標を掲げるが、なかなか達成できない。そもそも総務省が毎月公表する消費者物価指数は、相次いで発売される食品の新商品をカバーしていない。つまり実質値上げが反映されないという。

 これに対し、一橋大学などが開発した「一橋物価指数」は、POS(販売時点情報管理)の実売データに基づいて食品などをグラム単位に分解し、単価変動の把握を試みている。これなら庶民の実感に近づく可能性がある。

 流通チェーンが店頭価格を低水準に抑えたい気持ちは分かる。しかしメーカーにとっては不毛な体力勝負に思える。サイズのダウン競争ではなく、実質価値のアップ競争で食品売り場を楽しくしてもらいたい。