公立小学校・中学校に通う子どもの給食費を払わない「給食費未納問題」は、全国で深刻化しており、法的措置をとる自治体も増加しているといわれています。

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2015年8月には、政府が「未納の給食費を児童手当から強制的に天引きできる」仕組みの検討に入ったとの報道がありましたが、果たしてこの仕組みは実現するのでしょうか?

アナタはこの仕組みに賛成ですか? それとも反対ですか?
給食費未納の問題点とは?
文部科学省が平成26年1月に報告した調査によると、給食費未納がある学校は全体の46.5%でした。これは、約半分の学校で未納があるということ。

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給食費未納がある学校では、人数分の給食費予算を確保できないにも関わらず、人数分の給食を準備しなければならないため、給食の質や量が落ちることも心配されています。

また、給食費を払った家庭の費用で未納の家庭の生徒へ給食を与えていることになり、その不公平さも問題になっています。

さらに、給食費未納家庭の生徒たちが、学校で肩身の狭い思いをするという事態になれば、別の問題として考えなければならないでしょう。

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自治体によっては、「給食費未納なら提供を停止」という措置をとるところも出始めました。

ニュースでも大きく取り上げられた埼玉県北本市立の中学校4校のケースでは、3カ月未納が続いた場合は給食を提供しないため、弁当の持参を求めることを通知。

2015年7月より給食未提供が実施されているそうです。

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文部科学省の調査報告からもわかるように、北本市のケースは一例に過ぎず、全国的に給食費未納の問題が発生しており、各自治体は対応策を模索しているのが現状です。
「義務教育」だから、払えるのに払わない!?
文部科学省の同調査によると、未納の主な原因についての学校の認識は、「保護者としての責任感や規範意識の問題…61.3%」「保護者の経済的な問題…33.9%」「その他…4.9%」となっています。

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経済的な問題で給食費を払えない家庭が3分の1を占める一方、3分の2近くの家庭では支払い能力があるにも関わらず未納という結果でした。

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某テレビ番組で取り上げられた「モンスターペアレントスペシャル」では、「給食費の支払いを求めた先生が聞いた、驚きの言い訳ベスト3」を紹介。

その3つの言い訳とは……

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・「義務教育だから授業料はタダ。だから給食費もタダなはず。住民税払ってるんだからそこから負担しろ!」

・「裕福な家庭と同じ金額を払うのはヤダ!」

・「払うやつがいるから、払わないのが責められる!」

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このことは文部科学省の調査結果を裏付ける発言として、保護者としての責任感や規範意識に問題がある親も少なからずいるということがわかります。
児童手当からの天引きは可能か?
このように給食費未納問題が深刻化する中、政府は抜本的な対策が必要と判断。

2015年8月には「未納の給食費を児童手当から強制的に天引きできる」仕組みの検討に入り、2016年の通常国会で関連法の改正を目指すようです。

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児童手当は子どもの年齢に応じて、1人あたり月1万〜1万5千円が中学卒業まで支給されます。

また、親の年収が一定の基準を超える裕福な家庭でも、月5千円が支給されているのです。

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給食費は学校や学年により差がありますが、月額の平均は4〜5千円程度であるため、児童手当で給食費を賄うのは可能といえるでしょう。

また、子どものために支給される手当で賄うのは道理が通っているという意見もあるようです。

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給食費未納問題の解決策がない今、天引きの仕組みが最も有力であり、実現可能でもあるようです。