阪神タイガースの観客減が止まらない。
 ここ7年、勝とうが負けようが、観客動員に関しては常にトップを走ってきたが、今季の甲子園の観客動員数は開幕から伸び悩み、前半戦主催30試合を終わった時点で約120万人。昨季をかなり下回るぺースで、このままだと観客動員のトップを巨人に奪回されそうな雲行きなのだ。

 伸び悩みの最大の原因はもちろん阪神の不甲斐ない戦いぶりだが、加えて今年はファン心理の変化も大きく影響している。
 「去年までの阪神ファンは『勝っても負けてもタイガース』。それが今年は、コアなファン以外は『弱い阪神なんか見たくない』という風に変わっている。ここ数年の低迷で、我慢もいよいよ限界に来たということでしょう」(スポーツ誌記者)

 上位追撃どころか、最下位転落の可能性まで出てきたとあっては、愛想づかしも無理はない。ファンの甲子園離れは、チケットの売れ行きにも、はっきりと表れている。甲子園の阪神戦と言えば、去年まではプラチナ・チケット。対戦カードの如何を問わず「2倍の値段はザラ」(なんばのチケットショップ)だったが、今年は好カードでも1.5倍程度が相場という。
 それどころか、カードによっては外野席1200円(定価1900円)というチケットまで現れるほどで、窓口でも「土日の巨人戦以外はほとんど当日券があります」(某プレイガイド)という有様なのだ。
 「今の阪神は野田内閣と同じ。“決められない野球”をやっているから反感を買う。弱いなら弱いで、ファンが納得する、来年を見据えた野球をするべきです」

 阪神OBの評論家・マイク仲田氏はこう叱咤激励するが、もっとも甲子園球場のお膝元からは、こんな声も上がっている。
 「勝敗に関係なしの馬鹿騒ぎが少なくなって、静かな夜が戻ってきました。地元からすれば、今ぐらいがちょうどいいんですわ」

 本誌発売頃には、高校野球に甲子園を明け渡し、死のロードに出ている阪神も、地元から愛想をつかされるとは皮肉な話である。