中川大志と飯豊まりえ──とにかくふたりは仲がいい。カメラを向けられ偶然にも同じポーズをとったり、「大志君、髪の毛切ったでしょ? 私も切ったんだよ。なんにも言ってくれないんだから!」「言おうと思ってたよ」と笑いあったり。ともに1998年生まれ。中学時代から雑誌『ニコラ』(新潮社)でモデルをつとめていたこともあって、息はピッタリだ。そんなふたりが初めて挑んだ、甘くて切ない少女漫画の世界。話題の“カーテンの刑”にもこだわりがあった!?

撮影/川野結李歌 取材・文/とみたまい 制作/iD inc.



少女漫画ならではの世界観に試行錯誤して…



――みきもと凜さんの少女漫画『きょうのキラ君』(講談社)を実写化した本作。飯豊さん演じる、他人と関わることが苦手な “ニノ(岡村ニノン)”が、中川さん演じる、誰もが憧れるクラスの人気者“キラ(吉良ゆいじ)”に恋をする。だけどキラは誰にも言えない秘密を抱えていて…というストーリー。最初にシナリオを読んで、どのように感じましたか?



中川 原作を先にいただいてから台本を読みましたが、根本的な作品の魅力は一貫して感じました。そのうえで……原作で印象的だったシーンやセリフは映画のほうにも残されつつ、映画にしかないテンポ感だったり、映画でしか言えないセリフがあるなあと思いました。「このセリフをどう言おうかなあ?」って思うところがいっぱいありましたね。

――飯豊さんはいかがですか?

飯豊 ニノンちゃん役に決まる前に原作を読みましたが、キラキラしたなかに……切ない部分もあって、すごく素敵だなあって思いました。生きることがテーマになっている少女漫画というのも新鮮で、「こういうのもあるんだ!」って、すごく気になりました。

――それまで、あまり少女漫画を読んだことがなかった?

飯豊 はい、初めてちゃんと読んだ少女漫画でした。“カーテンの刑”(教室の窓際に立つキラがニノを誘ってカーテンの中に引き入れ、「カーテンの刑」とつぶやきキスするシーン)とか、少女漫画でしかできないような、胸キュンのシーンやセリフがたくさんあって。こういう経験って絶対ないですし、高校生活でも恋愛があんまりできなかったので、「できる!」と思って嬉しかったです(笑)。



――たしかに、あんなに胸キュンの体験はなかなかないですよね。

飯豊 だから、素直に嬉しかったですね。高校でできなかった、キラキラした青春を演じることができて、いい経験だったなって思います。原作がある作品ということで、「私にできるかな? 大丈夫かな?」って思っていた部分が少しあったんですけど、それ以上にやっぱり、お芝居していて楽しかったですね。

――飯豊さんから「高校で経験できなかったことができて嬉しかった」というお話が出ましたが、中川さんはいかがですか?

中川 嬉しいを通り越して……セリフもそうですが、現実では絶対にできないようなシチュエーションが、けっこう多かったんで。少女漫画ならではの世界観ということで、それをどう表現しようかなぁって。現場に入ってからもいろいろ悩みながら、試行錯誤しながらやってましたね。



――川村泰祐監督ともディスカッションされました?

中川 少女漫画の世界って、僕は今回初めて踏み込みましたが(笑)、監督はいままでに何作品か作ってこられているので、そういう意味では、教えていただく部分が本当に多かったですね。

――具体的には?

中川 いかにカッコよく見せるかとか、キュンキュンしてもらえる見せ方ですよね。動き方や立ち方とかの、本当に細かいところなんですけど……。いままで知らなかったし、考えたことがなかったので、すっごい勉強になりました。そういった監督の要望に応えられるように、なおかつ、感情的なお芝居も多かったので、そこが難しかったですね。




――飯豊さんは、ニノンちゃんの声のトーンにもこだわっていたようですが?

飯豊 はい、声を変えました。

――その声の効果がスゴくて、本当に可愛いニノンちゃんだなあと思いました。

中川 もうさぁ……。
飯豊 なになになに?(笑)
中川 こないだの完成披露試写会で、うちの親がもう「まりえちゃん、超かわいい!」って言ってて(笑)。
飯豊 あははは!
中川 すっごい言ってた(笑)。
飯豊 ホント? やった! 大志君のご両親に……ありがとうございます!(笑)
中川 僕は褒められずに(笑)。息子よりももう、「まりえちゃんのニノンちゃんが可愛い!」って。
飯豊 わー、嬉しい!



