肉を加工した食品の代表とも言える「ソーセージ」。調理すると、ご飯にもパンにもよく合うことから、普段の食卓に欠かせないという人も多いはずです。

 しかし、このソーセージとよく似た食べ物に、「ウインナー」と「フランクフルト」があります。いずれも、動物の腸に肉を詰める点は共通しているようですが…。これら3つの食材の違いは何なのでしょうか。

 オトナンサー編集部では、洋食全般に詳しい、日本洋食協会の岩本忠会長に聞きました。

ソーセージは「オデュッセイア」に登場

 岩本さんによると、ソーセージとは、ひき肉などを味付けし、腸詰めにしたものの総称です。古代ギリシャの長編叙事詩「オデュッセイア」に兵士の携帯食として、ヤギの胃袋に血と脂身を詰めたものが登場していることから、2000年以上前から人々に親しまれていたことがわかります。

 ソーセージの伝統的な製法は、ヒツジや豚の腸に刻んだ肉と、有害微生物の増殖を抑えるための塩を入れるものですが、肉は脂肪や血、穀物などを混ぜる場合があり、その保存法も空気乾燥やくん製、発酵など地域によってさまざまです。

 またハンバーグのような見た目をした、米国の「ブレックファストソーセージ」のように腸詰めしないものもあります。

 次にウインナーはソーセージの一種で、正式名称は「ウインナーソーセージ」。オーストリアの首都ウィーンに由来します。牛肉(赤身)と豚肉の合いびき肉を、ヒツジの腸に詰めるのが一般的です。ヒツジの腸は、豚の腸に比べて細いことから、少し小ぶりなこととパリッとした皮の食感が特徴です。

 独フランクフルトの職人が13世紀ごろに発明し、19世紀初期にフランクフルトで修行したウィーン出身の職人が、故郷のウィーンに伝えたのが始まりとされ、本場ウィーンでは「Frankfurter wuerstel(フランクルターヴェルステル)」と呼ばれます。

豚の腸を使うフランクフルト

 最後のフランクフルトももちろん、ソーセージの一種ですが、ウインナーとは異なり、豚の腸に詰めるのが一般的です。豚の腸はヒツジの腸に比べると、太くて皮が厚いものが多いことから、炭火やバーナー、鉄板、フライパンなどで加熱して食べます。

 つまり、ウインナーもフランクフルトも数あるソーセージの一種ですが、ヒツジや豚の腸が手に入らない場合、コラーゲンなどを使った人工の皮を使うこともあるため、必ずしも「ヒツジの腸=ウインナー」「豚の腸=フランクフルト」ではなく、「ご家庭やお店によって解釈が異なり、線引きが難しい」(岩本さん)のが実情のようです。

 ちなみに、日本の農林水産省が業者向けに設定する「ソーセージ品質表示基準」では、皮にヒツジの腸を使用したものは「ウインナー」、豚の腸は「フランクフルト」、コラーゲンやプラスチックなどの人工物であれば、太さ20ミリ未満は「ウインナー」、20〜35ミリは「フランクフルト」、36ミリ以上は「ボロニア」とするよう義務づけています。

(オトナンサー編集部)