ゲーミング系PCメーカーのRazerが、CES2016で発表し、ようやく発売になったスリムタイプのゲーミングノート『Razer Blade Stealth』。筆者はいま普段使いのノートを物色中で、12.5インチ4Kディスプレーを備え第6世代Core i7にメモリー8GBを搭載したパワフルなモバイルノートはとても魅力。ということで今回はゲームで使うというより普段使いで快適かに焦点を当ててレポートします。『Razer Blade Stealth』は、単体での利用だけでなく、デスクトップ用GPUを外付けで利用する『Razer Core』というドックが用意され、自宅ではハイエンドゲームPCに変身するのが特徴です。今回はCoreを借りていないので、どの程度ゲームを楽しめるのかはわからないですが、最新のGPU搭載グラフィックボードを搭載できるので、GPUに依存するゲームも楽しめるでしょう。

▲Razer Core。グラフィックボードを2枚挿入できる。最大フルサイズの2スロット占有型 PCI-Express x16 接続グラフィックボードが1枚挿さる。発売はまだ。

※6/17 10:25修正 グラフィックボードは1枚しか挿さりませんでした。お詫びして訂正いたします。

まずは、外観から。サイズは 321(W)×206(D)×13.1(H)mm、重量は1.25kgとMacBook Air 13インチモデルより小さくて軽いスリムタイプ。画面サイズは12.5インチ。最近主流の薄型ベゼルではありませんが、WQHD(2560×1440ドット)と4K UHD(3840×2160ドット)の2種類の液晶がラインアップされています。今回借りているのは4Kモデルになり、IGZO液晶でAdobeRGBカラーベースを100%カバー。筆者はPhotoshopでRAW現像したりレタッチしたりするので、これはかなり魅力的。WQHDの液晶は70%のカバーなので、買うとしたら4Kモデルになるでしょう。

▲4KのIGZO液晶を搭載し、AdobeRGBカラーベースを100%カバー。ベゼルは太め。

ボディーは航空機に使用しているグレードのあるも素材を採用し、削りだし加工されたもの。液晶を閉じるとマグネットで吸着されるので、パタンとしっかり閉じます。本体と液晶パネルをつなげるヒンジはちょっと軽い感じで、タッチする際動くかなと思いましたがそんなに気になるらず使えました。ただ、ひとつ気になったのが手垢が目立つこと。触った部分がテカり、ちょっと拭きたくなってしまいます。VAIO S11のようなコーティングされたマシンを触ったことがあるので余計に気になったのかもしれません。

▲天板にはロゴが。アルミボディーで剛性感はいい。ただ、ちょっと手垢が目立つ。

電源はUSB Type-Cを採用。45Wの電力アダプターはコンバクトサイズですが、電源ケーブルはちょっと太め。でも柔らかいので丸めやすくなっています。ケーブルタイも備わっていて、まとめればそこそこ小さくなります。45WタイプのUSB Type-C用アダプターは現状あまり売られていないので、ほかのものに変えるのは難しそうです。

▲電源ケーブルとACアダプターとは別れるタイプ。ケーブルタイで1つにまとめると意外とコンパクトなので、持ち運びにもじゃまにならない?

USB Type-CはThunderbolt 3にも対応。最大40Gbpsの通信速度に対応し、Razer Coreとの接続もThunderbolt 3を利用します。USB3.0も左右に1つずつ搭載され、HDMI端子やヘッドホン端子も搭載されています。

▲左右の端子。USB3.0端子の色が黄緑色とデザインに合わせた仕様。

マシンを起動すると、キーボードがカラフルに光り、高揚感が生まれます。Razerお得意のChroma機能で、キーごとにフルカラーのなかから色を選んで光らせられます。クラウドサービス「Razer Synapse」に対応し、さまざまなエフェクトやマクロ、キーマッピングをカスタマイズでき、ほかのChroma対応デバイスと同期もできます。ゲームだけでなくアプリ用にカスタマイズするのもいいでしょう。

▲各キーにフルカラーLEDが埋め込まれ、それぞれ独立して色を設定できる。色が変化するエフェクトも。これは目立ちがり屋さんには最高の仕様。

▲キーボードライトの色の設定やキー設定は、『Razer Synapse』ソフトを使い、クラウド上で管理される。天板ロゴのLEDオンオフの設定も可能。

▲ゲームやアプリで設定を変えるということもできる。色とエフェクトをキー1つ1つに設定。

▲バッテリー駆動のときは、キーボードのLEDを消すこともできる。

液晶は発色が良くてとてもキレイ。視野角も左右170度と広く作業しやすいです。とても薄いボディーながら第6世代 Intel Core i7-6500U(2.5GHz/3.1GHz)プロセッサを搭載。ストレージは128GBから512GBのSSD(PCIe M.2接続)、メモリーは8GB(LPDDR3-1866MHz)です。個人的にはメモリーは16GBが欲しいところですが、8GBでも必要十分ではあります。 内蔵グラフィックスコントローラは Intel HD Graphics 520で、別途GPUは搭載されていません。

