生駒から「つなぐ心」と記された横断幕をもらった天理
第104回全国高校野球選手権第3日が8日行われ、第2試合では、天理(奈良)が山梨学院(山梨)に2-1で競り勝った。今夏の奈良大会決勝では新型コロナ禍でベストメンバーが揃わなかった生駒に21-0で勝利したが、天理ナインは選手自ら歓喜の輪を作らず。この日の試合後、中村良二監督は選手たちの喜ぶ姿を見て「『みんなで喜ぶシーンができないと』と思っていたので良かった」と本心をのぞかせた。
天理は4回、2死二塁で6番・内藤大翔内野手(3年)の中前打で1点を先制すると、6回2死二塁で山村侑大捕手(3年)が左翼への二塁打を放ち加点した。投げては、先発・南沢佑音投手(3年)が8回まで無失点の好投を見せた。9回2死から連打で1点を失ったが、最後は山梨学院の7番・佐仲大輝捕手(2年)を二ゴロに抑えて試合を締めた。
奈良大会では決勝戦の直前に、相手の生駒に多数の新型コロナウイルスの陽性者が出た。大量の選手入れ替えを余儀なくされ、本領を発揮できなかった相手に配慮して、優勝を決めてもマウンドに集まらずに静かに整列していた。
奈良大会後に生駒から「つなぐ心 天理高校野球部」と記された横断幕を贈られた。無念の思いがあったはずの生駒の思いも背負って投げた南沢は「生駒さんから(横断幕という形で)応援の気持ちを頂いた。この試合にかける思いも変わりました」と振り返った。
この日は勝利を決めると、選手たちは喜びを分かち合った。中村監督は奈良大会での配慮に「選手たちの野球以外の成長も見させてもらった」と感心しつつ“親心”も。「決勝では相手に配慮して喜ぶことをしなかったので、『みんなで喜ぶシーンができないと』と思っていました。きょうがそういった場面になってよかったです」と笑顔を浮かべていた。(川村虎大 / Kodai Kawamura)