モトローラ・モビリティ・ジャパン(以下、モトローラ)は、Gシリーズの最新モデルとなる「Moto G5S Plus」を発表しました。価格は3万8800円。発売は10月6日を予定しており、現在、幕張メッセで開催中のCEATEC JAPAN 2017でも、同社の親会社であるレノボブースに実機が展示されており、実際の操作感を試すことができます。

10月6日に発売される「Moto G5S Plus」

Moto G5S Plusは「Moto G」シリーズの最新モデルで、グローバルでは7月に発表されていました。モトローラの関係者によると、Gシリーズは同社のラインナップの中で、もっとも売れ行きのいいラインとのこと。

同社の端末は、フラッグシップモデルがZシリーズ、その下のミドルハイとしてXシリーズがあり、Gシリーズは"ど真ん中"の製品群。ミッドレンジで価格がこなれていることもあり、まさにボリュームゾーンになっているというわけです。

日本では、MWCで発表された「Moto G5」「Moto G5 Plus」が3月に発売になっていますが、今回発表されたMoto G5S Plusは、その直接的な後継機という位置づけ。製品の世代を示す数字は「5」のままですが、「S」とは思えないほどの進化も遂げています。

個人的には、もったいぶらずに世代を1つ進めて、これを「Moto G6 Plus」と銘打ってもよかったのではないかという印象です。


日本では3月に発売された「Moto G5」「Moto G5 Plus」。「Moto G5S Plus」は、この直系の最新モデル

中でも、一番の注目ポイントはやはりカメラ。背面には、1300万画素のカラーカメラとモノクロカメラが2つ搭載されており、2つのカメラで視差を作ることで、背景をボカすなどの処理をかけることができます。

モトローラは、デュアルカメラ搭載の「Moto X4」をIFAで披露していましたが、こちらは通常のカメラとワイドカメラという構成。これに対してMoto G5S Plusは、ボケなどの処理にのみ2つのカメラを活かすというアプローチです。


背面には1300万画素のカメラが2基、搭載される

一方で、デュアルカメラで実現できる機能の多くは、Moto X4と共通しており、背景をボカせるだけでなく、深度の差を利用して被写体の一部を切り抜いたり、フォーカスを合わせたところにのみ色をつけ、あとはモノクロにするといった処理も可能になっています。

これらの機能はベータ版という位置づけですが、雑コラのようなおもしろ写真を作れたり、撮ったモノや人物を印象的に見せたりといったことができ、ボケ以上に楽しめる仕上がりになっている印象。もちろん、後からフォーカスやボケ具合を変えるといった機能にも対応しています。


深度エディタで、ボカし具合を変更できる


背景だけを切り抜いて、雑コラ的な画像も作れる


フォーカスを当てた被写体だけ色を残し、背景をモノクロにすることも可能

元々はファーウェイが搭載を始めたデュアルカメラは、今やスマートフォンのトレンドともいえる機能になっており、最新のiPhone 8 PlusやiPhone Xなども、デュアルカメラに対応しています。やや取り組みが遅れていたサムスン電子も、Galaxy Note8をデュアルカメラ化しました。ただ、カメラが2つ搭載される関係上、やはりまだまだコストがかかり、ハイエンド寄りの端末が多い印象。グローバルを見ると徐々にミドルレンジクラスにも広がり始めていますが、日本で手に入るモデルはそれほど多くありません。3万円台後半でデュアルカメラを搭載したMoto G5S Plusは、手軽にそのメリットを体感できる端末と言えるでしょう。


グローバルではミッドレンジのデュアルカメラモデルも徐々に増えているが、日本ではまだ"空席"がある

G型番の端末はミドルレンジのシリーズと書きましたが、この機種は、最後に「Plus」がついているだけに、スペックも一段上になっています。

チップセットにはSnapdragon 625を採用しており、メモリ(RAM)も4GBと十分。5.5インチのフルHDディスプレイを搭載しており、バッテリーも3000mAhで約1日持つため、超ハイパフォーマンスを要求されるゲームなどをプレイしないのであれば、十分なスペックと言えます。ミッドレンジながら、筐体にはアルミが採用されていて、安っぽさのようなものもありません。日本では、SIMフリー市場でモトローラが火付け役になったデュアルSIM、デュアルスタンバイ(DSDS)にも対応しています。

そうなると、Xシリーズとのすみ分けが難しいところで、実際にMoto X4とMoto G5S Plusを比べると、Moto X4の方がわずかに高性能といった微妙な差しかありません。とは言え、ギリギリ3万円台という価格を考えると、MVNOのユーザーにとってはMoto G5S Plusの方がスイートスポットに収まる端末です。


IFAで発表された「Moto X4」。Moto G5S Plusもスペックは近いが、わずかな価格差が売れ行きを左右する可能性も

また、日本市場ならではの強化点として、モトローラ端末として初めて、au VoLTEに対応することになりました。これによって、mineoやIIJmioのタイプAといったMVNOだけでなく、UQ mobileのようなサブブランドのSIMカードでも利用が可能になりました。

VoLTEに対応することは、単に機能が増えたという以上の意味があります。この機能拡張によって、au系のMVNOが取り扱いをしやすくなるからです。これは、モトローラにとって、販路が広がることを意味しています。今までの販売方法は、どうしても家電量販店やネットでの単体売りが中心になっていましたが、対応キャリアを増やしたことで、徐々にMVNOでの取り扱いも増えてくるかもしれません。

au VoLTEに対応したことで、UQ mobileなどに販路が広がるかもしれない

MVNOのユーザーがアーリーアダプターからマジョリティに移りつつある中、SIMカードとのセット販売の重要性がますます重要に高まってきています。Moto G5 Plusは、そうしたニーズに応える端末という側面もありそうです。