拾いきれなかったニュースをダイジェスト形式でお伝えします。今回は「JAXAのミニ惑星探査ロボ」「科学的に正確な宇宙のゲーム」「太陽系最古の惑星は木星と判明」などをまとめました。

JAXAの惑星探査ロボは内蔵ミニロケットで高台へもひとっ飛び


JAXAが、IEEEが毎年開催しているロボット工学国際会議IRCAにて将来の惑星探査向けのロボット制御技術を発表しました。旧式の手榴弾みたいな外観をしたこの物体、ローバー型の着陸探査機では到達が困難な崖の上の高台といった探査ポイントへ、内蔵ロケットを使って飛び乗る能力を備えます。

ただロケットを使うだけでなく、リアクションホイールを回転させて姿勢を安定化し、逆噴射機構を使うことで目標とする位置にピンポイントで着地させられ、リアクションホイールを利用して移動しながら探査活動も実行できます。

発表資料によると、このロボットは地球の重力なら30m、月なら約200mの高さまで飛び上がることが可能。また逆噴射機構が着地点の精度を4倍にまで高めたとのこと。今後、着地時の衝撃を和らげる機構を追加するとともに、科学分析器具の搭載や、ジャンプ中に周辺地形を撮影するパノラマ撮影機能などを搭載して、周辺のマッピングなどにも活用方法を拡大する計画とのことです。

[Image : JAXA]

[Source : JAXA/IEEE Spectrum]

ニール・ドグラース・タイソンの「科学的に正確な」宇宙ゲーム、クラウドファンディング中


 

米国の著名天体物理学者ニール・ドグラース・タイソンが宇宙の生い立ちから文明による開発までをテーマとしたビデオゲーム「Space Oddysey」を発表、Kickstarterで出資募集キャンペーンを開始しました。Space Oddyseyはマインクラフト的なゲーム方式を採用、不毛の惑星に生命を宿らせ、ロボットを作り資源を採掘したりして、その惑星固有の生態系を作り上げる内容です。

そしてこのゲームの大きな特徴は、SF(Science Fition)なのではなく、科学的に正確(Scientific Accurate)なのを重視しているところ。ゲームの中では生物学、化学、地球科学、工学などの要素が

重要であり、それらが種の生き残りのためにどのように作用するかを考えながらプレイしなければなりません。またゲームには現在はまだ実現していない将来の技術なども盛り込まれているとのこと。

実際のゲーム画面がまだ紹介動画にはないため、ゲームとしての具体的なイメージが今ひとつあたまに浮かばないものの、子どもたちが宇宙を楽しみつつ学べる教材にもなりうるゲームになるのかもしれません。

[Image : Kickstarter(Space Odyssey)]

ガールスカウトでサイバーセキュリティ教育


米国のガールスカウトが、コンピューターセキュリティ企業Palo Alto Networksとの提携により2018年秋からサイバーセキュリティについての知識を身に着けたスカウトにサイバーセキュリティバッジを与えると発表しました。参加資格は幼稚園から12年生(日本で言う高校3年生)までと幅広く、カリキュラムにはデータプライバシー、サイバー攻撃、オンラインでの保護などが含まれ、上級学年ではコーディング、ホワイトハットハッカー養成、ファイアウォール構築まで、かなり詳しい内容が含まれる模様です。

全米のガールスカウトには180万人が登録されており、早期からIT技術を教育することでテック分野における男女格差を解消することができるとのこと。

ちなみにボーイスカウトのほうはと言うと、2012年からCyber ChipというIT関係の認定制度を設けてあります。

[Image : Palo Alto Networks]

ジェフ・ベゾス、慈善活動のためのアイデアを募集中



AmazonのCEO ジェフ・ベゾスが、Twitterを通じてなにか慈善活動をするための良いアイデアを募集しています。ベゾスは最近Bloombergに世界2番めの資産家だと紹介されました。

ベゾスの呼びかけに対して、Twitterユーザーからは貧しいLGBTの若者やローンを抱える学生への援助から、定年間際の人々からの業務スキルや技術の継承を促すための施策など、2万1000ものリプライが届けられました。2万を超えるリプライのすべてにベゾスが目を通すことはまず不可能と思われます。とはいえ、ベゾスは自身がやりたいと思ったことはなんでもできるはずなので、実際にTwitterのリプライの中からなんらかのインスピレーションを得たりすることもあるかもしれません。

[Source : Jeff Bezos(Twitter)]

木星が太陽系で最も古い惑星だと判明


米ローレンス・リバモア国立研究所およびドイツヴェストファーレン・ヴィルヘルム大学(ミュンスター大学)からなる科学研究チームが、木星が太陽系で最も古い惑星と判明したと発表しました。

チームは地球に落ちた隕石からモリブデン同位体およびタングステン同位体のデータを分析し、その隕石が2つの異なる星雲ガス成分から構成されていることを発見、それが太陽系ができてわずか100万年ぐらいのものと、おなじく300万〜400万年ぐらいの間にできたものだと分かったとしています。そして、この年代のギャップの間に巨大なガス惑星、つまり木星が形作られた可能性が高いとしました。

まず太陽系ができてから約100万年後に、木星のコアの部分が地球の20倍ぐらいの大きさにまで成長し、さらに300万〜400万年後ぐらいまでの間に木星の質量は地球の約50倍にまで成長したと考えられます。(最終的には318倍になる)太陽の降着円盤を形成していたガスや塵などは、木星の形成以降はその重力作用によって火星と木星の間にある小惑星帯を形成するに至りました。

地球に落下するほとんどの隕石は、小惑星帯からやってくるとされます。そして木星の形成、成長による重力の影響は周辺の小さな微惑星を小惑星帯へと押し込んだと考えられます。

[Source : Lawrence Livermore National Laboratory]