世界的に信頼され、おいしい店を知る基準になっているミシュランガイド。日本料理店も多く星を獲得しているが、中華料理店は少ないようだ。中国メディアの今日頭条はこのほど、中華料理店がミシュランガイドに掲載されにくい理由について分析し、選考方法に疑問を呈する記事を掲載した。

 記事によれば、ミシュランに選ばれる基準の1つには、「西洋人の好みかどうか」があるという。西洋人は料理の繊細さ、食材の味が生かされていること、店の雰囲気が上品で静かなこと、コックの芸術的な腕前といった点を重視していると主張、中華料理はこうした観点だけ見ても不利だとした。

 その理由は、中華料理という文化は「静かに食事をする」習慣ではなく、円卓を囲んでにぎやかに食事することで帰属意識を強めたり、商談の場にしたりしているためだという。そもそも、賑やかさで人間関係を構築する中国の食事の方法は、「場をしらけさせる割り勘」の文化よりも優れていると記事は主張している。

 だが、コックの芸術性に関しては記事も不足を認めている。そもそも、中国のコックには外国人のように技術の向上に生涯をささげる気持ちはなく、生活のために割り切って働いていると分析。チャンスがあれば別の職種に転職することもいとわないほどで、しかしそれは、生き残るため臨機応変に対応する「中国人の強み」の表れだと擁護した。

 記事はこのように、ミシュランガイドに掲載されにくいとしても、中華料理そのもののすばらしさは変わらないと熱弁をふるっている。星を取るような高級な和食の店よりも、「安くて手軽で種類も多い」中華料理のほうが一般市民により愛されており、星を取らせないのは急速な発展を「嫉妬」する外国人による嫌がらせもあるだろうと、記事の最後に付け加えた。

 何千年もの歴史ある中華料理。ミシュランガイドにも中国版が登場するなど、中華料理も高く評価されているのは間違いないが、記事からは、中国人の中華料理に対する誇りと、世界に認められている和食への嫉妬、そして中華料理が「正当に評価されていない」という不満が色濃く感じられる。自身を擁護するばかりでなく、和食を含めた他からも学ぶ姿勢がなければ変わることはできないだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)anizza/123RF)