「こんなに涙が出るんだ」キラ君の泣きの演技に注目



――原作の雰囲気とも少し違うニノンちゃんが、ぴったりとハマっていたように思えたのですが…。

飯豊  “飯豊まりえ”のイメージを裏切ろうと思ったんです。せっかく……少し変わっていて、可愛らしくて、面白い女の子を演じられるので、自分の延長というよりは、自分をいったん忘れようと思いました。声や動作も変えようって、勝手に思ってやっていたんですけど、意外とそっちのほうがスイッチの切り替えができやすくて、演じるのが楽しかったです。

――中川さんは、飯豊さんが演じるニノンちゃんをどう思いましたか?

中川 すっごい難しい役だと思うんですが、ニノンちゃんが現実世界にいたら、きっとこうなんだろうなって思いました。なんか……変な子だからさ。
飯豊 うん。



中川 その変な子が、変な子にしか見えなくなっちゃう危険性もあったりする(笑)、難しい役なんだよね。でも、今回のニノンちゃんは、異性から見たらもちろん「可愛らしいな」って思うけど、やっぱり一番は……女の子が観る作品ということで、同性から見ても、「わかるなあ」って応援したくなるようなお芝居だったと思うんで、スゴいなと思いましたね。
飯豊 あざとく計算しちゃうとダメなんですよね。なになに“です!”とか、ハッキリとしゃべって、一生懸命伝える感じでお芝居をしたら、きっと伝わるだろうなって思ったのと……あと、笑顔を大切にしたら、観ている女の子たちにもその笑顔が伝染して、きっと笑ってくれるだろうなと思いました。



――飯豊さんは、中川さんのお芝居について、どう思われましたか?

飯豊 感情がすごく引っ張られましたね。キラ君は泣き虫なので、泣きのお芝居も多くて……。ニノンちゃんも本当は泣き虫なんだろうけど、キラ君の前ではできるだけ涙を流さないようにしていたんです。でももう…。

――本当に感情がこもった涙のお芝居ですから、つられてしまいそうですよね。

飯豊 そうなんです! もらい泣きさせられるようなお芝居をするので(笑)、スゴいなと思いましたし、尊敬するんですけど、こらえるのが大変でした。それぐらい素敵な涙を、たくさんたくさん、こぼしてました。



中川 あれ全部目薬でやってました……。
飯豊 あははは! ウソウソ。
中川 全部目薬です(笑)。
飯豊 「スゴいな、男の人なのにこんなに涙が出るんだ」って、本当にビックリしました。
中川 いっぱい水分を摂っておくといいんだよ(笑)。
飯豊 なるほどー!(笑)



――クラスの人気者でありながら、命に関わるような秘密を抱えているキラ君を演じるのは、本当に難しかっただろうなと思うのですが。

飯豊 うん、本当に難しいですよね。
中川 いやぁ、難しかったですね。

――重い設定で、気持ちが引っ張られたことはありましたか?

中川 ありましたねえ。役作りをするうえで、経験できないことは想像するしかないので……現場に入る前から、気持ちを作り始めていましたね。自分にとってのかけがえのない365日って、どういう感覚なんだろうなあ? って、常に考えていましたね。

――一方で、“人気者のキラ君”の部分も大事な要素となってきます。

中川 そうなんですよね。とことん重い役でもなくて、コメディタッチの楽しいシーンもありますし。キラの持つ絶対的な存在感は崩さずに、かつ、人間臭い弱い部分はウソになっちゃいけないなって思っていたので、そこは難しかったですね。どっちも守らないといけなかったので。



“カーテンの刑”に苦戦? 今だから言える撮影秘話



――飯豊さんがオススメする、キラ君のシーンはどこでしょうか?

飯豊 キラ君はいっぱい好きなところがあるんですけど、涙のシーンはもう本当に太鼓判を押したいぐらいです(笑)。あとやっぱり、“カーテンの刑”は大志君じゃないとできなかったと思います。

――というのは?

飯豊 「カーテンの刑」っていうセリフの言い方ですね(笑)。ニュアンスがちょうどよくて、絶妙なんですよね。私、台本を読んだときに「あ、このシーンはきっと予告動画に使われる!」って思ったんですよ(笑)。この映画にとって、すごい大事なシーンになるだろうから、「大志君、どういうふうに言うんだろう?」って思って、すごいドキドキしていて。だって、一歩間違えると……ねぇ?
中川 うん?