▲底面にCPUファンが見える。ベンチ中でもファン音はかすかに聞こえる程度。普段は聞こえない。

キーボードはアイソレーションタイプで、キーピッチは約19.5mm、キーストロークは1mm(いずれも実測)と打ちにくいことはないのですが、キータッチの感触は好みが別れるところ。個人的には、長時間使っているとちょっと疲れる感じでした。あと日本語キーボードだがひらがな表記がないので、筆者のような「かな入力」の人にとってはちょっと辛い部分も。タッチパッドに関しては、非常に滑らかで気持よく、使いやすいです。

▲キータッチは、そんなに音もしないが、長時間使っているとちょっと疲れてくるかも。

▲タッチパッドは実に滑らか。タイピング中に手のひらが触れても誤作動しにくかった。

キーボードの両端にはスピーカーを搭載。しっかり音の広がりがあってかなりいい感じ。ゲームは音も重要だから、そのあたりのこだわりを感じます。

▲スピーカーはキーボードの両サイドにあり、よく響き音の広がりも感じる。

ベンチマークを計測してみました。CHINEBENCH R15。OpenGLは40.18fps、CPUは310cb。PCMark 8 Creative Accelerated​ 3.0はスコアは3677、HOME ACCELERATED 3.0のスコアは2821という結果に。2コア4スレッドと内蔵GPUにしてはなかなかの数値ではないでしょうか。また、筆者が利用したい用途のひとつRAWデータの現像時間を手動で計測したところ、1枚現像するのに8.12秒。これは筆者が所有するVAIO Pro 11の11.68秒より3秒以上速く、現像時に冷却ファンがうるさくなることもなく実に静か。VAIO Pro 11だとかなり高回転になり心配になるので、個人的には満足の行く結果でした。

▲キヤノンEOS 8000Dで撮影した6000×4000ドットのRAWデータをPhotoshop CSでレンズ補正とノイズ軽減、色味・輝度補正を掛けて現像したときの時間を計測。

256GBのSSDも計測しました。CrystalDiskMark 5.1.2でのスコアはシーケンシャルリードで1602となかなかの数値。マシンの起動も速いのでかなり快適に感じます。

▲CrystalDiskMarkの結果。最近はより高速なものも出てきましたが、十分でしょう。

WiFiの速度もSpeedtest.netを使って計測。通信速度が速くなる朝がたに計測したところ、下り381.59Mbps、361.38MbpsとノートPCとしては十分。ちなみに、自作マシンの有線LAN接続だと同じ時間帯に下り431.71Mbps、上り727.18Mbpsなので、上りはかなり違いますが下りは大きく変わらない結果でした。

▲Razer Blade StealthでのWiFi速度の計測結果。

▲自宅の自作マシンで有線LANでの結果。下りは大差ない。

バッテリーベンチはBBenchで計測。Web巡回、キータイピングありで画面輝度を30%、キーボードと背面のロゴのLEDはオフにして計測。結果は100%から5%で15335秒(4時間15分35秒)と公称値である8時間の約半分でしたが、使っているとそんなにバッテリーの減りは気にならず、ちょっとした作業を重ねる感じの使い方なら十分だと思いました。ただ、モバイルとして使うなら電源は常に持ち運ぶ感じでしょう。

こうして使ってみましたが、サイズ感と重量、マシンパワーのバランスがよくとれたマシンだと思います。いま筆者が使っているVAIO PRO 11は購入当初、軽さを重視しスペックは二の次だったのですが、原稿を書いたりネットを見るだけでなく、画像編集したりRAW現像するとなるとちょっとキツくなってきました。なのでこのRazer Blade Stealthのフォルムもいいですし、キーボードが無駄に輝き、天板のロゴも光って存在感もあるのでかなり欲しくなりました。価格は、11万9800円(税別)からですが、オススメは4Kで256GB SSDモデルの16万4800円(税別)でしょう。このスペックでこのお値段は、骨髄反射でポチりそうです。ゲームだけでなくビジネスやライトなクリエイティブワークのマシンとして選択肢の1つになると思います。