中国でシェアサイクルが急速に普及している。安価な利用料金、どこでも乗り捨てができるという利便性が普及を後押ししており、シェアサイクルを手がける企業は日本をはじめ、中国以外の国への進出も加速させている。

 火薬、紙、印刷、羅針盤は古代中国の4大発明とされているが、近年の中国では高速鉄道、モバイル決済、ネット通販、シェアサイクルが「新4大発明」と言われることがあり、これらのサービスが中国人の生活を大きく変えたことを示唆するものだ。

 中国の一部のシェアサイクル企業はすでに日本でもサービスを開始しているが、中国メディアの中関村在線はこのほど、なぜ中国でなくてはならいサービスとなったシェアサイクルは、日本では勢いよく普及しないのかと疑問を投げかける記事を掲載した。

 記事は、日本在住の中国人から聞いた話として「日本に進出したはずの中国発のシェアサイクルは、日本ではほとんど普及していない」と伝え、それは日本と中国が様々な点で違っているためだと指摘。たとえば中国では経営者同士が酒を飲みながら新しい事業アイデアを思いついた場合、数日もすれば事業はスタートしているほどで、イノベーティブな事業であれば、法律やルール、行政すらも無視して始めてしまうと紹介する一方、日本では法律や行政の許可は絶対であるとした。

 また、中国でシェアサイクルが流行した背後には、公共交通機関の混雑や利便性の低さ、そして公共交通機関では埋められなかった「目的地まで残されたわずかな距離」が存在したと指摘。また、中国では自転車の窃盗が多かったが、シェアサイクルの登場によって中国の人びとは盗まれることを気にせず、駅から目的地まで残されたわずかな距離を快適に移動できるようになったとし、中国でシェアサイクルが流行したのは必然の要素があったと推察した。

 一方、日本は自動車大国であると同時に、公共交通機関は時間に正確で、公共交通機関だけでどこにでも行けてしまうほど発達していると指摘。また、自転車は一家に一台は存在するほど身近なものであり、しかも日本では中国ほど自転車を盗まれることはないため、日本人の日常生活のなかでシェアサイクルが必要となる状況は決して多くはないため、こうした違いがあるからこそ、日本では中国のようにシェアサイクルが爆発的に普及しないのだと考察している。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(c)walkingsky /123RF)