1月30日、金正恩(キム・ジョンウン)が北朝鮮の人民軍最高司令官に就任してから1ヶ月となった。緊張関係の続く韓国でも、連日、北朝鮮情勢が伝えられているが、そのたびに繰り返されるのが「キム・ジョンウン」という名前。実は韓国では、キム・ジョンウンというのは一般的な女性名なのである。

 当惑する彼女たちの声を、韓国への留学経験を持つ、ライターの吉崎エイジーニョ氏がリポートする。

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 漢字は違えど、韓国での名前表記は一般的にハングルのみ。だから「金」以下、ジョンは「正」「貞」「廷」、ウンは「恩」「銀」などの組み合わせで、相当数の“同姓同名”が暮らしているのだ。ちなみに、有名な女優にも金廷恩(キム・ジョンウン)という人がいる。

 今回、フェイスブックで“キム・ジョンウン”の名前を入れてヒットした130人の女性のうち、唯一取材に応じてくれたのが金貞恩(キム・ジョンウン)さん。ソウル市内でゲーム関連の会社に勤める26歳のOLだ。

 市内随一のおしゃれエリア、江南のカフェに現れた彼女。即座にメロメロになってしまった。ロリ顔、美白、大きな瞳。う〜ん、どうやって後継者の話を切り出そう……と思っていたところ、彼女のほうから勝手に話し始めた。

「いやー、ちょっと聞いてくださいよ。去年の12月19日(金正日死去が発表された日)以降、ホント大変なんです。友達から、冗談の携帯メールがひっきりなしに入って。『おめでとう』って。なかには『ついにおまえの時代が来たな』っていうのもあって……」

 よっぽどストレスがたまってんだろう。一時は改名を本気で考えたが、父に止められた。半月たってようやく落ち着いてきたという。心中お察しします。

それはそうと、後継者をギャグのネタにできちゃうあたり、韓国の能天気さを象徴しているようで、脱力してしまう。でもさ、ロリロリ・ジョンウンちゃんなら将軍様が死んだ後の情勢に思うとこあるでしょう?

「まっっったく、興味ないですね。今の生活とか将来のこととか、考えること多いですから。南北統一して、税金が増えるのはいやだな」

(取材/吉崎エイジーニョ)

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