コスチュケビッチが右足一閃、ボールはわずか6秒で敵陣ゴールへ突き刺さる

 サッカーのベラルーシリーグ1部、第16節のFCヴィーツェプスク―クルムカチ・ミンスクで、ゴールキーパー(GK)がパントキック一発でキャリア初の得点を奪取。さらに一発退場まで犯し、「天国」と「地獄」を味わう様子が収められた動画がYoutubeで公開されると、ファンからは「度肝を抜く試合だった」「こんなことありえない」といった驚きの声が挙がっている。

 サッカーは何が起こるか分からない。まさに、その要素が詰まった試合だった。非常に珍しいシーンの主役となったのが、クルムカチのGKエヘニー・コスチュケビッチだ。

 1-2と1点ビハインドで迎えた後半10分、相手が上げた中央へのクロスをキャッチしたコスチュケビッチは、周囲の動きを見ながら前線へ右足でパントキック。味方選手1人、ヴィーツェプスクのDF2枚がボールを追いかけて激しい競争を見せる。すると――。

 ボールはペナルティーアーク付近に落下して大きく弾み、飛び出していた相手GKの頭上を通過。そのまま一直線にゴールへと向かい、あっという間にネットに突き刺さった。コスチュケビッチのキックからわずか6秒。思わぬ形で同点に追いつかれると、敵地のヴィーツェプスク・サポーターからは悲鳴が混じったどよめきが沸き起こった。

得点の喜びから一転、まさかの一発退場…監督も一言「非日常的な体験」

 しかし、コスチュケビッチの“1人劇場”はこれだけでは終わらなかった。

 ヴィーツェプスクにカウンターを受けた後半32分。1本、2本とパスがつながり、ボールは瞬く間に敵陣ゴール前からセンターサークルへ。そして、スルーパスに抜け出しフリーとなった選手を止めようとコスチュケビッチが飛び出したが、相手と交錯して倒してしまい、一発退場となった。

 試合は代わりに途中出場したGKの顔面セーブもあり、2-2のまま引き分けに終わったが、ベラルーシリーグのYoutube公式チャンネルがコスチュケビッチの“ドタバタぶり”をハイライト映像を公開すると、ファンからは「度肝を抜く試合だったな。観客は記憶に焼きついただろう」「こんなことありえないと思っていたよ」などと反響を呼んだ。

 クルムカチを指揮するアレクシス・レオニダビッチ・クチュク監督も、クラブ公式サイトで「ゴールを決めてしまったね! 素晴らしい旋風だ。彼はトレーニングでもゴールを決めるからね(笑)。それでも実際にはテレビでしか見たことがなくて、この肉眼(眼)でああいったゴールを見たのは人生で初めてだ。これは稀有な現象であり、非日常的な体験だよ」と振り返っている。

 コスチュケビッチが味わった「天国」と「地獄」は、ベラルーシのサッカーファンの間で今後も語り継がれていくだろう。