7月10日につぶした右中指まめは完治も、約1ヵ月実戦登板なし

 ペナントレースも残り30試合弱。パ・リーグではリーグ3連覇を目指すソフトバンクを2位・日本ハムが0.5差で迫り、優勝争いは激しさを増している。少し気がかりなのが、日本ハム・大谷翔平投手の登板が1ヵ月近く遠ざかっていることだ。

 異変が起きたのは、札幌ドームで行われた7月10日のロッテ戦だった。7回の投球中だった大谷は、右手中指のまめをつぶしてしまった。皮がめくれる重傷で、パ・リーグ先発投手部門のファン投票で選ばれていたオールスターでの登板を回避。同24日のオリックス戦(札幌ドーム)で3年ぶりに中継ぎとして調整登板し、直球は最速156キロを計測した。だが、全17球のうち10球がボール。明らかに投球フォームを崩しており、大きな故障を避ける方針から中継ぎ登板以降、実戦のマウンドに立っていない。

 すでに右手中指は完治。現在はブルペンでの投球練習を重ね、直球にも力強さは戻りつつあるという。それでも、なぜ大谷は勝負の夏に投球をしないのか。投手復帰への障壁となっていることは、主に3つある。

投手復帰への障壁となる3つの現状とは…

1.打者・大谷翔平の好成績

 今季は打者としては65試合に出場。打率.348、80安打、19本塁打、50打点。キャリアハイを軒並み更新する勢いで、OPS1.114を記録する。

 さらに、大きなストライドを生かして7盗塁を決める俊足。好判断も兼ね備えるなど、走塁でもチームを引っ張っている。今では両リーグ初の“例外規定”での首位打者の可能性も出てきているなど、主軸打者として十分すぎる活躍を見せている。

2.打線の不振

 チーム成績が上向きだした5月から3ヵ月連続でチーム打率.270以上を記録してきたが、8月は打率.245と低迷。7月には1試合平均4.76得点を挙げたが、8月は平均3.44得点にとどまっている。主力打者の8月の打撃成績は以下の通りだ。

・西川遥輝:打率.371、0本塁打、1打点
中田翔:打率.243、2本塁打、15打点
・田中賢介:打率.233、0本塁打、3打点
・陽岱鋼:打率.246、0本塁打、4打点
・レアード:打率.221、3本塁打、11打点
・中島卓也:打率.103、0本塁打、1打点

 打撃好調なのは1番・西川ぐらい。2番打者は中島、近藤健介、杉谷拳士、浅間大基ら日替わりで打っている。打率.389と好調だった岡大海が右太もも肉離れで、4日から2軍調整中なのも痛い。つまりは西川以外、8月に打率.333、6本塁打、14打点を記録する大谷に頼らざるを得ないのが現状だ。

密接に関わる打線の調子、ソフトバンク撃破に欠かせない大谷の投手力

3.二刀流調整

 大谷の二刀流は故障をさせないことが大前提。今季は5月下旬から6週連続でリアル二刀流として起用されたが、基本起用法は火、水、木曜に野手で出場。金曜から投手として調整し、日曜に登板してきた。登板に備えさせるとなると、週末のカードでは欠場。打線の得点力が低下する。

 大谷の投手復帰へは、打線の復調が欠かせない。ただ、ポストシーズンを見据えても、日本最速163キロの剛速球を持つ剛腕が、投手としても欠かせない戦力なのは間違いない。ソフトバンク撃破、リーグ制覇に燃える栗山英樹監督が、今後どのような決断を下すのか注目だ。