これは近年の「ミス・アメリカ」に選ばれる女性たちの外見に関する話題である。『2018年ミス・アメリカ』ファイナルがこのほど終了したが、写真の二の腕の雰囲気でもわかるように今年の優勝者はまったく痩せていない。バストばかりか腰回り、太ももにもボリュームを感じるその水着姿には親近感を覚える女性も多かったはずだ。フランスをはじめファッション界では今、痩せすぎモデルを美しいと評価しない、起用しないという動きが強まっているが、ミスコンの世界も同様なのであろう。女性が無理なダイエットで体を壊す時代は去ったと言ってもよいのかもしれない。

ニュージャージー州アトランティックシティにある「ボードウォーク・ホール」で開催された『2018年ミス・アメリカ』。51名の出場者の中から勝ち抜き、10日夜のファイナルで今年のミス・アメリカに選ばれたのは、マイケル・ジャクソンの曲に合わせて得意のジャズダンスを披露したノースダコタ代表のカーラ・マンド(Cara Mund)さんであった。

アメリカのミスコンでは審査員から意地悪で難解な質問があるものだが、「トランプ大統領は先に、気候変動への国際的な取り組みを定めた2015年の『パリ協定』からの離脱を宣言しましたね。地球温暖化の原因である温室効果ガスの排出削減を目指す協定なのですが、大統領のその決断をあなたはどう思いますか?」との問いかけに、カーラさんは「悪い決断だと思います。気候変動に関するエビデンスはもう揃っています。誰もがきちんと膝を突き合わせてその問題に向き合っていく必要があります」と大統領をバッサリ。会場の誰もがミス・アメリカのティアラにふさわしいのはカーラさんだと確信していったという。

振り返ってみるとミス・アメリカ2017年のサビー・シールズさん、同2016年のベティ・カントレルさん、そして同2015年のキーラ・カザンツェフさんはいずれもスレンダーだが決して痩せすぎてはいない。ファッションモデルを基準にして“細い”ことこそが服の美しい着こなしの条件だと捉えている若い女性が多いことに、アメリカのミスコン界も「ノー」を突き付けているのだ。フランスではすでに痩せすぎモデルの起用を禁じる法律が施行となっていたが、このほどは高級ブランドで知られるクリスチャン・ディオールやグッチが、ショーのランウェイに痩せすぎているモデルは起用しないと発表したばかりである。

また「ミス・ユナイテッド・コンティネンツ」英国代表に選ばれていたゾーイ・スメールさんのことも忘れてはなるまい。今月下旬のエクアドルでの本選を前に、関係者から「大柄に見えるからもっと痩せて」と要求された彼女は強いショックを受け、本選の棄権を決意した。輝かしいティアラやタイトルを返上しても彼女が守りたいと主張したのは美味しい食事を摂る権利と健康な体。人間らしく生きるためのまさに基本であった。

画像は『KFYR-TV/West Dakota FOX 2017年6月12日付「Bismarck native Cara Mund wins 2017 Miss North Dakota」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)