By HappyHorizons

低所得層の生徒は富裕層の生徒に比べて共通テストなどの学業成績測定結果が低くなることが従来の研究で分かっていましたが、MITとハーバード大学の最新の研究によって、裕福な学生の脳の大脳皮質は低所得の学生の脳よりも厚くなり、学力にも影響することが判明しました。

Study links brain anatomy, academic achievement, and family income | MIT News

http://newsoffice.mit.edu/2015/link-brain-to-anatomy-academic-achievement-family-income-0417



MITとハーバード大学は従来の研究とは異なる測定方法で「学力格差」を研究しました。研究チームは12〜13歳の学生を低所得家庭から23人、高所得家庭から35人の合計58人集め、マサチューセッツ州総合評価システム(MCAS)による学力テストと、脳のMRIスキャンを行いました。「低所得家庭の学生」は学校で無料、または割引の給食を申請している学生と定義しています。

調査の結果、裕福な学生の脳は視覚認知・知識集積に関連する領域である大脳皮質がより厚いことが判明。これまで分かっていなかった「脳の構造」「学業成績」「家計収入」という3つの要素に関連があることを突き止めました。なぜ家庭環境によって脳の構造に違いが出るかは分かっていませんが、従来の研究によると、低所得家庭の子どもは幼児期に音声言語に触れる機会が少ないこと、より多くのストレスにさらされること、教育的リソースの不足、といった要因で学力が低下するのでは、と考えられています。



By Michael Cramer

なお、マクガヴァン脳研究所の研究員の1人は、「脳は後天的に変化する可塑性物質だという確かな証拠がいくつも発見されています」と話しており、今回の研究で判明した脳の構造の変化は永久的ではない、と指摘しています。今後はどの種類の教育プログラムが学力格差を限りなく縮められるのかを追って調査していく予定で、プログラムの違いが脳構造へ影響を与えるかどうかも調べていくとのことです。