ナショナルエレクトリック・ビークル・スウェーデン(NEVS)社は、2012年に買収したサーブを元にした電気自動車(EV)の開発を続けている。2015年には、サーブ「9-3」のプラットフォームをベースにしたEVを2017年に発売するという発表があったが、ついにその成果を確認する時がきたようだ。NEVSは5月31日、9-3とそのSUV版である「9-3X」のコンセプト・モデルを披露し、カーシェアリングなどのサービスを提供する「モビリティ・プロジェクト」として、これらのモデルが中国の天津市で運用されることを発表した。

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これらのコンセプトは、6月7日から9日まで中国の上海で催される「CESアジア」に出展されることになっているので、そこでこのクルマやプロジェクトの詳細、新ブランドの今後の展開などが明らかになるだろう。天津のプロジェクトで、NEVSはカーシェアやライドシェアなどのサービスを市内で提供することが決定している。同プロジェクトは天津市の濱海ハイテク産業開発区(THT)との共同事業であり、一帯の工業団地には同事業のパートナー、東風汽車(ドンフェン)と共有する工場や研究開発センターなどがある。

NEVSのマティアス・バーグマン社長は、「我々は先進都市である天津市と連携し、このハイテクで持続可能なモビリティ・ソリューションを開発するという素晴らしいチャンスを得たことを光栄に思います。天津市民の方々に役立つ実社会に即したサービスを、そして未来に溶け込む都市型モビリティ・ソリューションを作り出すというビジョンと共に取り組んで参ります」と語っている。

EV版9-3は、ゼネラル・モーターズ(GM)傘下にあった頃のサーブが生産していた内燃エンジン車と、デザインはあまり変わらないように見えるが、サーブのエンブレムはなく、NEVSのバッジが付けられている(NEVSはサーブの商標権を所有していないため)。航続距離は約300kmで、車載Wi-Fiやスマートフォンによるバッテリー管理機能を搭載し、無線によるソフトウェア・アップデートも可能だ。NEVSによれば、キャビンのエアフィルターには世界クラスのものが装備され、車内の空気を屋外の有害な微粒子から守るという(ちなみに中国が現在、改善に取り組む都市部の環境汚染は深刻である)。NEVSの新型EVは中国で生産され、2018年から路上を走り始める予定だ。

By John Beltz Snyder
翻訳:日本映像翻訳アカデミー