飯豊 壁ドンってカッコよくて、キュンってするでしょ?
中川 ……うん(笑)。
飯豊 でも、ドン! ってするときに「壁ドーン!」なんて言わないでしょ?
中川 言わないね(笑)。
飯豊 カーテンの刑って、壁ドンみたいに有名じゃないし、まだみんな知らないから。
中川 「カーテンの刑」ってタイトルを言ってるからね、自分でね(笑)。




飯豊 そう、タイトルを言っちゃってるから(笑)。
中川 なかなかないもんね、タイトルを自分で言ってからやるの。

――たしかにそうですね(笑)。

飯豊 だから、落ち着きのあるトーンで「カーテンの刑」ってすんなり言ってくれたから、スッて入れたし、なんかドキッとして……。
中川 あそこで声を張ってたらどうよ? 「カーテンの刑! おりゃー!」って(笑)。
飯豊 あははは! それはね、ダメだよね本当に(笑)。
中川 ギリギリまで迷ったんだよね。そっちでやろうかって(笑)。
飯豊 よかったー! 安心した(笑)。本当に、大志君じゃないとできないと思いました。




――中川さんがオススメする、ニノンちゃんのシーンはどこでしょうか?

中川 さっきも話題に出ていましたが、ニノンちゃんって、キラの前では一生懸命に笑顔を忘れず頑張ってるんですけど、ひとりのときも……たとえば部屋で日記を書いてるシーンや、キラの誕生日会の準備をしてるシーンとか、そういうところにキャラクターが出てるなあって思いますね。

――本当に、一生懸命ですもんね。

中川 一生懸命で、まっすぐで、ピュアで。そう言ったらもう……オススメは全部ですけどね(笑)。でも、ニノンちゃんの日記を軸に時間が動いていく部分もあるので、そういう意味では、日記を書いてるシーンは一番ウソじゃない心情が出ていて、僕は好きですね。
飯豊 アフレコを頑張りました。ふふふ。



好きって言える? “言いたい派”と“傷つきたくない派”



――今回の映画では、相手に強い思いで「好き!」と告白するシーンがあります。おふたりは彼らのように、好きな相手に「好き!」と告白できるようなタイプですか?

中川 好きー! って?(笑)
飯豊 えー、言えないなあ、実際。「言えます!」とか言いたいですけど……“言いたい派”です(笑)。「好きです!」って言いたい。
中川 言いたいけど……失敗したくないんです。「付き合ってください」みたいな告白もそうなんですけど、僕、友達をごはんに誘うのも怖いんですよね。「断られたらどうしよう」って。傷つきたくないので(笑)、絶対いけるなっていう自信がないと、告白しないかもしれない。




飯豊 あー、ありがち男子だ(笑)。
中川 ありがち男子だよね(笑)。だから、相手のことをよく知ったうえで、告白までいけるかどうかってくらいかも。
飯豊 優しいんだね。
中川 「この人は、俺にそういう気持ちが絶対ないな」って思ったら、もう……スッと(笑)、そういう気持ちがなくなるかもしれない。
飯豊 そうなの?
中川 うん……。
飯豊 気ぃ遣いなんだね。
中川 傷つきたくないんです。
飯豊 そんな大志君には、矢部君(キラとニノのクラスメイトの矢部和弘)みたいに、「明日生きるって言いきれるやつは、ひとりもいねえよ!」って言いたいよ。伝えないと!
中川 あ……うん(笑)。



【プロフィール】
中川大志(なかがわ・たいし)/1998年6月14日生まれ。東京都出身。B型。スカウトをキッカケに小学生で芸能界入り。NHK連続テレビ小説『おひさま』、NHK大河ドラマ『江〜姫たちの戦国〜』、『平清盛』、『真田丸』などに出演。『家政婦のミタ』(日本テレビ系)や『水球ヤンキース』(フジテレビ系)などでも注目を浴び、『監獄学園-プリズンスクール-』(MBS、TBS系)、『南くんの恋人〜my little lover』(フジテレビ系)と連続ドラマに立て続けに主演。映画でも『青鬼 ver2.0』、『通学シリーズ 通学途中』と主演作が公開され、同世代を中心に絶大な人気を集めている。2017年は『きょうのキラ君』に加え、主演映画『ReLIFE リライフ』の公開も控える。
【ブログ】http://ameblo.jp/nakagawa-sd/

飯豊まりえ(いいとよ・まりえ)/1998年1月5日生まれ、千葉県出身。B型。2008年ファッション雑誌『ニコ☆プチ』(新潮社)にてモデルとしてデビュー。その後、『ニコラ』(新潮社)専属モデルを経て、『Seventeen』(集英社)の専属モデルに。女優としても『獣電戦隊キョウリュウジャー』(テレビ朝日系)、映画『MARS〜ただ、君を愛してる〜』などの話題作や、NHKの連続テレビ小説『まれ』や『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(フジテレビ系)などで注目を集めた。2017年は『きょうのキラ君』に加え、主演映画『暗黒女子』の公開も控える。
【Instagram】@marie_iitoyo
【Twitter】@marieiitoyo
【ブログ】http://ameblo.jp/avex-marie/


■映画『きょうのキラ君』
2月25日(土)全国ロードショー!
http://kirakun.jp/


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