試合に出場しなかったとはいえ、試合後の表彰セレモニーで、スタンドに上がり、プラティニUEFA会長から直接メダルを掛けてもらうシーンは、現場にいた僕の目にとても眩しく映ったものだ。

 いま、Jリーグで輝くプレイを見せている宇佐美だが、選手としてのステイタスという点では、当時の方が断然上だった。ガンバ大阪で活躍すればするほど、1日も早い欧州復帰を切望したくなる。

 まもなく始まる東アジアカップ。出場4チームのレベルは拮抗している。3試合すべて接戦が予想される。しかも中国戦はアウェー戦だ。実に1年8ヶ月ぶり。笑ってしまうほど久々だ。代表の強化、それでいいわけですか? と問い正したくなるが、そんな貴重な場に、日本は国内組で臨む。ライバル韓国も同様なので、大会のステイタスは決して高くない。間の悪さここに極まれりという感じだ。

 そこで、宇佐美は目玉選手としてクローズアップされることになる。活躍すれば、思い切り持ち上げられるだろう。その姿をどう解釈すればいいのか。

 同じ頃、欧州サッカーは開幕する。そこで武藤をはじめとする欧州組が、どれほど活躍するか定かではないが、宇佐美が東アジアカップで活躍するほど、それでいいのですかと言ってやりたい気持ちは増すだろう。

 サッカー選手としての寿命は、野球選手に比べて遙かに短い。大谷も早く行くべきだと思うが、それ以上なのが宇佐美。宇佐美ファンも、ガンバファンも、日本代表ファンも、総合的なサッカーファンも、それを望んでいるはず。それがサッカーの価値観。スポーツ本来の価値観だと僕は思う。