日本代表MF香川真司が所属するドルトムントからの退団が濃厚となっている元セルビア代表DFネヴェン・スボティッチが、自身のフェイスブックを通じて「お別れのあいさつ」ともとれるメッセージを公開した。

 27歳のスボティッチは、ドルトムント前監督のユルゲン・クロップ氏のもと、18歳でブンデスリーガデビューを果たした。2008年夏、クロップ氏がマインツを離れてドルトムントの監督に就任すると、引き抜かれる形でドルトムントに加入。長く不動のセンターバックにとしてチームを支えたが、トーマス・トゥヘル監督が就任した今シーズンは、負傷による長期離脱もあって出場機会が激減し、リーグ戦出場は6試合にとどまっていた。

 ドルトムントとの契約は2018年まで残っているが、同選手には恩師のクロップ監督率いるリヴァプールの他、ヴォルフスブルクが興味を示しているとされる。

 メディアで様々な憶測が流れる中、スボティッチは、「サッカーは自分の人生においてとても大事な支柱で、その愛はとても強く、それなしで生きていくことはしたくない。選手としてピークの年齢を迎え、それを生かしていきたいし、日々チームを引っ張りたいと思っている。そして、ピッチで必要とされることを実感し、チームのために全力を尽くしていきたい。今、そのことについて考えを巡らせている。ベンチに座ってお金を稼ぐようなことはしたくない。今までやってきたように、歴史を作る一部でありたい」と、ピッチでプレーすることへの強い思いから生まれた悩める胸中を吐露。

 さらに「このことをみんなに理解してほしい。ドルトムントは大切な心のクラブだ。それが変わることはない」と、すでに退団の意志を固めているともとれる言葉を添え、8年プレーしたクラブへの変わらぬ愛着を伝えた。

 ドルトムントは、スボティッチとともに長年センターバックを組んできたドイツ代表DFマッツ・フンメルスのバイエルン移籍が決まったばかり。ともに1988年12月生まれのフンメルスとスボティッチがドルトムントにやって来た2008年は、クラブ破たんの危機を乗り越えたとはいえ、チームは長い低迷期の真っ最中だった。

 守備の要であるはずのセンターバックを、当時30代半ばのクリスチャン・ヴェアンスとロベルト・コヴァチの2人に任さざるを得ず、大量失点を繰り返しては、メディアで“ザル守備”、“役立たずのロートル”と袋叩きにされるのがルーチンワークだった暗黒時代。

 それがクロップ監督の登場とともに10代のフンメルス&スボティッチのコンビがレギュラーに定着すると、失点数が前年のリーグワーストからリーグ2位へと激減。奇跡的な若返りとともに鉄壁の守りが完成していた。

 ドルトムントが優勝争いの常連に返り咲くまでの復活の道を支えた功労者でもある2人が去るとなれば、一つの時代が終わることになる。だが、スボティッチは出場機会という当たり前のことを望んでいるだけ。ファンもそのことは十分に理解しているようで、フェイスブックのコメント欄は、「残念……」という思いとともに、スボティッチへの感謝と、今後の活躍を祈るメッセージがたくさんつづられている。