日大高、序盤はリード許すも、中盤に追いつき8回に逆転!決勝の三塁打を放った中村 寛太(日大高)
甲子園には届いてはいないが、激戦区神奈川県にあって、常に上位に顔を出す存在となっている両校の対戦。日大高はここ5年のうちに、2014年と16年にそれぞれ、選抜の21世紀枠代表校候補として県の推薦校となっている。そして、昨年度は秋季県大会でベスト4、春季県大会では王者・横浜には屈したものの準優勝。関東大会にも進出を果たしている実力校である。
湘南学院は2000年に前身の湘南女子から共学校となり、元々スポーツが盛んだったという土壌もあり、野球部も強化されてきている。本萱昌義監督が横浜出身ということもあって、横浜の小倉清一郎前部長や全国制覇時の投手だった川戸浩氏らがコーチとしてアドバイスしている。そうした土壌もあって、08年春季県大会ではベスト4に進出し、11年秋と12年春にもベスト8に進出している。そんな両校の対戦である。
序盤は、取って取られて、また取り返してという展開で湘南学院がリードした。 2点を追いかける日大高は5回に3回からリリーフして、その後は本来の右翼手のポジションにつき8番に入っていた北野君が左前打で出ると、バントなどで二死二塁として2番池谷君が右越三塁打して1点差に迫る。そして、湘南学院がチャンスを併殺でつぶした後の6回裏、湘南学院の2人目関野君を送り出したが、それに対して日大高は5番中村寛太君、6番依田君の短長打でついに同点となった。
こうなったら、勢いは日大高の方がある。8回も湘南学院は一死で内山君が二塁打して、二死一、三塁まで攻め立て上位に回っていったが、ここも日大高の3番手として投げていた中島君が踏ん張った。そしてその裏、湘南学院も3人目として本萱監督は野崎君を送り出したが、3番渥美君が右前打。一死後、中村寛君が今度は左中間に三塁打して決勝点を叩き出した。中村寛君はこの日、4打数3安打と当っていたが、そのうちの2本が得点にも絡んでいる。
そして9回は、中嶋君が渾身の思いを込めて、2番からの湘南学院打線を、この日初めての3者凡退で抑えて3回戦進出を決めた。
雨で日程がずれて、結局県大会の初戦が1週間遅れてしまった日大高だったのだが、伊藤健吾監督はしみじみ振り返った。「前半は、少し嫌な展開だったですね。いきなり先頭に三塁打を打たれて、スクイズで先制。その裏の何とか返すのですが、また2回に2点、3回にも取られましたよね。早く追いつかないといけないと思っていたのですが、心配していた失策は出るし、(2回、3回と)走者は出なくて、焦りにもなっていましたが、何とか中盤で追いつけましたから…。力のある相手ですから、勝つことが一番ですから、それが果たせましたから」と、辛勝ながらも次へ進められることに安堵していた。
日大高は昨年から、ユニフォームをやや変更して、本家というか日本大学と同じスタイルのものとしている。伊藤監督自身としても、昨年就任20年を経て、ユニフォーム変更はその記念の一環でもあるという。そして、21年目の今季、また新たな一歩を踏み出すのに、まずは好スタートと言っていいであろう。
湘南学院は初回、先頭の河野君がいきなり三塁打して鈴木将二郎君のスクイズで先制し、2回にも死球と暴投、失策で再びリード。3回にも一死一、三塁から犠飛で追加したが、結局その後は、3番手で登場した中島君を攻略しきれなかった。そして、逆に森君が5回までで限界と諦め、続く関野君、野崎君で抑えきれなかった。
(取材・写真=手束 仁)
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